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【開催レポート】2024年6月25日 IT Leadership Agenda 2024 ITの運用とコスト管理の最前線 〜 経営に資するIT運用高度化への道程

By Miho Kataoka posted Thu August 29, 2024 11:00 PM

  

【開催レポート】2024年6月25日 IT Leadership Agenda 2024
ITの運用とコスト管理の最前線  〜 経営に資するIT運用高度化への道程

20240625 IT Leadership Agenda 2024 会場風景

ITが経営を支える重要な要素となる一方、システムはクラウドとオンプレミスの混在、顧客や取引先をつなぐアプリケーション環境など、複雑化しています。加えて、さまざまなコストの増加、優秀な人財の獲得が困難となる中で、日々の安定稼働と経営の求める“攻め”のIT活用の両立が難しくなっています。経営に貢献するためにIT運用をどのように高度化していけばよいのでしょうか。

日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)は2024625日、「ITの運用とコスト管理」をテーマとするセミナー「IT Leadership Agenda 2024」を東京都千代田区の九段会館テラスにて開催し、多くのお客様にご参加いただきました。当記事では、そのレポートをお届けします。

テクノロジーが真にビジネスに価値をもたらすために

オープニングではIBMテクノロジー事業本部 データ・AI・オートメーション事業部 理事 オートメーション事業部長の上野亜紀子が挨拶に立ち、IBMIT運用の高度化をどのようにとらえているかを簡単に説明しました。

 

多くの企業にとってテクノロジーはビジネスを遂行する手立てとなっています。目指すところはビジネス価値の最大化であり、お客様はビジネスとテクノロジーの間にある「アプリケーションとデジタル・サービス」に多くの投資をしています。その層のシステムの稼働状況が良好かどうか(ヘルス&パフォーマンス)、コストの見える化・最適化がなされているか(コスト&計画)はビジネスに大きな影響を及ぼします。上野は「IBMではこの2つの側面での管理が非常に重要と考えています。これらの管理をしっかりしていくことで、テクノロジーが真にビジネスに価値を提供していけるのではないか」と問題を提示しました。

DXの本質をとらえ、ITインフラの在り方を考える

経済産業省  商務情報政策局 情報経済課 アーキテクチャ戦略企画室長  博士(工学)  和泉 憲明 氏

基調講演には、経済産業省でデジタル戦略立案をリードしてきた和泉憲明氏が登壇しました。「生き残りをかけた日本企業のDX〜経営とITインフラの在り方と最新動向〜」というテーマでDXの現状を踏まえながら、デジタル時代の経営インフラ整備の考え方を語りました。

冒頭で和泉氏は、自身がデジタル政策にかかわってきた経験から日本のデジタル化の課題に言及。ドイツの道路政策や明治維新における近代化のアプローチを例に出しつつ、「未来像を具現化するためには、現状の課題を起点とするのではなく、インフラ起点のシステム思考とデザイン思考にすべき」と明言しました。

DXの現状については「私たちが気づかないうちにDXは始まっており、皆が乗り遅れている」と警鐘を鳴らします。ゲームやアプリケーションの世界だけでなく、製造業でも競争の仕組みが変わっていることに触れ、製品の競争力はどのようなインフラを用意するかにかかっていると指摘しました。

経営プラットフォームやITインフラを考える上で重要なのは目的を明らかにすることだと和泉氏は説きます。「どういう価値提供(サービス)を行うか、インフラによってその価値をどのように増幅させるかを考えるべき。またDX人材の思考には、今を是として足し算するのではなく、何を引き継がないのかという引き算も重要」と話しました。

さらに生成AIについて和泉氏は、技術が社会にどう受け入れられるか、世の中の変化を見極めることがポイントとして挙げつつ、「デジタル経営の本質はデータ活用によって市場変化に即応できる企業だ」と語りました。そして改めて経営がIT(データ分析)を使いこなし、戦略を打ち出すことが生き残りに不可欠であると強調。「そのためには同じ目的を協働で追求する、伴走型の支援が不可欠」と結びました。

