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第一回 cosmos partners 連携会議 in 天城 開催報告

By Kaoru Shinkawa posted Mon July 22, 2024 05:46 AM

  

第一回 cosmos partners 連携会議 in 天城 開催報告

Kurashima

倉島 菜つ美
IBMフェロー
日本IBM株式会社 ビジネス・トランスフォーメーション・サービス CTO
日本IBM-Kyndryl-Red Hat 女性技術者コミュニティー cosmos リーダー

cosmos partners始動!

女性技術者コミュニティーcosmos[1]では、昨年9月にリブランディング[2を実施するとともに、女性技術者コミュニティーやその支援者同士が緩やかに連携する「cosmos partners」という枠組みを立ち上げました。cosmos partnersは、女性技術者も、そうでない人も、女性技術者コミュニティーの活動に賛同する人であれば誰でも参加可能な、cosmosを核とする緩やかなコミュニティーです。

この度、その記念すべき最初のイベントとして、「第一回cosmos partners連携会議」を天城ホームステッドにて612日(水) - 13日(木)の一泊二日の日程で開催いたしました。この記事では、このcosmos partners連携会議について、振り返ります。

第一回cosmos partners連携会議概要

cosmos partners連携会議は、日頃から女性技術者の活躍推進に心を砕いている企業・団体が集い、女性技術者活躍推進や、そのためのコミュニティー活動についての情報交換・意見交換とともに、よりよい活動を目指し、課題や解決策について話し合う場として開催されました。一回限りの場ではなく、今後も継続するという意思を込め「第一回」としています。

初めて開催する会議にもかかわらず、多くのcosmos partners企業・団体にご出席いただき、このテーマへの関心の高さが窺われました。ご参加いただいた企業・団体は以下のとおりです。

(五十音順・敬称略)

  株式会社アイ・ラーニング   NPO法人 J-Win技術分科会
  旭化成エレクトロニクス株式会社   JSR株式会社
  アサヒグループホールディングス株式会社   JFEスチール株式会社
  味の素株式会社   ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
  キオクシア株式会社   トヨタ自動車株式会社
  京セラコミュニケーションシステム株式会社   株式会社日立製作所
  コニカミノルタ株式会社   UiPath株式会社
  国立研究開発法人 産業技術総合研究所

上記に、cosmosを構成するキンドリルジャパン株式会社、レッドハット株式会社そして日本アイ・ビー・エム株式会社の三社を加えた18社・団体から総勢36名が出席しました。

二日間にわたる会議のアジェンダは以下のとおりです。


初対面同士も多かったことから、最初に全員で自己紹介を行い、その後、ゲスト講師で慶應義塾大学教授の満倉 靖恵先生より「最新の脳科学からみた人の心の動き方!〜心が動いた瞬間をみることができる世界初の装置感情アナライザ誕生まで〜」というテーマでご講演いただきました。人の感情を可視化する世界初のリアルタイム感情認識装置「感性アナライザ」をはじめ、感情、感性に関わる様々な研究についてご紹介いただきました。また、女性はバイオリズムによって集中度やストレス度が変動するため、自分自身のバイオリズムを知ることも重要、というお話が印象的でした。

そのあとは休憩と記念写真の撮影です。この日はやや雲の多い日でしたが、ちょうど記念撮影のタイミングで晴れ間が出て、明るい写真となりました。

記念撮影の後は、その後のワークショップでのディスカッションに向けたインプットとして、cosmos leader 倉島より cosmos 活動の updatecosmos advisor 大久保より「メンバーのキャリアに向き合う〜女性技術者育成 現場からの学び〜」、cosmos sub-leader 田端より「AIと自動化がもたらす働き方改革と女性活躍」というテーマで、それぞれ講演いたしました。

ワークショップ

インプットセッションの後は、いよいよワークショップです。検討テーマは、以下のとおり設定しました。

女性技術者が活き活きと働ける会社と社会の実現を目指し、各社の女性技術者コミュニティーの発足または運営が抱える課題の共有と、対策についてのディスカッションを行い、今後のアクションに繋げる。

ワークショップは、アジャイル・プロジェクトでしばしば活用されるKPT法のフレームワークを用いて実施しました。具体的には以下のようなステップで、6-7人のグループによるグループワークと全体での共有・ディスカッションを交互に実施しました。

ステップ 1.  [グループワーク#1] 各社技術者コミュニティーの発足または運営における継続すべきよい点(Keep)と解決すべき課題(Problem)の洗い出しと整理(45分)

ステップ 2.  全体でグループワーク#1結果の共有(30分)

