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メインフレーム憲章は未来に対するお客様との約束です

By MASAYA NAKAGAWA posted Sun April 07, 2024 09:23 PM

  

 会社の本社移転に伴って事業所で引き出し棚を整理していたら、約20年前に刊行された書物 (*1)が出てきました。IT関連のWeb記事や雑誌でもネガティブな話題として取り上げられることが多いメインフレームですが、ちょうど同じ頃に「メインフレーム憲章」という未来に向けたお客様との約束を発表していたことをご存じでしょうか。

 メインフレーム憲章とは、(1)Value~価値の提供、(2)Innovation~革新の提供、(3)Community~コミュニティの育成、という3つのコミットメントを指しています。最新のメインフレーム「IBM z16」という名前は、水冷(バイポーラ)から空冷(CMOS)に切り替わったS/390が採用されてから16世代目というのが由来です。日本でも半導体チップの研究開発や工場稼働が騒がれていますが、CMOSテクノロジーはS/390の発表から30年以上が経った現在でも使われています。同じ頃に登場した並列シスプレックスも、チップ回路の熱課題に直面したハードウェア設計をOSOperating System)やミドルウェアの仮想化技術と一緒に解決するという思想から誕生しました。またメインフレームはLinuxを中心に、約25年以上も前からオープンソースへの対応にも取り組んで来ました。IBM z16ではAI専用の高速チップや耐量子暗号のセキュリティ対策なども既に実装されており、何十年も先の未来を見据えて革新を繰り返しながら開発されています。

 ここまでは製品を中心とした内容でしたが、長年におけるメインフレームを支えてきたのは製品ではなく多くの技術者たちです。50周年を記念したPro VISION (*2)でも記載されていますように、日本でも2007年からビジネスパートナ様と共に活動しているテクニカルコミュニティや、学生向けのプログラミングコンテストにも取り組んで来ました。最近も「若手技術者の広場」や「モダナイゼーションを考える」といったメインフレームの研究会(*3)が非常に盛り上がっています。特に少子高齢化が進んでいる日本では深刻な技術者不足が問題視されていますが、このような時代だからこそ人の繋がりが求められるのではないでしょうか。

 最後になりましたが、ちょうど60年前の本日(1964年4月7日)に世界初のメインフレームであるS/360が発表されたという大事なことをお伝えするのを忘れていました。 2020年には「IBM Z 憲章」(*4)として次の10年を超えるロードマップを公開しており、変化が激しいIT業界においてもメインフレームはお客様へ価値を提供し続けるという未来に向けた約束を忠実に守っています。記念すべきメインフレーム100周年は、入社したばかりの若い技術者たちが還暦を迎える頃でしょうか。どのような技術革新を繰り返しながら社会を支えるインフラ基盤としてお客様との約束を守っているか、40年後の未来を想像するだけでも今から楽しみです。


*1) The 360 Revolution,  https://www.vm.ibm.com/history/360rev.pdf

*2) IBM ProVISION No.81IBM メインフレーム50 System/360発表から半世紀、そして未来へ」https://community.ibm.com/community/user/japan/viewdocument/no-81-ibm-50-system360

*3) IBM Community Japan ナレッジモール研究会https://www.ibm.com/community/japan/jp-ja/knowledge-mall-research-application.html

*4) THINK Blog Japan IBM Zに関するIBMの戦略的取り組み(IBM Z憲章:2020年版)」https://www.ibm.com/blogs/think/jp-ja/ibmz2020/

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