NVMe関連規格の標準化団体であるNVM Expressが、2024年1月にストレージ内でデータ処理を行うための業界標準「コンピュテーショナル・ストレージ」(Computational Storage)機能を発表しました。
https://nvmexpress.org/nvm-express-announces-the-release-of-the-computational-storage-feature/
コンピュテーショナル・ストレージという言葉には聞きなじみがないかもしれませんが、データを処理するための計算能力をFPGAやASICといった形で持たせたストレージシステム、あるいはストレージドライブと言うと何となくイメージが付くのではないでしょうか。
コンピューテショナル・ストレージという用語はStorage Networking Industry Association (SNIA) という業界団体でも解説されています。
https://www.snia.org/education/what-is-computational-storage
昨今のエンタープライズ向けストレージシステムでは、コントローラーに内蔵されたCPUで圧縮や重複排除、暗号化など様々なデータ処理機能を提供しています。データをアプリケーションが稼働するホストコンピューターに移動させることなくストレージシステム内部で処理させることで、I/Oトラフィックやレイテンシの削減、ホストコンピューターの負荷軽減が可能です。
この考え方を更に一歩進めて、個々のドライブ内部で上記のようなデータ処理を実行することができれば、データをドライブからストレージシステムのメモリに移動させることすら必要なくなり、更に高速な処理が期待できます。
IBM Storage FlashSystem で既に提供されている独自設計のドライブである FlashCore モジュール(FCM)では既にFPGAを実装済みであり、圧縮と暗号化など旧来は制御装置で行っていた処理をFCM上で実行しています。また、最新のFCM4ではランサムウェア検知機能も搭載しています。