Ask a question
Limited-Time Offer: 50% off IBM TechXchange Conference 2025
IBM’s largest technical learning event is back October 6-9 in Orlando, FL
【講演抄録】2024年6月25開催 IT Leadership Agenda 2024 お客様事例講演
クラウド採用拡大に必要な可観測性を実現するかんぽ生命のAPMソリューション
2024年6月25日に「IT Leadership Agenda 2024」が、「ITの運用とコスト管理の最前線 ~ 経営に資するIT運用高度化への道程 ~」をテーマに、東京都千代田区の九段会館テラスにて開催されました。その中で行われた講演の抄録をお届けします。
システムサービス本部 クラウドインフラ部 兼 NEXTプロジェクト統括本部 クラウドCoE室上席専門役 一井 茂雄 氏
かんぽシステムソリューションズ株式会社(以下、かんぽSOL)は基幹システムやクラウドシステムの企画から保守までをワンストップで行っているほか、全体を統制するクラウドCoE室を設立し、全社的なDX推進をサポートしています。株式会社かんぽ生命保険(以下、かんぽ生命)のDX戦略としてのクラウド活用、DXの取り組みと可観測性の導入、クラウド運用のモダナイゼーション、組織文化の変革などについて、かんぽSOLの一井茂雄氏が説明しました。
かんぽ生命のDX推進におけるクラウド活用
かんぽ生命では2018年からDX推進に本格的に着手しています。まず、顧客との直接エンゲージメントを実現するシステム「ご契約者向けインターネットサービス(マイページ)」を導入。このサービスにより、顧客は契約内容の確認や住所変更などの手続きをオンラインで行うことができ、顧客体験の向上が図られました。このマイページ構築を皮切りに、クラウドにおけるシステム構築が拡大していき、2021年からは、マイページに保険金の請求や貸付機能などの追加機能も実現していきました。こうした機能は、金銭に直接かかわる非常にミッション・クリティカル度が高いものでもあり、経営的な関心も非常に高まっていったといいます。
そこで2021年から、監視・運用分野のモダナイゼーションを開始。「従来の独自ルールから市場ルールへ、前例踏襲主義から改善推奨へ」と方針を転換、より効率的で柔軟な運用を実現するとともに、継続的な改善を促進し、運用の品質を高めることを目指しました。また、「ビジネス要求に応えるためにはクラウド導入だけではなく、多角的な取り組みが必要である」として段階的に体制や共通基盤機能を整備、プロセスやルール、組織の変更も併せて計画していきました。
クラウド上でのシステム拡大に伴う従来型監視の課題
監視・運用分野のモダナイゼーションにおいて、より求められるようになったのが、クラウド環境でのシステム安定運用です。一井氏は「クラウド上に重要システムが次々と構築されるにつれ、安定稼働の要求レベルが日に日に高まる中、従来型の監視ではなく、サービスの可観測性が求められていました」と説明します。
従来型の監視では、クラウド上のシステム拡大による重要性の増加、クラウドでの監視や障害対応の困難さ、そして監視の「作り込み」によるシステム構築の鈍化など、いくつかの課題がありました。そこでそれらを克服するため、「APMのようなクラウド監視に特化したツールの導入を決定しました」と一井氏。監視ツールの導入にあたっては、かんぽ生命は次の3点を重視していました。
Instana導入による顕著な効果とその波及効果
こうした課題への対応として、かんぽ生命はInstanaの導入を決定。2022年の導入以降、既に以下のような効果が生まれています。
1. サービス障害の検知精度向上
より広範囲に、もれなくサービス障害を検知できるようになり、検知ケースのカバレッジが従来の76%から90%に拡充(同社過去実績対比)。障害発生時には迅速に対応できるようになりました。例えば、従来の監視ツールでは見逃されがちだった小さな異常も、Instanaの高精度な監視により検出が可能となり、問題の早期解決に繋がりました。
2. ユーザー影響度の迅速な把握
エラーの発生率や時間帯など、エンドユーザーが今実際に何を見ているか、ユーザーの視点からシステムの影響を可視化できるようになりました。例えば、Webアクセスの遅延や特定の機能の応答時間の遅れなど、ユーザー・エクスペリエンスに直結する問題を迅速に把握できるようになり、詳細調査にかかる時間は50%以上削減されました(同社過去実績対比)。
3. インフラチームだけでなく組織全体での監視体制の強化
インフラチームだけでなく、アプリケーションチームも含めた組織全体での監視体制が強化されました。従来はインフラ担当が中心になって監視を行っていましたが、Instanaの導入により、アプリケーションチームもシステムの状況を積極的に監視できるようになりました。その結果、バッチプログラムにおける非効率な処理などの潜在的な問題を早期発見し、改善につなげることができました。
出典:かんぽシステムソリューションズ株式会社様講演資料
継続的なモダナイゼーションの推進への取り組み
かんぽ生命は、今後も継続的なモダナイゼーションを推進し、クラウドに特化した組織文化の変革を進める予定です。さらに、Instanaのオンプレミス環境への導入や、ビジネス・サイドへの展開も視野に入れ、システム部門とユーザー部門が共通認識を持ちながら、DXビジネスを支援していきたいと考えています。
-----
この他、本イベントの公演の模様はこちらをご覧ください。
【関連資料】
本記事の講演動画
IBM Instanaの詳細
【お客様事例】セ ブン&アイ・ネットメディアが「システム障害の原因究明」を迅速化できたワケ
Forrester社によるIBM Instanaの経済効果レポート
IBM Instana購入に関するお問合せ