各社の抱える課題と解決に向けたアプローチとは

続いて、IBMのお客様3社から、IT運用管理に関する実践事例が紹介されました。

事例1 NECにおける社内DXの取り組み――クラウドコスト・パフォーマンスの最適化
日本電気株式会社  コーポレートIT・デジタル部門  ITインフラサービス統括部  PFアーキテクチャG ディレクター

日本電気株式会社(以下、NEC) コーポレートIT・デジタル部門 ITインフラサービス統括部 PF アーキテクチャG ディレクターの辻川洋介氏からは、同社が実践している社内DXの中でも「運用DX」に的を絞り、ITインフラの可視化とクラウドコスト・パフォーマンス最適化に関する事例を紹介いただきました。

「運用DXにおいては、データ分析、運用管理、可視化、セキュリティー高度化、自動化、監視、データ収集の6つの領域を取り込んだインテリジェントな運用プラットフォームを構築し、データだけではなくデジタルネイティブな運用モデルへと運用全体を統合することを目指しています」と辻川氏は説明します。

NECは、分散クラウド時代を見据えた運用基盤としてデジタルネイティブ運用モデルを構築しました。ITダッシュボードにより、同社が使用する約100のクラウド・サービス、3万台のサーバー、35万台のクライアントなどを対象に社内ITの情報を共有し、全社員がIT運用の状況を把握して状況に応じた判断ができるようにしました。その運用モデルの中でマルチクラウド環境の最適化を担うために「IBM Turbonomic」を採用。導入後は日常の運用の中でコストとパフォーマンスの最適化を進め、導入から5カ月で10%から20%のクラウド・コスト削減が実現されました。
出典:日本電気株式会社様講演資料

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事例2 かんぽ生命が実現した、クラウドに求められる可観測性

かんぽシステムソリューションズ株式会社  システムサービス本部 クラウドインフラ部  兼 NEXTプロジェクト統括本部 クラウドCoE室  上席専門役  一井 茂雄 氏

かんぽシステムソリューションズ株式会社システムサービス本部 クラウドインフラ部の一井茂雄氏からは、クラウドの活用とそれに伴う「可観測性」の導入についてご紹介いただきました。

株式会社かんぽ生命保険(以下、かんぽ生命)では、CX/DXを支える手段の一つとしてクラウド利用を本格化させてきました。重要業務でのクラウド採用が拡大するに伴い、ビジネス要求に応えるには、従来型の監視では課題を感じるようになっていました。クラウド環境における監視や障害対応が難しいこと、そして監視のための「作り込み」により、システム構築のスピードが鈍化するという課題がありました。

そこでかんぽ生命はクラウド監視に特化したツールの導入を検討し、アプリケーションのパフォーマンスを監視するAPMソリューション「IBM Instana Observability(以下、Instana)」を採用。Instanaのもたらす可観測性により、サービス障害の検知ケースのカバレッジが76%から90%に拡充し、ユーザー影響度の把握にかかる時間は50%以上削減しました(いずれも同社過去実績対比)。また「かんぽ生命ではInstanaをインフラチームだけでなくアプリチームも利用し、効率的な改善につながっています」と一井氏は付随効果についても語りました。
出典:かんぽシステムソリューションズ株式会社様講演資料

かんぽシステムソリューションズ様のより詳しい事例講演レポートはこちら

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事例3 中部電力のIT投資・コスト管理基盤強化の取り組み

