この場合は、以下の図のようにローカルのSAN Switchとリモートに接続するFCIPルーターをカスケードし、災対転送用のFabricは仮想的なSANを構成して、Fabricを分離するように構成します。
カスケードまではよくある構成ですが、このような構成は、慣れていない方も多いかと思います。
今回はこのIntegrated Routing、LSANゾーンの簡単な定義手順について説明します。
まず、下図の両端のFabricのことをEdge Fabricと呼びます。間のFabricのことをBackbone Fabricと呼びます。
このEdgeとBackboneを接続する設定をFC-FC Routing(Integrated Routing)と呼びます。
災対環境においては、RouterがSAN18B-6等になり、間がIPであることですが、SANと違いはありません。ルーティング装置間のISLのポートがVE_Port(Virtual E-port)となっているだけです。
この設定には、以下の設定が必要となります。
・Integrated Routingライセンスの有効化(有償)
ライセンスの追加:licenseaddコマンド
Integrated Routing licenseがあることを確認:licenseshow
ここでライセンスが必要となるのは、EXポートを設定するBackboneのFabric(Router)のみです。Edgeには必要ありません。
・Backbone Fabric IDの設定(BackboneのルーターSwitchで設定。同じ値)
設定確認:fosconfig --show
ルーティングをdisable:fosconfig --disable fcr
IDを設定:fcrconfigure
ルーティングをenable:fosconfig --enable fcr
BackboneのFabricが一位に持つFabric IDのことをBackbone Fabric IDと呼びます。
・Edgeを接続するBackbone側のポートをEX_Portに設定(BackboneのルーターSwitchで設定)。ケーブル接続前に実施
ポート無効化:portdisable
EXポート有効化:portcfgexport ポート -a 1 -f FID
-aの1はEXPortを有効に、2は無効にするオプション
ポートの状態確認:portcfgexport
ポート有効化:portenable
ポートの確認:portshowでポート
ファブリックの確認:fabricshow
BackboneとEdgeの接続はEX_PortとE_Portで接続されるようになります。
・LSANゾーンの作成(BackboneとEdgeの両方で設定。WWPNゾーンが必須)
ゾーンの作成:zonecreate "lsan_xxxx", "WWPN or alias; ・・・・; ・・・・"
ゾーン名にはlsan_という名前が必須です。
コンフィグの追加:cfgadd
コンフィグの有効化:cfgenable
対向のEdge Fabricからインポートされたデバイスの確認:fcrphydevshow
lsanzoneの状態を確認:lsanzoneshow
translateドメインが見えることを確認:fabricshow
translateドメインとは対向のEdge Fabricのことです。
ステップとしてはこれだけなので、設定としては意外に簡単であることがお分かりいただけたかと思います。
Integrated Routing、LSANの詳細については、以下のRedbookを参考にしてください。
IBM System Storage b-type Multiprotocol Routing: An Introduction and Implementation