TechZone Blog 第5弾は、非常にスケーラブルで信頼性の高いオブジェクトソリューションである[IBM Storage Ceph](以下、Storage Ceph)です。
「IBMストレージ・ソフトウェア一枚もの集」でご紹介したこちらです。

Storage Cephはたくさんのユースケースと、オープンソースとして15年以上の活用実績を持つ、SDS(Software Defined Storage)です。また、オブジェクトだけでなく、ブロックアクセス、ファイルアクセスに対応したユニファイド・ストレージになります。
お客様やビジネスパートナー様からは、Storage Cephのご紹介をすると「SDSの構築経験が浅いから学習コストがかかりそう」「ストレージの運用管理とか大変そう」といったお声をよく耳にします。
しかし、実際Storage Cephの構築はCLI操作が少なく、GUI操作で構築・管理できる機能が豊富で、触ってみると意外と難しくなさそうといった感想もいただきます。
TechZoneではStorage Cephの初期構築、オブジェクトストレージの構築をハンズオンできる環境があるので、ご紹介したいと思います。
  
もくじ 
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デモ環境の申込み 
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デモ環境概要 
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初期クラスター構築 
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オブジェクトストレージ構築
 4-1. rados gateway サービスの作成
 4-2. プールの作成
 4-3. ユーザーおよびバケットの作成
 
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Grafanaでのモニタリング 
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まとめ 
  
2. デモ環境概要
申込後に届くアクセス情報には次のIPアドレス、ユーザーID、パスワードが記載されています。
- 踏み台ホストIPアドレス
- 各CephノードのIPアドレス
ラボの環境は以下のようになっており、各Cephノードには、OSD(Object Storage Device)として使用される4つのディスクが接続されます。OSDはデータを保存・管理するCephのコンポーネントのひとつで、オブジェクトとしてデータをストレージデバイス上に保存する役割を担います。

  
3. 初期クラスター構築
まずはStorage Cephの初期クラスターを構築します。今回のブログではオブジェクトストレージ構築を中心にご紹介する関係でこちらの手順は割愛させていただきますが、CLI操作が少なく30分程度で構築できる難しくない手順です。
こちらの手順を含めた詳細の操作についてはライブラリからダウンロードできるPDFに掲載しておりますので、是非ダウンロードしてみてください。
また、弊社のパートナー様であるAiritech株式会社の三宅様がCephクラスターの構築手順を記事にまとめてくださっておりますので、是非そちらもご覧ください。
  
4. オブジェクトストレージ構築
クラスターノードを構成後、bootstrapすることでStorage CephのGUIにアクセスできるようになります。ここまでの手順はライブラリ内のPDFファイルにてご確認ください。
ノードとラベル、OSDを追加すると、オブジェクトストレージを構成できるようになります。
  
4-1. rados gateway サービスの作成
Storage Cephのオブジェクトストレージは、Ceph Storage Clusterと対話するために設計されたHTTPサーバーであるCeph Object Gateway daemon (radosgw)を使用します。Ceph Object Gatewayは、Amazon S3とOpenStack Swiftの両方と互換性のあるインターフェースを提供し、独自のユーザー管理機能を備えています。
このデモでは、追加した4つのノードのうち、ceph-node3にrgwラベルを追加します。
「Cluster」メニューを選択し、「Hosts」を選択してホストのリストを取得します。水平スクロールバーを使用して、右側の縦3点リーダーを表示します。縦3点リーダーをクリックして「Edit」を選択します。

フィルターリストを使用して「rgw」を選択し、「Edit Host」をクリックすると、rgwラベルが追加されます。


続いて、rgwサービスを作成します。Administration/Service(1)ページを選択し、「Create」(2)をクリックします。

rgw Typeを選択すると、Informationブロックが出てきます。ここの「Click here」をクリックして次のステップへと進みます。

以下のようにダイアログボックスに入力して、「Create」をクリックします。
ここでのRealm Name/Zone Group Name/Zone Nameはマルチサイト構成で作業する際に必要な項目となります。当ハンズオンではマルチサイトの構成はしておりませんが、マルチサイト構成への変更が容易になるようにこちらの構成を使用します。

これで、rados gatewayの構成に進むことができるようになりました。idを指定し、「Label」として「rgw」を選択すると、rgwがceph-node3に自動的にデプロイされます。
最後に「Create Service」をクリックしてください。

  
   
4-2. プールの作成
ここで、オブジェクトを保存するためのプールを作成する必要があります。Poolsページで、「Create」(2)をクリックします。

最初のステップでは、プールを定義することができます。
プールタイプ「erasure」を使用すると、レプリケーションの代わりにイレイジャーコーディングを使用してデータを保存できます。これによりディスク領域の消費量を削減できます。

これらのパラメータは、書き込まれた各オブジェクトが異なるOSDに保存される4つのデータ・チャンクに分割され、一部の部分が失われた場合にオブジェクトを復元できるように、コーディングが2つのコーディング・チャンクに保存されることを意味します。このルールにより、最大2つのOSDを失ってもオブジェクトにアクセスできるようになります。
「Create EC Profile」をクリックし、「Create Pool」をクリックします。
※こちらはデモのみの設定です。サポートされている本番環境では、このようなイレイジャーコーディング設定には7(4+2+1)個のCephノードが必要になります。

   
4-3. ユーザーおよびバケットの作成
続いて、バケットを使用するためにアカウントとそのアクセスキーを作成します。
Object/Usersメニュー(1)を選択し、「Create」(2)を選択します。

User IDとFull nameを入力し、S3キーが自動生成キーに設定されていることに注意し、「Create User」をクリックします。

Object/Bucketsを選択し、Createします。バケットの名前とbucket ownerを入力し、デフォルトの配置ターゲット(先ほど作成したプール)をそのままにします。次に、「Create Bucket」をクリックします。

このように簡単にGUI上でバケットを作成することができました。
ここでは割愛していますが、ハンズオンのシナリオでは実際にS3 Client Toolを使用して手元にあるファイルのアップロード操作をして、バケット上にデータが正常に格納される、といった流れを体験することができます。
こちらの手順を含めた詳細の操作についてはライブラリからダウンロードできるPDFに掲載しておりますので、是非ダウンロードしてみてください。
5. Grafanaでのモニタリング
Grafanaは、ダッシュボードやグラフを作成したり、Cephなどのソフトウェアで非常に便利な監視ツールを作成したりできる強力なツールです。
当デモで実際に体感していただくことが可能です。

上記の通り、クラスターやホストの全体のパフォーマンスを確認することができます。

更に、上記のようにOSDの使用状況や、クラスター、プールやホストに関する情報を取得することも可能です。
6. まとめ
いかがでしたでしょうか。TechZoneのStorage Cephは、Cephの環境が容易にセットアップできるということを体感していただくだけでなく、GUI上で簡単にオブジェクトストレージを構築できるということを体験していただくことが可能です。
このブログだけで紹介しきれなかったTechZoneラボの魅力も、是非ライブラリから資料をダウンロードしていただき、体感していただければ幸いです。
次回の TechZone Blog 第6弾はIBM Storage Scale を予定しております!お楽しみに!
                                                               
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