2025年4月8日付けでプレビューされた「IBM z/OS 3.2」(製品番号: 5655-ZOS)が、2025年7月22日付けで正式発表されました。稼働前提サーバーは「IBM z15」以降となり、2025年9月30日に一般利用開始(GA)を予定しています。
本ブログでは、z/OS最新リリース「z/OS 3.2」のハイライトを簡単にご紹介します。
【IBM z/OS 3.2の発表】
「IBM z/OS 3.2」 は、比類のない信頼性、拡張性、セキュリティーを必要とする企業の基盤である「IBM z/OS」の最新リリースとして、IBM z17のサポート、AIを活用した新しい機能、IT管理を簡素化する機能強化など、ハイブリッドクラウドとAI向けに設計されており、データの移動に伴うリスクを最小限に抑えながら、重要なアプリケーションデータの潜在能力を最大限に引き出します。メインフレーム・コンピューティングにおける重要なマイルストーンとなるz/OS 3.2は、IBM z17と共にイノベーションとビジネスの成長を促進し、お客様の最も重要なデータを保護しつつ、自動化による運用効率の向上を目指しています。
■発表レター
(英語版) IBM z/OS 3.2 unlocks the value of IBM z17(2025/07/22: AD25-0005)
(日本語版) IBM z/OS 3.2 IBM の価値を解き放つ z17(2025/07/22: AD25-0005)
■BLOG(IBM Poughkeepsie開発)
IBM z/OS 3.2 unlocks the potential of critical application data through hybrid cloud and AI-infused capabilities
【IBM z/OS 3.2を支える3本柱】
■AIによるイノベーションと成長の促進
安全なAIを活用して重要なデータの潜在能力を解き放ち、深い洞察力でビジネスの成長を促進することで、より大きなインパクトをもたらします
■効率化のための変革と自動化
透明性と信頼性のある洞察を獲得し、インテリジェントな自動化を活用することで、z/OSを効率的に管理し、テクノロジー・インフラストラクチャーを簡素化します
■サイバーレジリエンスと最も重要なデータの保護
耐量子暗号化、広範囲な暗号化、整合性スキャン、簡素化されたセキュリティ管理を活用することで、セキュリティ態勢の洞察を発見し、ミッションクリティカルなデータを保護します
【AIによるイノベーションと成長の促進】
z/OSは、AI活用による意思決定を強化し、新たな成長の機会を発見することで、既存のデータとアプリケーションからより大きな価値を引き出すことができるように設計されています。z/OS 3.2は、ハイブリッドクラウドとAI環境でz/OSデータにアクセスできるように設計された最新の APIを通じて、SOR(System of Record)上のデータの価値をお客様が最大限に引き出せるよう支援する予定です
■ハードウェアAIのサポート
z/OSは、Telum II、IBM Z Integrated Accelerator for AI、およびSpyre AI Acceleratorをサポートし、ミッションクリティカルなトランザクションのためのAI機能を有効にして、データ・プライバシーとシステム可用性を確保しながら、ほぼゼロのレイテンシーで洞察を加速します
* 「Spyre AI Accelerato」は、2025年第4四半期に利用可能となる予定
■AIエコシステムのサポート
AI Framework for z/OSを活用して、ネットワーク・パケットの最適なバッチ処理を予測し、ネットワークのCPU使用率を削減します
* 「ネットワーク・パケットのバッチ処理インテリジェンス」は、2025年第4四半期に利用可能となる予定
■Python APIによる予測分析
EzNoSQL Python APIは、z/OSおよびコアビジネス・アプリケーション向けの高度なデータ分析と予測モデリングを実現し、重要なデータから価値を抽出して予測的なビジネス洞察を導き出します
■OAM REST APIによる最新のアクセス方法
DFSMSオブジェクト・アクセスメソッド(OAM)は、業界標準のREST APIを通じて、z/OS上の非構造化データへのアクセスと管理を最新化し、分散環境からコアビジネス・データに簡単にアクセスできるようにします
