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中部電力におけるIT投資・コスト管理基盤強化の取り組み|2024/6/25開催イベントレポート

By Miho Kataoka posted 3 days ago

  

【講演抄録】2024年6月25日開催 IT Leadership Agenda 2024 お客様事例講演

中部電力におけるIT投資・コスト管理基盤強化の取り組み

2024625日に「IT Leadership Agenda 2024」が、「ITの運用とコスト管理の最前線~経営に資するIT運用高度化への道程~」をテーマに、東京都千代田区の九段会館テラスにて開催されました。その中で行われた講演の抄録をお届けします。

中部電力株式会社  経営戦略本部 DX戦略グループ  主任  喜多 祐真 氏

中部電力株式会社 経営戦略本部 DX戦略グループ 主任 
喜多 祐真 

グループ企業全体のDX推進を担う中部電力

中部地域を拠点とする中部電力株式会社(以下、中部電力)は、電力自由化に伴い、20194月に既存の火力発電事業等を株式会社JERAに統合し、2020年度には送配電事業を担う中部電力パワーグリッド株式会社、および販売事業を担う中部電力ミライズ株式会社に分社化しました。親会社である中部電力株式会社が全社共通的な施策を展開し、中部電力グループのDXを推進しています。中部電力の中長期の経営計画の策定、DX推進に伴うIT投資コスト管理を担当している喜多氏が、中部電力のIT投資とコスト管理基盤強化の取り組みについて説明しました。

中部電力のIT投資コスト管理基盤強化の取り組み

中部電力は、グループ各社に対し、全社共通のDX施策の展開と合わせて各社が利用する各種ITツール等のサービス提供を行っており、提供するサービスに応じて利用料を請求しています。これらの関係性を基に、中部電力は全社共通の施策と各事業の施策を取りまとめ、5カ年の経営計画を作成し、10カ年先までのIT投資額と利用料の見通しを算定しています。

2020年の分社化に向け、各社に提供するITサービスのコストを算定し、配賦計算を通じて利用料を請求する煩雑な作業が必要となりました。配賦計算では、各事業の利用割合を定義した複数の配賦テーブルを作成し、案件ごとに設定して算定する必要があります。この案件と配賦テーブルの組み合わせが非常に多いため、従来のExcelでの管理は困難です。さらに、ほぼすべての算定を1人のExcel作業者が担当していたため、作業が属人化し、他の人がデータを見ても算定方法を理解できないという問題も発生していました。

こうした状況に加え、電力自由化に伴う経営環境の変化やコロナ禍を経てDXの重要性がさらに増し、IT投資の注目度が高まるなど社内外の環境も変化してきました。これらの変化に対応するため、IT投資状況のリアルタイム把握やデータの分かりやすさ、IT投資およびコスト削減の戦略立案が従来以上に重要となっていました。

喜多氏は、「昨今のIT情勢に追従した戦略立案が必要であり、そのためには、IT投資・コスト管理基盤の強化が必要となり、対応の検討を開始しました」と説明します。

IT投資・コスト管理をワンパッケージで実現できるApptioを採用

コスト管理基盤強化の実現に向け、中部電力が重視していたのが次の4点です。

・必要となる各種算定機能を具備している

・いつでもどこでもIT投資・コストの状況が確認できる

TBMと中部電力の管理項目等を組み合わせることで体系的に分析が可能

・さまざまな期間・断面のコスト比較が可能

そして、これらに対応できるツールとして比較検討を行った結果、Apptioが採用されました。喜多氏はその理由を「市場に提供されているデータ加工ツール等を組み合わせることでニーズを満たすことも出来るが、ワンパッケージで必要な機能が実現できる点でApptioが優位であると判断した」と説明します。

2022年度にはApptioの環境構築に専念するため、既存のコストデータの取り込みからスタート。「項目の選定や諸元データ間の表記の揺れの解消など、多岐にわたる調整が必要でした」とそのプロセスを振り返ります。取り込んだデータを基に、減価償却計算や利用料算定などの機能を構築し、分析が可能となるレポート作成も行いました。

そして、2023年度に実データを用いた業務検証を行い、予算策定から期中での予実管理、事業会社への利用料算定まで、すべてApptioで実行可能であることを確認しました。「ユーザ教育として、実務者には予算登録機能や日々の実績登録方法を説明し、管理者向けにはデータの見方や分析の操作方法を説明しました。特に、Apptioの機能をフルに活用するためには、社内の関係者全員が同じ粒度でデータを確認できる環境を提供し、コスト意識を持つことが重要でした」と関係者のコスト意識の重要性を強調します。

Apptio導入で関係者のコスト意識も醸成

今後のIT投資・コスト戦略の取り組み

 出展:中部電力株式会社様講演資料

今後は、IT投資促進とコスト削減に向けた戦略の実施、他システムとの連係強化、グループ一体でのコスト管理、予算と計画値との整合解消を中心に取り組む計画です。「具体的には、昨今のシステム投資規模が増大している状況下で、コスト削減結果を定量的に評価するために、既存システムのコスト削減額の変遷を経年で追跡できる仕組みを検討しています。」と喜多氏。

Apptio導入の効果として、喜多氏はコスト管理機能のワンパッケージ化による業務のスリム化、データの可視化、関係者のコスト意識醸成などを挙げます。「部署内の全員がIT投資・コストの内訳を確認できるようになり、担当者のコスト意識の醸成の一助となりました。また、単なる業務の置換ではなく、既存業務のコスト算定業務そのものを見直し、コスト管理業務のスリム化を実現しました」と評価した上で、「自社のコスト構造を第三者と比較することはコスト戦略において非常に重要な情報のため、今後は国内データの拡充をお願いしたい」とApptioのデータの拡充についての期待を込めました。

【関連資料】

Apptioの詳細

Apptio購入に関するお問合せ

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