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ProVision 2024 “IT転換期における羅針盤”

By IBM ProVision posted 18 days ago

  
テクノロジーが飛躍的に進化し、生成AIの登場によってITの「決定的な転換期」が訪れています。2024年、100号となるProVisionでは、このIT転換期においてIBMの考える重要な5つのテーマを取り上げて特集していきます。IBMフェロー、技術理事がそれぞれのテーマを紹介します。
二上 哲也
Nikami Tetsuya
日本アイ・ビー・エム株式会社   
執行役員/IBMフェロー/コンサルティング事業本部 CTO
1990年に日本IBMに入社以来、Java/WebやSOA、API、クラウドネイティブなど最新技術を活用してのお客様システム構築に貢献。現在は 執行役員 IBMフェローとして、IT変革のためのAIソリューション推進をリードしている。

スマートフォンで世界中の人と随時つながり、手のひらの中に大量のデータを持ち歩け、コンピューティング・リソースも瞬時に確保でき、その上、自然言語で様々な問いかけに応えてくれる知識豊富なAIを多くの人が手にしています。モバイルやクラウドを活用しデジタル・トランスフォーメーションを進めていた中、テクノロジーは飛躍的に進化し、その代表例とも言える生成AIの登場によって「決定的な転換期」がITにもたらされました。果たして、私たちはこれら全てを使いこなし十分に生産性を向上したと言えるでしょうか。 世の中を便利にできたと言えるでしょうか。 それがまだ十分でなければ、進め方を変える必要があります。ITの変曲点をとらえ、進化を自分のものとし、働き方や世の中を本当に変えていくためのテクノロジー活用の明確なビジョンとロードマップが必要となります。


2024年、創刊30周年、通巻100号となるProVisionでは、このIT転換期におけるビジョンを描く企業のために、IBMが考える5つのテーマについて特集します。


大きなITの転換期は、実はこれまでにもいくつかありました。それらは克明にProVisionに記録されています。過去という歴史を学ぶことは、現在ひいては未来への考察に必ずやつながっていきます。ProVisionに記された歴史と先人の歩みを振り返りながら「1. ITのフロンティア」とはどうあるべきかを考えていきます。また、世の中を変える起爆剤となっているAIに関しては、誰もが安心して利活用できるように高めてゆくことが求められています。そのためには最初にAIのリスクをしっかり把握し、あらかじめ対処しておく必要があり、「2. AIの信頼性」が重要になります。


そのAIの適用分野として大きく二つ、「3. IT変革のためのAI」と「4. 業務変革のためのAI」を取り上げます。AIによるIT変革としてはコード生成やIT運用の高度化などが考えられますが、その活用はまだ緒についたばかりです。業務変革においては、生成AIで営業日報や稟議書のドラフトの作成をするなど多くの分野で適用が開始されていますが、業務を大きく変革させるところまではまだ到達していません。ここではAI活用の現状をとらえた上で、企業が抱える課題に対しAIで何が解決でき、何をどう発展させることができるのか、事例を交えながら考察していきたいと考えています。さらにその先のビジョンを描くためには、次世代テクノロジーの方向性を把握しておく必要があります。IBMが考える「5. コンピューティングの未来」は、ビジョンを実現するためのロードマップ策定に役立てていただけると思います。


2024年、私たちが直面する大きなIT転換期において、ProVisionが過去を振り返り未来の方向性を示す羅針盤としてお役に立てれば幸いです。

1. ITのフロンティア

ここでは、ProVision30年そして100号の歩みを振り返りながら、この間にどのような変化が起き、何を学び、そしてこれからの未来がどうなるのか、読者の皆さんと考える場にしたと思います。
例えば、1994年に発行された創刊号の特集テーマは「適材適所のコンピューティング」。クライアント/サーバー技術の広まりにより、固定的な接続形態から解放され、多種多様な資源をネットワークを通して柔軟かつ効率的に利用する、分散コンピューティングが大きなインパクトをもたらすことが示唆されていました。
翻って、今私たちは大きな歴史の転換点にいます。AIや量子コンピューターなど新しい技術が急速に進展する中、今まで蓄積してきたコンピューティングの資産を活かしながら新しい可能性が広まろうとしています。IBMでは将来のコンピューティングとして,従来型古典コンピューティング 、AIを効率よく処理できるAI システム 、そして量子コンピューターの3つの異なる特性のコンピューターをハイブリッドクラウドの技術をベースに統合させるビジョンを掲げています。量子コンピューター単独で成長するのではなく、より高度な分散コンピューティングの技術のもと、新たな成長を図って行くものです。
これからのコンピューティング未来を築く上で、30年前に示された視座は、脈々と生きています。

