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NECにおける社内DXの取り組み - クラウドコスト・パフォーマンスの最適化|2024/6/25開催イベントレポート

By Miho Kataoka posted 3 days ago

  

【講演抄録】2024年6月25開催 IT Leadership Agenda 2024 お客様事例講演

NECにおける社内DXの取り組み  クラウドコスト・パフォーマンスの最適化

2024年6月25日に「IT Leadership Agenda 2024」が、「ITの運用とコスト管理の最前線  経営に資するIT運用高度化への道程 ~」をテーマに、東京都千代田区の九段会館テラスにて開催されました。その中で行われた講演の抄録をお届けします。

日本電気株式会社 コーポレートIT・デジタル部門 ITインフラサービス統括部 PFアーキテクチャG ディレクター 辻川 洋介 氏

日本電気株式会社 コーポレートIT・デジタル部門 ITインフラサービス統括部
PFアーキテクチャG ディレクター 辻川 洋介 

共通の運用プラットフォームでデータドリブンな運用の実現を

オープンイノベーションを加速させる「Truly Open」とミッションクリティカルを支える力「Truly Trusted」を掲げ、ITサービスや社会インフラの高度化を目指すNEC。自らをゼロ番目のクライアントとして最先端のテクノロジーを実践する「クライアントゼロ」の考え方のもと、社内で先進的なDXを実践し、それを「お客様DX」「社会DX」へと還元する戦略をとっています。

2025年の中期経営計画では社内DX変革全体像である、全社エクスペリエンス変革に向けて「働き方のDX」「営業・基幹業務のDX」「運用のDX」を実践。その中の「運用のDX」では、運用管理、可視化、セキュリティ高度化、自動化、監視・データ収集、データ分析の6つの領域をまたがるインテリジェントな運用プラットフォームを構築、デジタル・ネイティブな運用モデルとして運用の最適化を図っています。

NECグループを支えるITサービスの安定化と継続的な進化・高度化をミッションとする辻川洋介氏は「データだけではなく、デジタルネイティブな運用モデルへと運用全体を統合することを目指しています」と話します。

それを象徴するのが、運用のトランスフォーメーションに向けて運用データをデジタル化した「ITダッシュボード」です。NECが使用する約100のクラウド・サービス、3万台のサーバー、35万台のクライアントや社内ITサービスなどを対象に社内ITの全ての情報を共有し、全社員がIT運用の状況を把握して対応できるようになっています。その運用モデルの中でマルチクラウド環境の最適化を図るために導入されているのが「IBM Turbonomic」です。

運用のDX - 分散クラウド時代を見据えた運用基盤の統合

出展:日本電気株式会社様講演資料

16の評価軸から総合的に判断し、IBM Turbonomicの導入を決定

Turbonomic導入の背景として、辻川氏は「DXのために基幹システムのモダナイゼーションを進める上で課題となったのが、クラウドシフトに伴う外部環境と内部環境の変化の多さ、速さです。それらに対応していくため、自動化されたサービスを活用してクラウド環境の運用高度化を図っていく必要がありました」と説明します。

Turbonomic導入までの流れ

出展:日本電気株式会社様講演資料

NECではクラウド環境の運用高度化に向けて、4つのステップを設定しました。

1ステップ(PoC 1)では、機能要件や非機能要件、コスト、ビジネスの4つの評価カテゴリから、ビジネス展開、リアルタイム性、導入容易性、ライセンス料金など16に及ぶ評価軸に落とし込み、製品・サービスを比較検討しました。

「特にセキュリティに関連する評価軸の検証に注力しました。全ての製品・サービスに対してホワイトボックス化し、外部接続、アクセス経路などを徹底的に確認しました」と辻川氏。これらの評価軸から総合的に判断して、Turbonomicの導入を決定しました。

2ステップ(PoC 2)では外部への接続を制限しているNECの環境への適合性、セキュリティ・リスク、性能などを確認。加えて導入後に想定される実運用における効果なども検証しました。辻川氏は「実運用への適合性、価値・効果を理解しておかないと導入は進みません。一部運用への適合面で改善が必要な点もありましたが、クラウド運用を高度化できると判断しました」と振り返ります。

そして第3ステップとして、本格展開を前にスモールスタートによる2つの課題の解消と効果の創出が図られました。「基幹システムのモダナイゼーションの多くはオンプレベースで設定されたIaaSです。クラウド運用を高度化していくためには、クラウド運用高度化へのマインドチェンジと、レコメンドのギャップ対策が課題でした」と説明。マインドチェンジのためには導入目的の定義とゴールの一致、最適化導入プロセスの定義、クラウドの運用の定着化が図られました。辻川氏は「運用部門と共に導入を推進し、クラウドの特徴を活かせる柔軟な最適化サイクルを適用することで、継続的に改善するプロセスを定着化させることができました。このプロセスの定着化がマインドチェンジに結びついた秘訣だと思います」とその効果を話します。

また、レコメンド・ギャップの対策についてはパフォーマンス不足に対する改善対応を最優先で実施し、システム影響の少ないレベルから最適化を進めていきました。「システムの特性によりそのままでは受け入れられないレコメンドについてもTurbonoimicのポリシー活用によるレコメンド見直しやNECの運用知見を組み合わせて解決。クイックに進めることで最適化の効果を早期に実感できました」と評価します。

IT運用の共通言語として活用され、サービス化の導入展開のフェーズへ

運用高度化のために導入されたTurbonomicIT運用の共通言語になり、導入から5カ月でクラウド・コストの10%から20%の削減を実現し、クラウド環境に適した運用高度化の推進に貢献しました。

今は第4ステップである導入展開へと進めています。この導入展開と並行して、人が判断することが多い部分に着目し、これまでに蓄積した運用知見を活用した意思決定のスピードアップを図ります。

さらに、NECが開発した生成AIcotomi(コトミ)」との組み合わせによる蓄積データの活用、ITダッシュボードによる可視化、他社SaaSとの連携によるプロセスの強化など、Turbonomicの活用は大きな可能性を持っています。

辻川氏は「今後もクライアントゼロとして蓄積してきたノウハウが詰まったモデルをビジネスとして展開することで、お客様のDXビジネスを支援し、対話と共創で未来の共感を創るというビジョンの実現を目指していきます」と思いを語りました。

【関連資料】

IBM Turbonomicの詳細

Forrester社によるIBM Turbonomicの経済効果レポート

IBM Turbonomic購入に関するお問合せ

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