前回の記事 (Hybrid by Design : 新しいIT戦略施策の策定アプローチ「Hybrid by Design」とは) [
1] では、IBMが提唱する「Hybrid by Design」の背景と考え方をご紹介しました。Hybrid by Designの「Hybrid」 は、単なる環境構成ではなく、「目的を持って」「意図的に」IT変革を推進するためのアプローチです。 今回は、その実現を支えるオファリング (製品・サービス・ソリューションなどを体系化した価値提案) およびリファレンス・アーキテクチャー の基本的な使い方を紹介します。
IBMの包括的オファリングが全方位のケイパビリティーを強化する
Hybrid by Designのケイパビリティー ・フレームワークを用いて現状 (As-Is) と目指す姿 (To-Be) を評価し、組織が抱えるギャップを明確にします。これらのギャップを埋め、変革を着実に成功に導く鍵 となるのが日本IBMのオファリングです。 IBMは、各ケイパビリティー ・ドメインにおける課題解決を支援するために、製品・サービス・ソリューションを組み合わせたオファリングを体系的に提供しています。ビジネスプロセスや人材、データ&AI、セキュリティ、IT運用高度化等、企業に必要なあらゆるケイパビリティーに対応する38のオファリングと将来の技術動向を見据えたテクノロジーで構成されています。
お客様組織の様々な観点から全体を俯瞰し、IBMの幅広いポートフォリオを「意図的」に「体系的」に適用することで価値最大化をサポートします (図1) 。これにより、個別の取り組みではなく、テクノロジー、プロセス、人材・組織といった要素を相互に連動させながら、12のケイパビリティー をバランスよく強化できます (図2) 。
そして、この「12のケイパビリティー をバランスよく強化する」 ことが価値を最大化するために必要不可欠なのです。例えば、テクノロジー・バイ・デザインのみに注力しても、それを支えるプロセスや人材・組織が整備されていなければ、十分な価値を発揮することはできません。IBMのオファリングを活用すれば、こうした依存関係を踏まえた包括的な施策を具体的に策定し、実行まで一貫して推進できます。また、これらのオファリングはグローバルでの豊富な事例やノウハウを体系化し、日本企業の特性に合わせて最適化したものです。日本IBMのコンサルタントが、それらの知見をもとに、お客様の変革を計画から実行までトータルに支援します。
図1. IBMの幅広いポートフォリオ
図2 .各ケイパビリティー ・ドメインの課題を解消するオファリング
リファレンス・アーキテクチャー を活用して「意図的な設計」を進める
変化の激しいビジネス環境では、偶発的なシステム進化ではなく、明確な意図を持ってITとビジネスを設計・連動させることが求められています。ビジネス・リーダーの70%が、自社の技術アーキテクチャーは混乱や衝突、意見の相違を招いていると回答しています。一方で、ITを活用して業績を向上させるためには技術アーキテクチャーが極めて重要だと答えたビジネス・リーダーも65%に上ります[2]。このような状況を打開し、ITとビジネスを同じ方向に進化させるには、全社で共有できる設計の指針が欠かせません。リファレンス・アーキテクチャー は、その共通基盤として、複雑化するシステムを整理し、ビジネス目標と技術の整合性を高める役割を果たします。
IBMでは、Hybrid by Designの「テクノロジー・バイ・デザイン」の6つのドメインと、それらを統合する「インテグレーション・プラットフォーム」を対象に、ケイパビリティー 強化を支援するリファレンス・アーキテクチャー を提供しています。これらのリファレンス・アーキテクチャー は、モード (成熟度) ごとに必要となる構成要素を整理し、段階的な強化の道筋を明確にしています。例えば、Mode 5を目指すのであればどんな要素が必要なのか、どんなアーキテクチャーを実現すればいいのかを具体的にイメージできます。また、各モードの姿を具体的にイメージすることで、現状とのギャップに鑑み、1年後にMode 3、2年後にMode 4、3年後にMode 5を実現するなどのように現実的なロードマップを策定しやすくなります (図3) 。
お客様はこれらを活用することで、目的に沿ったアーキテクチャーを「意図を持って設計」できるようになります。また、ケイパビリティー を強化させた先にある目標とする姿 (To-Be) を具体的にイメージしやすくなり、ビジネスとITの連携による変革を確実に推進できます。
図3. リファレンス・アーキテクチャ―に基づくモード別構成要素定義
おわりに
第2回となる今回は、施策を具体化する方法としてIBMのオファリングやリファレンス・アーキテクチャー の全体像をご紹介しました。これらを「意図的」かつ「体系的」に適用することで、ビジネス価値を最大化できます。IBMはお客様と伴奏し、「by Design」によるビジネス価値の最大化を実現したいと考えております。
次回以降は、各オファリングやリファレンス・アーキテクチャー の具体的な内容を順に取り上げていきます。まずは、同時公開中の「Hybrid by Designで考えるリファレンス アーキテクチャー:生成AIとプラットフォーム編」[3]をぜひご覧ください。
参考文献
[1] IBM:「 Hybrid by Design : 新しいIT戦略施策の策定アプローチ「Hybrid by Design」とは」ProVision (2025年7月) ,
https://community.ibm.com/community/user/japan/blogs/provision-ibm1/2025/07/14/vol101-004-computing
[2] IBM Institute for Business Value:アーキテクチャー設計がAIの俊敏性を最大化する,
https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja/report/hybrid-by-design-architecting-for-agility-jp#01
[3] IBM:「Hybrid by Designで考えるリファレンス アーキテクチャー:生成AIとプラットフォーム編」ProVision (2025年12月) , https://community.ibm.com/community/user/japan/blogs/provision-ibm1/2025/12/05/vol101-014-computing
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