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60年持続するアーキテクチャーを考える

By KAZUHIRO NAKAJIMA posted Tue April 16, 2024 10:19 AM

  

皆さん今日は。日本アイ・ビー・エム株式会社でメインフレーム・テクニカル・セールスに所属している中島です。

既に様々なメインフレームのコミュニティやこのIBM Z & LinuxONE Community Blogでもポストされている通り、最新のIBMメインフレーム・コンピューター「IBM Z」の前身モデルである「システム/360」が登場してから60年を迎えました。皆様は60年と聞いて、何を思い浮かべますでしょうか。IBMの黒澤さんは、60年を迎えたものとして、東海道新幹線をまずは連想されたようですね。

私が真っ先に思い浮かべたものは、同じ乗り物ではありますがポルシェ911です。かくいう私ですが、幼少期から車が好きで、若かりし頃は愛車でサーキット走行を楽しんだりしていました。

(富士スピードウェイ・パドック前の筆者。車好きの方はお気づきかと思いますが、一時期R34 GT-Rに乗っていました、残念ながら現在は所有しておりません。)

ポルシェ911の誕生は1963年で、IBMメインフレームとは1歳違いです。ポルシェ911は、60年以上もの間基本的なアーキテクチャーであるリアエンジン・リア駆動、水平対向エンジン、ボディ・デザインを変えていません。この基本的なアーキテクチャーを基に、最新の技術を取り入れ常に高い運動性能を持つと同時に絶大な人気を誇るスポーツカーであり続けています。これが「最新のポルシェが最良のポルシェ」と車好きの間で言われ由縁ですね。

IBMメインフレームも60年もの間、常にお客様のミッション・クリティカルな基幹システムを支える存在であり続けています。それはポルシェ911と同様に基本的なアーキテクチャーが優れているからであると私は考えています。システム/360は、当時IBMの売上高が25億ドルしかなかった時代に50億ドル以上を投じられ、まさに社運をかけて開発された製品です。(これは有名な話ですが、月面着陸をおこなったアポロ計画よりも大規模な予算です。)システム/360発表当時は、会社をあげて新しい情報システムの浸透に力を注ぎ、その成功が現在のIBMの基盤となっていると言ってよいでしょう。

システム/360が登場する前は、事務処理・科学技術計算など、コンピューターが利用される業務毎に固有のアーキテクチャを持つコンピューターが利用されていました。またそのアーキテクチャは他のコンピューターと互換性がないため、コンピューターのハードウエアを変更すると、アプリケーションの作り直しが必要でした。コンピューターのハードウエア毎にアプリケーションの作り直しが必要だなんて、今では到底考えられませんが、当時はこれが常識だったのです。システム/360では、この異なるコンピューターにモデル間の互換性がないという問題を解決させました。様々な規模や処理能力のコンピューターを統一されたアーキテクチャーで提供し、一貫性のある命令セットと、互換性のあるハードウェア(計算機、周辺機器)とソフトウェアを提供したのです。このアーキテクチャーによって、新しいハードウェアを導入する際に、既存のアプリケーション・プログラムを再構築する必要がなくなり、基幹システムに対するスケーラビリティ、柔軟性、投資保護を提供したのです。

最新のメインフレームであるIBM Zは「Zアーキテクチャー」が採用されています。このZアーキテクチャーは、システム/360の当時のアーキテクチャーをベースにしながら最新のハードウエアに対応すべく拡張がなされ、IBMメインフレームのアーキテクチャーとしては、6世代目となります。

Zアーキテクチャーは、64ビット・アドレッシングを実装したIBM初のメインフレームであるz900の登場と共に公開されました。ちなみに、z900のマシン・タイプ(IBM製品の4桁からなる数字)は2064ですが、これは2000年に発表した初の64ビット・アドレッシングが実行可能なハードウェアということで2064に決定したそうです。IBMメインフレームは、ハードウェアやオペレーティングシステムの世代間でプログラムの互換性が高いことが有名ですが、Zアーキテクチャーはシステム/360のアーキテクチャーをベースとしているため、60年前のプログラムも基本的には稼働します。このような互換性を保てるのは、やはり60年前に登場したシステム/360のアーキテクチャーが優れていたからであると言えるでしょう。

現在のITのトレンドは、間違いなくAIでしょう。一般のニュースでもAIという言葉が頻繁に登場するくらい、AIが私たちの日常に浸透しています。IBMメインフレームは、AIがこのように日常化される前からAIに着目し最新のIBMメインフレーム製品であるz16に搭載されているTelumチップでは、AI推論を超高速で処理するアクセラレータが搭載されています。Zアーキテクチャーも新しいメインフレームが登場する度に進化をしていますので、AIに対応しているのです。

ITや半導体のテクノロジーは常に進化をしていて、AIの次にもエポック・メイキングなテクノロジーが必ず登場します。IBMのメインフレームは常に最先端のテクノロジーを追求しており、次世代のZアーキテクチャー、メインフレーム製品では皆様はの日常を変えるような次世代のテクノロジーを担う機能が登場することでしょう。IBMメインフレームは次の60年に向かって進化し続けるのです。是非ともその機能を活用し、よりよい未来を一緒に築いていきましょう。

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