中部電力株式会社  経営戦略本部 DX戦略グループ  主任  喜多 祐真 氏

中部電力株式会社(以下、中部電力)は20204月に送配電事業および販売事業を分社化しました。DXの推進にあたっては事業持ち株会社である中部電力が全社共通のDX施策展開を受け持ち、各社にITツールやシステムを提供してサービス利用料を回収するというスキームをとっています。DXに関する経営計画策定およびIT投資とコスト管理業務に当たっている、同社戦略本部 DX戦略グループの喜多祐真氏は「利用料の算定は膨大な作業だったために、これまではデータ加工ツールを導入して、各社への利用料配賦計算など必要となる算定処理単位に機能を構築して算定してきました」と説明します。

2022年以降は社内外の環境変化に早期に対応するため、高頻度でIT投資状況を経営層に報告する必要が高まり、IT投資内訳の説明責任が増しました。算定に時間がかかること、データ分類が担当者以外には分かりにくいといった課題に対して、中部電力ではIT投資の最適化を実現する方法論である「TBMTechnology Business Management)」を採用し、その実践を支援するSaaSソリューション「Apptio」を導入ITコストマネジメントの高度化・効率化を進めました。

その結果、コスト管理機能のワンパッケージ化による業務のスリム化、データの可視化、関係者のコスト意識醸成などの効果が上がっているといいます。「部署内の全員がIT投資・コストの内訳を確認できるようになり、担当者のコスト意識の醸成の一助となりました。また、単なる業務の置換ではなく、既存業務のコスト算定業務そのものを見直し、業務のスリム化を実現しました」と評価しています。

出典:中部電力株式会社様講演資料

中部電力様のより詳しい事例講演レポートはこちら

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AIドリブンな企業運営と価値管理でIT環境をモダナイズ

IBM Corporation  Product Development of IT Automation,  IBM Software,Vice President  Michael Kwok, Ph.D

最後にIBMIT Automationを担当する副社長のMichael Kwokが登壇しました。

IT運用には、安定性、俊敏なITオペレーション、高いコスト効率が求められる一方、ITインフラの複雑性は増すばかりです。実際に、55%のビジネス・リーダーがテクノロジー支出の重要な情報を持たず*175%の企業が『ハイブリッドクラウド・トランスフォーメーションから確固たるROIを得られていない*2』と苦境を口にしています」と、Kwokはお客様の課題を指摘します。これらの課題を解決してテクノロジー投資をビジネス成果につなげるには、テクノロジー、アプリケーションとデジタル・サービス、ビジネスの連携が必要です。これら全てを連携させて価値を生み出すのがIBMの運用ソリュション「IBM IT Automation」です。

*1: The Transparency Imperative: How Visibility into Technology Spending Drives Business Value,” 1 July 2021

*2: Maximize the Value of Hybrid Cloud in the Generative AI Era,” February 2024,

Kwokは「IBM IT Automationは継続的に価値を提供し、サプライチェーン全体でアプリケーションを担保する包括的なポートフォリオです」と紹介し、構成されるソリューションの特徴を説明しました。また、グローバルでの5つのユースケース挙げ、「最小限のコストでのアプリケーションのパフォーマンス保証」「パブリッククラウドの支出管理(FinOps)」「ユーザーに影響が及ぶ前のアプリケーションの問題解決」「ITの計画立案、予算策定、フォーキャスト業務の合理化」「ITのカーボンフットプリントの削減」といった効果を説明しました。

た、AIでアプリケーションのライフサイクルをコントロールする「IBM Concert」をビデオで紹介し、包括的なソリューションでIT投資の価値を最大化していくことを強調。製品のイノベーションを図っていくことを伝えました。

Michael Kwokのより詳しい事例講演レポートはこちら

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【関連リンク】

お客様事例、ならびにIBM講演のより詳しいレポートは以下からお読みいただけます。

→ お客様事例1NECにおける社内DXの取り組み ―クラウドコスト・パフォーマンスの最適化

→ お客様事例2かんぽ生命が実現した、クラウドに求められる可観測性

→ お客様事例3中部電力のIT投資・コスト管理基盤強化の取り組み

→ IBM講演:        AIドリブンな企業運営と価値管理でIT環境をモダナイズ 

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