【講演抄録】2024年6月25開催 Leadership Agenda 2024 IBM講演
AIドリブンな企業運営と価値管理でIT環境をモダナイズ
2024年6月25日に「IT Leadership Agenda 2024」が、「ITの運用とコスト管理の最前線~経営に資するIT運用高度化への道程~」をテーマに、東京都千代田区の九段会館テラスにて開催されました。その中で行われた講演の抄録をお届けします。
IBM Corporation Product Development of IT Automation,
IBM Software, Vice President Michael Kwok, Ph.D
IBM講演ではIBMのIT Automation開発責任者であるMichael Kwokが、IT Automationの製品ポートフォリオと、お客様をどのようにご支援できるかについて、ユースケースなども交えながら紹介しました。
テクノロジー、ソリューション、ビジネスをつなぐIT Automation
生成AIの進化もあって、日々膨大な量のデータが生まれている中で「IT運用がビジネスオペレーションの根幹となり、ビジネスの成功要因になっています」とKwokは語ります。
しかし、現状と理想にはギャップがあります。「成功を収めるには、ITインフラの安定性、俊敏なITオペレーション、高いコスト効率が求められていますが、IT環境の複雑性は増すばかりです。実際に、55%のビジネス・リーダーがテクノロジー支出の重要な情報を持たず*1、75%の企業では『ハイブリッドクラウド・トランスフォーメーションから確固たるROIを得られていない*2』と苦境を口にしています。しかも1時間ダウンタイムの影響を受けた場合に発生するコストも高額で、ITは大きなプレッシャーにさらされているのです」と、課題を指摘します。
*1: “The Transparency Imperative: How Visibility into Technology Spending Drives Business Value,” 1 July 2021
*2: “Maximize the Value of Hybrid Cloud in the Generative AI Era,” February 2024
こうした課題に対処するには、クラウド、オンプレミスなどのテクノロジーとコスト、アプリケーションとデジタル・サービスのプロダクトとオペレーション、そしてビジネスの価値をきちんと連動させなければなりません。Kwokは「IBMにはそれを実現するソリューションがあります」と、IBM IT Automationを紹介しました。
IBM Automationは包括的なポートフォリオを持ち、多くの製品から構成されています。
人件費やプロジェクトの進捗などITプロジェクトを管理するエンタープライズ・プラニング・ソリューションの「Targetprocess」はIT費用の管理を行う「Appitio」の一部であり、ITプロジェクトの人件費やステータス管理をし、Apptioと組み合わせることで、アジャイル・プログラムのコストを追跡し、投資の最適化を行うことができます。
また、クラウドの費用を管理する管理ソリューションである「Cloudability」と、リソースマネジメント・アプリケーションの「Turbonomic」と組み合わせて、包括的なFinOpsオペレーションのポートフォリオが構成できます。
非常に複雑なIT環境の中でリアルタイムな可観測性を提供するのが「Instana」です。開発者の障害対応の時間を大幅に短縮し、アプリケーションのアップタイムを改善します。そして「Cloud Pak for AIOps」では全体的なイベント管理やインシデント管理に重点を置き、運用で起きたイベントのデータ相関関係を作成し、AIによって問題に対する洞察を支援します。
IBMのソリューションを組み合わせて効果を上げるユースケースTop5
Kwokは「IBM IT Automationは継続的に価値を提供し、サプライチェーン全体でアプリケーションを担保する包括的なポートフォリオです。一つの製品を使ってもメリットは得られますが、複数の製品を組み合わせることで、1+1が3になるといった高い価値を実現することができます」と語り、ユースケースのTop5を紹介ました。
出展:IBM講演資料
1つ目は、パフォーマンスを意識したITリソースの最適化です。InstanaやTurbonomicなどを利用することで、アプリケーションがサービス・レベル目標を満たすために、必要なリソースを確実に利用できるようにします。KwokはITの役割をコスト削減だけではなく「アプリケーションをビジネスに提供することと、継続的なアップタイムと回復力を保証してアプリケーションを守ること。そして KPIを守ることです」と話しました。
BT Business社事例 BBC Studios社事例
2つ目は、パブリッククラウドの支出管理、FinOpsです。CloudabilityとTurbonomicによって、クラウド・リソースを最適化して無駄を排除し、クラウド・プロバイダーの割引を最大化するためにFinOpsを導入します。
Carhartt社事例 Securian Financial Group事例
3つ目は、ユーザに影響が及ぶ前の問題解決です。Instana、Cloud Pak for AIOps、ネットワーク運用のSevOneによって早期に問題を検知して修復することで、ダウンタイムを回避してビジネスへの影響を防ぎます。
ExaVault社事例 Electrolux AB社事例
4つ目は、ITの計画立案、予算策定、フォーキャスト業務の合理化です。Apptio、Taregetprocess、Flexeraによって、IT支出と人件費を観察して、コストの透明性を提供し、リソースを戦略的優先事項に合わせて調整し、投資を最適化します。
Northwell Health社事例 CoBank社事例
5つ目は、ITのカーボンフットプリントの削減です。Turbonomic、Cloudability、Apptio、InstanaによってITの運用データを分析して、サスティナビリティーを重視したリソースの最適化を促進し、二酸化炭素排出量を削減します。
BlueIT社事例 IBM Hursley研究所事例
Kwokは、実際に成果を得られたお客様のコメントや調査報告を引用し、「Apptioの導入により人件費の追跡精度を50%向上させ*3、Turbonomicによりリソースの消費コストが35%削減し*4、Instanaにより平均修理時間を70%削減する*5など、大きな成果が上がっています」とそのメリットを語ります。
*3: “The National Rural Electric Cooperative Association Reduces Infrastructure Costs by 30%,” 19 August 2022
*4: “The Total Economic Impact™ of IBM Turbonomic,” January 2024
*5: “The Total Economic Impact™ of IBM Instana Observability,” January 2024
複雑化するIT運用の課題を生成AIで支援するIBM Concert
さらにKwowは「ビジネス・アプリケーションは複雑なエコシステムであり、クラウドネイディブなアーキテクチャーにシフトすることで、さらに複雑化しています。」と問題を提起しました。この状況に対応してIT運用を生成AIで支援するのが「IBM Concert」です。
IBM Concertは生成AIによってアプリケーションを360度可視化し、アプリケーションのライフサイクルをコントロールします。問題をリアルタイムに表示し、対応や予防など求められる質問に回答します。アプリケーションとデータが協調して連携できれば、真のパフォーマンスを発揮することができます。
Apptio、Instana、Turbonomicをはじめ、IBM製品以外の既存のツールや環境もシームレスに接続することで、統合プロセスを効率化して、包括的にアプリケーションのライフサイクルを把握できます。watsonxを搭載した生成AIによってリアルタイムなデータを使ってオペレーション上の課題を特定し、リスクとコンプライアンスを評価できます。
「IBM Concertによってビジネスの回復力が高まり、不要なタスクが排除され、それぞれのチームが高付加価値なタスクに専念できるようになります」とKwokは語り、「IBMの包括的なポートフォリオによってIT投資の価値を最大化してください」と講演を締めくくりました。
【関連資料】
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