データを保管する目的の場合、テープはサスティナビリティの観点で優れたストレージ製品です。長期にデータを保管する選択肢として、AWS S3 Glacier Storage等のコールドデータ用の安価なクラウドサービスや、ペタバイトクラスの要件にも対応したオンプレミスのオブジェクトストレージが候補に挙がるかと思いますが、これらは最終的にはストレージ筐体に搭載されたHDDにデータを保管します。HDDは単に保管目的で利用する場合でも、24時間365日電気を流してディスクを回転させておく必要があります。使ってない時間があるならHDDを止めておけば良いのでは?とお考えになる方もおられるかもしれませんが、HDDは頻繁に起動・停止を行うと壊れやすくなるという性質があるため、企業システムで使われるHDDの場合、定期メンテナンスなど停止しなければならないなどという余程の理由が無い限り、停止させることはまずありません。
具体的に考えてみましょう。アーカイブ用途で使われる3.5インチのHDDのアイドル時消費電力は、だいたい5~6W程度です。ストレージ筐体毎に24本搭載するとして、1筐体あたり120~144W。容量や可用性を確保するためにクラスタを構成するので、1クラスタあたり10筐体だとすると1,200~1,440Wになります。1か月の消費電力としては、HDDだけで864~1,036kWhにもなります。もちろんCPUやメモリ, ネットワークアダプタ等他にも電力を消費するパーツは他にもあります。ほとんど読み出すことのないデータを保管し続けるだけで、これだけの電力を消費し続けることになるのです。
これに対してテープ・カートリッジならば、保管時にはカートリッジが棚に置かれているだけなので、保管中に電気を消費することがありません。CO2の削減やSDGsの推進といった課題に応えるためにも、今一度テープへのデータ保管を検討してみてはいかがでしょうか。
以下のドキュメントでは、10PBのデータを保管する場合、10年間で87%ものCO2削減が可能と書かれていますね。
REDUCING CARBON EMISSIONS - HOW LTO TECHNOLOGY CAN HELP SAVE ENERGY!
https://www.lto.org/2020/12/reducing-carbon-emissions-how-lto-technology-can-help-save-energy/
TCOの比較には以下のツールも参考になるかと思います。
LTO Ultrium TCO CALCULATOR for Data Storage solutions
https://www.lto.org/tco-calculator/