z/OS移行時の変更点に伴う影響調査を行う上で役立つ「汎用トラッキング機能」（IBM Generic Tracker for z/OS）は、z/OS標準機能として進化を遂げ、今後も継続的なサポート強化が期待されています。
【「汎用トラッキング機能」の概要】（IBM Generic Tracker for z/OS）
■「汎用トラッキング機能」は、常駐する「GTZ」アドレス空間にて提供され、PARMLIB(GTZPRMxx)メンバーの「TRACKING(ON)」パラメータ指定、または、「SETGTZ TRACKING=ON」コマンドによるトラッキング機能の活動化を必要とします。（省略時解釈： 非活動化）
※GTZアドレス空間は、システム起動時に「SUB=MSTR」指定で自動スタートし、「SYSSTC」サービスクラスにて稼働（PGM=GTZINIT）
GTZ0001I GENERIC TRACKER INITIALIZATION STARTING
GTZ0002I GENERIC TRACKER INITIALIZATION COMPLETE
※PARMLIB(IEASYSxx)メンバーの「GTZ=xx」パラメータ指定により、PARMLIB(GTZPRMxx)メンバーを活動化
※PARMLIB(GTZPRMxx)メンバーの「EXCLUDE」パラメータ、または、「SETGTZ EXCLUDE」コマンドによるExclusionリストが指定可能（トラッキング対象外の事象など）
※SETGTZコマンドによる制御、または、DISPLAY GTZコマンドによる状況確認が可能
■GTZアドレス空間に保持されたTRACKDATA情報は、「D GTZ,TRACKDATA」コマンド、または、「PGM=GTZPRINT」ユーティリティーにて出力可能です。
■z/OS V2R2（APAR OA51475/OA51484）以降、PARMLIB(GTZPRMxx)メンバーの「PERSIST(SMF)」パラメータ指定、または、「SETGTZ PERSIST=SMF」コマンドを実行することで、TRACKDATA情報をSMFタイプ125（サブタイプ1）レコードとして記録可能です。（省略時解釈はOFF： 記録せず）
【「汎用トラッキング機能」（GTZ）の活用例】
■z/OS 3.1では、z/OS V2R2まで使用していた旧形式のSDSFメイン・パネル（MENU）がサポート終了となり、z/OS V2R3以降の新形式パネル（MENU）のみ使用可能です。
※z/OS V2R3～V2R5の場合、SDSFメイン・パネル（MENU）は、旧形式、新形式ともサポート ・・・ パネルのレイアウトに依存したしくみがある場合、新形式への対応を完了するまでの回避策として有効
■当変更の影響調査を行う際、例えば「GTZ」を活用することで、SDSFバッチ・ジョブによる旧形式のSDSFメイン・パネル（MENU）使用状況が確認できます。
#116【z/OS 3.1変更点】 旧形式の「SDSFメイン・パネル」は使用不可（z/OS V2R5がサポート最終リリース）
■「PERSIST(SMF)」機能を活動化している場合、PGM=IFASMFDP、IFASMFDL実行時の「SYSIN DD」ステートメントにUSER2/USER3パラメータ指定を追加することで、記録されたSMFタイプ125（サブタイプ1）レコードのフォーマット処理が可能です。
■PGM=IFASMFDP、IFASMFDL実行時の「SYSIN DD」ステートメントで指定された「USER2(GTZSMFU2)」、「USER3(GTZSMFU3)」パラメータを有効化するには、PARMLIB(SMFPRMxx)メンバーにて、USER2/USER3各ユーザー出口の使用を宣言しておく必要があります。
※上記の事前登録が漏れている場合、エラー・メッセージ出力（SYSPRINT）を伴い、レポート出力不可 ・・・ 「CC08」にて処理完了
IFA840I USER EXIT GTZSMFU2 NOT REGISTERED WITH SYSTEM
IFA840I USER EXIT GTZSMFU3 NOT REGISTERED WITH SYSTEM
【考慮事項】 「RACF SMFアンロード・ユーティリティー」を使用する環境
■PARMLIB(SMFPRMxx)メンバーでは、SMFDPEXIT/SMFDLEXITステートメント共、「USER2(IRRADU00)」パラメータ、「USER3(IRRADU86)」パラメータが省略時解釈として有効なため、「RACF SMFアンロード・ユーティリティー」の実行時、PARMLIB(SMFPRMxx)メンバーに対する特別な明示指定は不要です。
※ADUPRINT： IRR67650I SMF data unload utility has successfully completed.
■一方、PARMLIB(SMFPRMxx)メンバーで前述の「USER2(GTZSMFU2)」パラメータ、「USER3(GTZSMFU3)」パラメータを明示指定した場合、もはや省略時解釈は適用されません。
■「PERSIST(SMF)」パラメータ指定に伴うフォーマット処理（GTZ）、及び、「RACF SMFアンロード・ユーティリティー」の両方を実行するシステムでは、PARMLIB(SMFPRMxx)メンバーにて次のようなパラメータ明示指定を行い、USER2/USER3各ユーザー出口の使用を宣言しておく必要があります。
※「RACF SMFアンロード・ユーティリティー」実行時にIRRADU00/IRRADU86の事前登録が漏れている場合、エラー・メッセージ出力（SYSPRINT）を伴い、「CC08」にて処理完了
IFA840I USER EXIT IRRADU00 NOT REGISTERED WITH SYSTEM
IFA840I USER EXIT IRRADU86 NOT REGISTERED WITH SYSTEM
【関連情報】
■「PERSIST(SMF)」パラメータ指定時は、PGM=IFASMFDP/IFASMFDLによるSMFレコードのフォーマット処理に加え、通常の「D GTZ,TRACKDATA」コマンド実行による情報取得が可能です。
以上