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ビジネス指向のシステム運用管理を目指して

By Takako Kugai posted Thu April 11, 2024 11:10 PM

  

2024年の今年、メインフレームは60周年を迎えますが、これはメインフレームのシステム運用の歴史と完全に一致します。

システム活動履歴を示す「ログ」がメインフレーム・サーバーと直接接続されたプリンターで出力され、それをITエンジニアが目視確認していたという時代から始まり、ITシステムの重要度が増す中でその運用の対応も、より迅速化・自動化されていくことが求められてきました。

現在多くの国内のお客様でイメージされるメインフレーム運用とは、「必要な時間帯に必要な品質でITサービスを継続し続けること」を目標に、管理対象、監視項目、監視方法を精密に定義し、確認していく作業であり、それをいかに効率良く継続実行していくかを追求するもの、であるかと思います。

約25年前にシステム運用業界で一大ブームとなったITIL(Information Technology Infrastructure Library)は、上記のイメージに則り、過去に多くのIT運用担当者が経験や実績から編み出した運用メソドロジーを整理・体系化したものとして、非常に受け入れやすい指針でした。実は同時期に、IBMから、ビジネス・アプリケーションの稼働状況を一気通貫で可視化する最初のソリューションが世に出、日本以外の多くの国ではITILと共に実装されています。これはこのソリューションが、ITILが唱えた最終目標「ITサービスが組織のビジネスニーズに合わせて提供されていることを示す」を目指していたからだったのですが、残念ながら日本国内では広がりませんでした。理由としては、ITILをベースにした運用レベルチェックでは、一度完璧な運用設計を作ってしまえば当面の「サービスの継続」の目標はクリアできると認識されたこと、IT資源ではなくビジネスを管理対象とすると、最初の運用設計が煩雑になる上にビジネス変化をフォローし続ける必要があり実装のハードルが上がったこと、多くのお客様でメインフレームと分散システムが別部門で運用されていて統合が困難だったこと、が挙げられます。この日本のシステム運用のガラパゴス化は、運用への投資をビジネス観点ではなく、単なる運用コスト観点のみで判断しようとするなどの弊害も生んでいます。

IBM が提供する AIOps の価値導入への道筋

2020年、IBM Instana Observability (*1, *2)ソリューションが出荷開始になり、同じ頃、「可観測性ソリューション」という言葉がバズワード化しました。これは唐突に出てきたわけではなく、25年前のビジネス・サービス管理の概念を実績に基づいてより進化させたものです。これにより、旧来のイベント(WTOメッセージやアプリケーション・メッセージ、ネットワーク・イベント)、アプリーケーション・パフォーマンス(SMFログ)の監視メソッドに加え、トレース監視を組み込んだ統合監視ソリューションが可能になります。

最新の可観測性ソリューション:IBM Instana Observability の最大の特徴は、25年前に日本国内で問題となっていた煩雑だった運用設計を自動化し、劇的に簡略化したことです。アプリケーションのフローを事前定義することなく、ソフトウェアを導入した直後に、稼働アプリケーションをトレースし、アプリケーション・フローを自動的に描画します。

個別アプリケーション サマリー

個別アプリケーション 依存関係

アプリケーションのパーツであるミドルウェアやデータベースの状況は、フローからクリックすることでドリルダウン監視が可能です。アプリケーション分析のためのワークロードは不要です。操作性に関しては、ガイドなしでもすぐに利用できると出荷当初から非常に高い評価をいただいており、2023年にはG2.comでAPMリーダーに選出されています(*3)。

個別アプリケーションーサービス 分析

また、長年メインフレームにおけるアプリケーション・パフォーマンス管理(APM)ソリューションの要であるOMEGAMONシリーズとの統合機能を利用することにより、ドリルダウン監視の先にOMEGAMONからの資源の詳細パフォーマンス情報を取得することができるようになっています。これは、z/OS及びメインフレーム・ミドルウェアのAPM監視のベスト・プラクティスとトレース監視を組み合わせ、より高度な監視ソリューションを容易に実現できることを意味します。

Instanaトランザクション・トレースから OMEGAMONへのリンク

また、Instanaの監視イベントは機械学習の対象となり、傾向分析やアノマリー検知にも利用することができます。普段と異なるトランザクション処理状況を自動検知し、必要な担当者に通知することで、複雑なシステム環境のインシデントを迅速にビジネスと連携し、適切な判断に繋げていくことが可能となります。

Instanaソリューションは多くのお客様のご期待に応えるべく、現在も進化中です。当初サポートされていなかったミドルウェアの組み合わせはこの3年余りで大幅に追加され、さらにこれから世に出てくる新しいアプリケーションやシステムへの対応にも対応していきます。これからの運用高度化の可能性と効果について、是非ご一緒に体感し、議論させていただければと思います。

参考

*1: IBM Instana Observability

https://www.ibm.com/jp-ja/products/instana

*2:メインフレームの可観測性ソリューション

https://www.ibm.com/jp-ja/products/instana/mainframe-monitoring

*3: Best Application Performance Monitoring (APM) Tools

https://www.g2.com/categories/application-performance-monitoring-apm#grid

IBM Provision サステナブルなITによるDX推進(第4回) AIOpsを利用したIBM zSystmsの運用改善   (vol98-0012-mainframe)

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