【効率化のための変革と自動化】
AIおよびアナリティクス・ソリューションをオペレーティング・システムに組み込むことで、システム・プログラマーは透明性が高く信頼できる洞察を獲得し、インテリジェントな自動化を活用してz/OSおよび関連ソフトウェアを効率的に管理できるようになります。z/OS 3.2は、モダナイズされたアプリケーション、新しい環境、APIを使用してテクノロジー・インフラストラクチャーと運用を最適化および簡素化し、ワークロードを一貫して構築、導入、管理可能とする機能を提供する予定です
■WLMによるポリシー・アドバイザー
ワークロードマネージャー(WLM)の新しいポリシー・アドバイザー機能によるガイダンスと推奨事項により、技術的な複雑さとスキル要件が大幅に削減されます
■PARMLIB REST API管理の簡素化
REST APIを使用して多数のz/OS PARMLIBメンバー向けに自動かつ一貫した構文検証を実行することで、PARMLIBの管理を大幅に簡素化し、スキルや労力をほとんど必要とせずにエラー発生のリスクを軽減します
■ソフトウェア更新インストールの自動化
z/OSMFソフトウェア更新アプリケーションに新規追加のREST APIセットにより、ソフトウェア更新インストールの自動化を可能とし、識別されたPTFの導入プロセスを外部アプリケーションから即時開始できる新しいアプリケーション・リンクを実装します
■ストレージ管理UIとREST API
ストレージ管理用の新しいREST APIとユーザー・インターフェイスにより、初期のストレージ管理者がz/OSストレージ管理タスクを実行するための一貫性のある直感的なインターフェイスを提供し、必要なマニュアル操作、スキル、および時間を削減することで生産性が向上します
【サイバーレジリエンスと最も重要なデータの保護】
セキュリティーの脅威が増大し、ますます複雑化する時代に、優位性を維持するには、業界をリードするセキュリティー、回復力、そして次世代の多層防御機能を備えた耐量子テクノロジーが必要です。z/OS 3.2では、ミッションクリティカルなアプリケーションを実行するための、セキュリティーと拡張性が高いプラットフォームを提供し、機密データとシステムをサイバー脅威などから保護する機能を提供する予定です。
■広範囲にわたる暗号化の旅は続く
複数のデータ・タイプに対するきめ細かなデータセット暗号化のサポートに加え、耐量子、広範囲にわたる暗号化の取り組みを進めるため、復号化や解凍を行わずにデータを移動するためのサポートを提供します
■z/OSエコシステムサポートの脅威検出
IBM Threat Detection for z/OS(TDz)のエコシステム・サポートを通じて、データアクセス・ベースの脅威検出AIとRACFユーザーID封じ込めによる新しい隔離機能により、潜在的なサイバー脅威に対する保護をさらに強化します
■暗号化アルゴリズムと集中型デジタル証明書
IBM z17サーバーの新しいCPACF機能によるアプリケーション開発向けNIST標準の耐量子アルゴリズム提供、複数のaltnameを持つRACF集中型デジタル証明書の提供により、新たな業界標準への大規模な対応を強化します
■zCXによるシスプレックス・ディストリビューター活用
IBM z/OS コミュニケーション・サーバーのSysplex Distributorテクノロジーは、複数のz/OS Container Extensions(zCX)インスタンスに作業を分散し、z/OS上で稼働するLinuxコンテナーの可用性、拡張性、および回復力を向上します
【サポート終了機能の開発意向表明】
冒頭の「IBM z/OS 3.2」発表レターには、z/OS 3.2で提供される新機能に加え、既存機能のサポート終了に関する「開発意向表明」(Statement of direction)が含まれています。(計13項目)
いずれも、z/OS 3.2までは継続利用可能であり、z/OS 3.2移行時の必須対応項目とはなりませんが、将来に向けた計画情報として注目ください。
#155【開発意向表明】 z/OS既存機能のサポート終了計画(2025/07/22 z/OS 3.2発表レター掲載内容)
※IBMの計画・目標・意向に関する全ての発表は、将来予告なく変更あるいは取り消される場合があり得ます
以上