こんにちは、IBMでストレージ製品のプリセールスをやっています吉岡です。
2023/08/18 IBM Storage Ceph 6.1がリリースされましたので、今回はアップデート内容を簡潔にお知らせしたいと思います。
IBM Storage Cephとは
IBM Storage Cephは、大規模スケーラブルでオープンなソフトウェア定義ストレージプラットフォームであり、Cephストレージシステムの最も安定したバージョンとIBMサポートサービスを組み合わせています。IBM Storage Cephは、RHELがサポートするX86業界標準サーバーハードウェア上で実行することができます。前回のブログでもご紹介しているので良ければご確認ください。
<<前回の記事>>
RADOS GatewayマルチサイトのCephadmサポート
Ceph Object Gatewayマルチサイトをセットアップするプロセスを簡素化が可能になります。
例えばceph rgw realm bootstrap -i rgw_spec.yaml
コマンドを使用して Ceph Object Gateway レルム、ゾーン、およびゾーン・グループをを作成する際にコマンド発行回数が従来よりも少なくなりました。
<yaml例>
バケット単位でのマルチサイトレプリケーション
バケットの細分化されたマルチサイト同期ポリシーがサポートされるようになりました。
これにより、バケットレベルでマルチサイト同期ポリシーを使用して、異なるゾーン内のバケット間のデータ移動制御が行えるようになりました。
Amazon S3にポリシーベースのデータアーカイブまたはデータ移行
日付ベースのライフサイクル構成遷移ポリシーを使用してAmazon S3にデータをアーカイブ、移行することができます。
これにより、コストの削減や管理の容易性を向上させることができます。
ダッシュボードに新しいランディングページ追加
クラスター使用率に「使用容量」「IOPS」「待ち時間クライアント・スループット」「リカバリー・スループット」のグラフが追加されました。
(下図参照)
これにより、クラスタ内の傾向的な挙動を早期に発見し、必要な場合にタイムリーな対策を講じることが可能となります。
VMwareプラットフォーム上でのIBM Storage Cephのサポート(DRユースケース限定)
MetroDR機能を利用する場合の限定構成なりますが、SAN Luns上にデータストアを構築し、このデータストアを使用してCeph用のVmware VMストレージを構築することが可能です。
MetroDRに興味をお持ちのお客様はベアメタル外部にCephクラスタをデプロイするケースはほとんどなく、VMware上で他のインフラと同じようにデプロイを望んでいるケースが多いため、このサポート対応は価値があるのではないかと思います。
サーバーサイド暗号化 S3 (SSE-S3) のサポート
ユーザーはAmazon S3管理の暗号鍵 (SSE-S3) を使用したサーバー・サイド暗号化により、保存されたデータを固有の鍵で保護が可能となります。
オブジェクトデータ暗号化の強制リクエスト
PutBucketEncryption S3 機能を使用して、オブジェクトの暗号化を強制することが可能です。
以前はデータを保護するためにオブジェクトの暗号化を強制するためにユーザーはすべてのケースでヘッダーをリクエストに追加する必要がありました。このリリースでユーザーはヘッダーを追加することなく、 Ceph Object GatewayでPutBucketEncryption S3
機能を使用できます。
テックプレビュー機能
IBMのサポート対象外となりますが今後リリース予定の機能をいち早く体験することが可能です。
・NFS support for CephFS for non-native Ceph clients
NFS-Ganesha NFSサーバを使用してNFSプロトコル経由でエクスポートする機能です。
今回のリリースはVer.5.3からVer.6.1へのメジャー・バージョンアップということもあり、ユーティリティー(cephadm)、セキュリティ機能、対応プラットフォーム、ダッシュボード機能など、幅広く網羅されたアップデートとなりました。
今後も様々なユースケースで活用できるストレージ・ソフトウェアとして進化される予定ですので乞うご期待ください!