ステップ 3.  [グループワーク#2] 課題への対策と未来に向けたアクション(Try)の検討と整理(90分)

ステップ 4.  全体でグループワーク#2結果の共有とディスカッション(80分)

ステップ1のよい点(Keep)と課題(Problem)の洗い出しでは、所属会社・団体により現状にばらつきはあるものの、共通点も多くみられました。具体的に上がった内容をサマリーすると以下のとおりです。なお、これらはグループ・ディスカッションの中で挙がった内容であり、参加いただいた皆さま全体の総意ではない点にご留意ください。

継続すべきよい点(Keep

  • 経営層が女性活躍やコミュニティーの重要性を認識している。
  • トップのコミットメントとサポートがある。
  • コミュニティーメンバーが主体性を持って楽しんで活動している
  • 具体的な目標が設定されている。
  • 定量的および定性的な評価の結果成果が出てきていると感じる。
  • 組織を超えたコミュニケーションによりネットワークが強化されている。
  • 男性も含めて育児休暇、介護休暇を取る人が増えている。
  • 活動の発信により社員の意識が変わってきていると感じる。
  • コミュニティーの中で心理的安全性が確立されてきている。
  • 負担の少ない緩やかな関係づくりができている。
  • 同じ課題を持った人同士でコミュニケーションができている。
  • コミュニティーが心の拠り所となっている。
  • 社内の幅広い組織と接することで製品に対する愛が高まっている。
  • 自ら発信することで視野が広まっていると感じる。
  • コミュニティー活動を通じてリーダーシップが培われる。
  • ロールモデルが見つけやすくなった。

課題(Problem

  • 女性活躍推進活動に対する理解が不足している。
  • 活動に対する理解が浸透しておらず、上司のサポートが得られない。
  • 男性ステークホルダーの巻き込みが不足している。
  • 女性技術者活躍の必要性やメリットの(経営層への)説明が難しい。
  • 予算が確保しにくい。
  • 本業に加えての活動となり、負担感が大きい。
  • 業務や子育てとコミュニティー活動との両立が難しい。
  • 活動を支えるメンバーの人選が難しい。
  • 参加メンバーが固定化してしまう。
  • 成果が実感できないとモチベーションが継続しない。
  • コミュニティー・イベントを企画・実施する際、集客が難しい。
  • コミュニティー活動が単なる懇親会になってしまっている。
  • 周囲の理解がないと継続しにくい。
  • 性別に関わらず非協力的な層が一定数存在する。
  • 女性ばかりの活動に女性自身からの反発もある。
  • 理系を目指す女子学生が少ないため、結果として技術職の女性が少ないのではないか。

これらを踏まえて、次のグループワーク#2で洗い出されたアクション(Try)は以下のとおりです。

今後に向けたアクション(Try

  • 育休復帰、キャリア入社などテーマを決めた座談会の開催
  • ギブバック・カルチャーの醸成
  • 本業とコミュニティー活動との両立を会社として支援
  • AI導入などにより仕事の効率を挙げ、コミュニティー活動の時間を創出
  • 目的・意義の明確化とフィードバックの仕組み
  • コミュニティー活動の価値訴求効果の数値化、見える化
  • コミュニティーへの参加障壁の排除
  • ステークホルダー(経営層、男性社員など)への働きかけ、巻き込み
  • メンタリングなどを通じた女性自身の意識改革
  • 将来に向け、女子小中高生に理系の面白さを知ってもらう活動(イベントなど)

グループワーク#2には90分、全体での共有とディスカッションには80分を確保していたのですが、その時間があっという間に思えるほど、さまざまな意見の中に発見や気付きがあり、考えさせられる時間でした。

以下は、グループワークの際にアイデアを書き出すのに使ったワークシートです。

まとめ

今回、cosmos partners連携会議に参加いただい皆様の所属企業や団体の状況は必ずしも同じではなく、すでに女性技術者コミュニティーを立ち上げて活動しているケースもあれば、まだ立ち上げたばかりだったり、これから立ち上げようというケースもありました。しかし、状況によらず共通の課題も多くあり、共感したり、一緒に解決策を考えたりと、有意義な時間を過ごすことができたと感じています。

今回は解決策に向けたアイデアだしができたところですが、今後もcosmos partnersの枠組みの中で緩やかにつながりながら、女性技術者が活き活きと働ける環境づくりに貢献してゆきたいと考えています。来年、第二回cosmos partners連携会議でお会いできるのを楽しみにしています。

参考文献

[1] IBM Community Japan cosmosホームページ

[2] cosmosリブランディング裏話

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