z/OS 3.1 SDSFでは、「SDSFオプション・フィーチャー」(FEATURE)という考え方が新登場し、その一つとして「Event Log」(ELOG)フィーチャーが提供されました。
ELOGフィーチャーを使用すると、ENFやSMFを通じて重要なシステム・イベントに関する情報収集が行われ、ELOGパネル(z/OS 3.1新機能)にて内容を表示することが可能です。
※イベント名(16桁)(NAME)
※カテゴリー名(8桁)(Category)
■ELOG(EVENT LOG)パネルの表示例(SDSFサーバー始動直後の様子)
※NPカラムにて「L」コマンドを実行し、OPERLOGで該当のイベントを確認可能


■ELOGフィーチャーの使用は任意ですが、省略時解釈として「START(YES)」オプション(FEATUREステートメント)が有効なため、PARMLIB(ISFPRMxx)メンバーにて「START(NO)」オプションを明示指定しない限り、SDSFサーバー始動時に自動的に開始(活動化)されます。
※z/OS 3.1提供のISF.SISFJCL(ISFPRM00)メンバーは、ELOGフィーチャー関連の明示指定を含む
※「START(NO)」オプション明示指定時は、SDSFサーバー起動・停止時のISF365I、ISF366Iメッセージが未出力
■ELOGフィーチャー向けにFEATENTステートメントを追加指定することで、処理対象のカテゴリー、イベントを限定することが可能です。
【SMF関連情報の収集】
■ELOGフィーチャーによるSMF関連情報の収集は、「IEFU86」 Exitルーチンを通じて行われます。
※以前より使用可能な、SMFレコードの書き込み処理を抑止するSMF Exitルーチン(IEFU83、IEFU84、IEFU85)は、それぞれ決められた環境でのみ制御を受け、かつ、SMF標準ヘッダー(レコード・タイプ 255まで)のみ対象という制約あり
※z/OS V2R3で新登場したSMF Exitルーチン(IEFU86)は汎用性が高く、環境依存なしで制御を受けることができ、かつ、SMF標準ヘッダー(レコード・タイプ 0~255)、拡張ヘッダー(レコード・タイプ 0~2047)の両方をサポート
■冒頭の画面キャプチャーにある通り、SDSFサーバー始動時(ELOGフィーチャー開始時)には、動的LPA機能を通じてSDSF独自のSMF Exitルーチン(HSFU86)が組み込まれ、SMF関連情報の収集に備えています。
※SDSFサーバー始動時に、「START(NO)」オプション指定にてELOGを開始せず、その後、「F SDSF,S ELOG」コマンドで開始した場合も同様な挙動
【考慮事項➀】
■ELOGフィーチャー(ELOGパネル)を使用する場合は、SMF関連情報を収集する際の網羅性を高めるため、PARMLIB(SMFPRMxx)メンバーで指定されたSYS、STC、および、JES2サブシステムに対して「IEFU86」 Exitルーチンを定義する必要があります。
※「IEFU86」 Exitルーチンが未定義の場合、重要なシステム・イベントがELOGパネルで表示できない可能性あり
※ELOG監視対象外のASCH、TSOサブシステムは、「IEFU86」 Exitルーチンが定義不要
■ELOGフィーチャー開始時に、PARMLIB(SMFPRMxx)メンバーで指定されたSTC、JES2サブシステムに対して「IEFU86」 Exitルーチンが未定義の場合、SDSF APAR PH62897以降では、HSF0066W新規メッセージを出力します。
※SDSFサーバー始動時に、「START(NO)」オプション指定にてELOGを開始せず、その後、「F SDSF,S ELOG」コマンドで開始した場合も同様な挙動
※z/OS 3.1 SDSF APAR PH62897(PTF UI98446)※2024年9月出荷 https://www.ibm.com/support/pages/apar/PH62897
■APAR PH62897による機能変更前は、STC、JES2サブシステムに対して「IEFU86」 Exitルーチンが未定義の場合でも、それを通知するメッセージ出力はありませんでした。
■機能変更後の挙動例
【考慮事項➁】
■PARMLIB(SMFPRMxx)メンバーにてJES2、STCなどのSUBSYSステートメントを省略した場合、SYSステートメントにおけるEXITSパラメータ指定が各々に対して適用されます。
※「IEFU86」 Exitは全てのサブシステムでサポート
■現時点では下記の通り、SYSステートメントのEXITSパラメータで「IEFU86」が未定義の場合はHSF0066Wメッセージを出力しませんが、将来的にはAPAR等の対応を通じて機能修正される可能性があります。
【追加情報: 2025/05/17】
■SYSステートメントのEXITSパラメータで「IEFU86」が未定義の場合、HSF0066Wメッセージを出力するように変更されました。
※z/OS 3.1 SDSF APAR PH66437(PTF UO03150)※2025年5月出荷 https://www.ibm.com/support/pages/apar/PH66437
以上