佐貫 俊幸  日本アイ・ビー・エム株式会社 名誉技術理事

2. AIの信頼性

AIの信頼性、それは私たちの仕事や暮らしの中で、AIを安心して使っていくために不可欠な要素です。しかし現状は、生成AIの出現によりAIのリスクが高まり、そのリスクを気にしながらビジネスにAIを使うという状況が続いており、社会が混乱状態にあると言っても過言ではありません。このような混乱した社会に秩序を取り戻すために、世界各国で様々な規制やガイドラインが策定されつつあります。IBMは、AIに対する信念として、オープンと信頼をキーワードに掲げ、AIを安心して使える社会を構築する各種取組みを推進しています。今年のProVisionでは、社会の規制やガイドラインの動向と共に、IBM自身が推進している信頼できるAIへの取組みを紹介していきます。
山田 敦  日本アイ・ビー・エム株式会社 執行役員/技術理事 AIセンター長

3. IT変革のためのAI

AIの活用についてお客様と話し合う中で、「IT部門こそもっとAIを活用すべきなのになかなか進められていない」との声を多く聞きました。そこで実際にお客様と共同で試行してみたところ、生成AIを使う事で既にある程度のコード生成や運用の自動化が可能になる事が分かりました。しかし実際にそれを企業システムに適用しようとすると、自社の開発標準に合った形でAIを組み込んだり、現在の運用プロセスの中にAIを適用する事は一朝一夕にはできない事が分かりました。AIは世の中を変える非常に優れたテクノロジーですが、現在ある企業の環境にどう適用するかが大きな課題になります。
しかし生成AIにより大きなITの転換期を迎えた今こそ、IT変革を前に進めるべき時です。現在の開発手順や運用手順のうち、これまので知見の蓄積による大切な部分は踏襲しつつ、AIの力による大きな効率化やスピード向上を図る事が必要です。ではどうすればそれが実現できるのか。このProVisionの特集を通じ、様々な環境で検討された方策や適用事例を紹介しながら、IT変革を実現するための共創の進め方を共有していきます。

二上 哲也  日本アイ・ビー・エム株式会社 執行役員/IBMフェロー/コンサルティング事業本部 CTO

4. 業務変革のためのAI 

AIの活用はいまや当然のように各企業で検討されています。その検討はこれまでのように企業が既存業務に付加してAIに取り組むという世界から、ビジネスを推進するためにAIファーストで考える、AIを使うと何ができるかという視点で検討する世界に変わってきています。今後数年の中でAIファーストになると覚悟して取り組む企業がリーディング企業となっていくと考えます。汎用的な基盤モデルを使うAIユーザーという立場から、自社の強みを活かした独自性や自社独自のデータをAIに活用して価値創造・価値提供する企業がリーディング企業となっていくとも言えます。こうした動きの中でそれぞれの業界でAIをどう活用しそれによってどのような価値を求めるのか、またその活用において技術的に何が求められるか、業界により特化したAIの活用は一般的なAI活用と何が違うかなど、AIの進化の方向性とともに検討を深めご紹介していきます。
野波 衆太郎  日本アイ・ビー・エム株式会社 執行役員/技術理事

5. コンピューティングの未来

半導体における「ムーアの法則」とともに、0と1のビットで情報を処理するコンピューターは、半世紀以上にわたり飛躍的に処理能力を高め、かつ適用領域を拡大して、今日の情報化社会を支える必須の存在となりました。
そして今、大きな進化のベクトルが新たに生まれています。
その一つが人工知能、AIです。AIは大量のデータから学習した知識をもとに、人の疑問に答えたり、様々な活動を支援したりしますが、昨今かなり複雑な課題にも自動的、かつ高いクオリティで対応することが可能になりつつあります。「3.IT変革のためのAI」で述べられているように、いままで膨大な労力が必要とされてきたITの開発や運用を含むコンピューティングの世界が、AIの広まりと高度化よって大きく変わろうとしています。そしてこの高度化するAIを支える「超低消費電力」な新たなコンピューティング技術も生まれてきています。
もう一つは量子コンピューターです。量子力学の原理を用いて、情報を記述し演算する、全く新しいコンピューターです。膨大な状態をコンパクトに記述できるため、従来のコンピューターでは解くことが困難な課題も対応可能になり、材料や創薬、金融などの高度な課題を扱う世界での展開がすでに始まっています。
これらビット、AI、量子という特性の異なるコンピューティングの能力をハイブリッド・クラウドの技術をベースに統合し、三位一体となって柔軟に活用可能にし、お客様の価値創造に向けた可能性を高めてゆくことがIBMの目指すコンピューティングです。
ここでは、今年60周年を迎えるメインフレームIBM Zの進化と、日々進化を続けるAIの最新テクノロジー、そして量子コンピューターの最新動向をご紹介しながら、IBMが考えるコンピューティングの将来像を具体的に描いていきます。

佐貫 俊幸  日本アイ・ビー・エム株式会社 名誉技術理事
高橋志津  日本アイ・ビー・エム株式会社 理事

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