SANスイッチ(Brocade製)のファームウェア・アップグレードや構成変更する際には事前にConfigのバックアップ(configUpload)を取得されると思います。
このバックアップをリストア(configDownload)する場合、いくつか注意点があるのでご紹介します。
まず、SAN構成情報をリストアするための前提ですが、
バックアップ対象とリストア対象の2つのSAN b-Type スイッチで、マシン・モデルとFabric OSのレベルの両方が同じであることが必要です。
- FOS更新後の同一スイッチに対してはリストアできません(FOSを元に戻してからのリストアは可能)
- SANスイッチをリプレースしたなどで、元のスイッチの構成情報をリストアするということも出来ません(同一モデル別筐体へのリストア、例えば装置自体の交換時などは可能)
次に、構成情報のリストア時に復旧される設定と復旧されない設定が存在します。
一般に設定されることの多い項目のうち、構成情報のリストアで復旧可能なものと復旧不可能なものは下のとおりです。
【復旧される設定】
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fabricパラメータ (Domain ID など、configureコマンドで設定するパラメータ)
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ライセンス情報 ※バックアップしたSANスイッチと同一筺体へリストアする場合
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FCポート (帯域固定やFillword、Disable E_Port、NPIVの有効化など、portCfgShow で確認できるパラメータ)
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zone構成 (SANスイッチ内のゾーン構成をクリアしていない場合、現構成とリストア構成をマージしようとします)
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MAPS構成
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SNMP Trap
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FCIP構成
【復旧されない設定】
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アカウント情報 (userConfig, passwd で設定)
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ライセンス情報 (licenseadd で設定)※障害などによるSANスイッチの筺体交換時
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スイッチ名 (switchName で設定)
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IPアドレス (ipAddrSet で設定)
復旧される/されない設定の説明はマニュアル(Fabric OS Command Reference Manual の configDownload の項目や、Fabric OS Administrator's Guide)を参照下さい。
リストアを実施する場合のシナリオとして、
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スイッチの構成を単に元に戻したいというケースと
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スイッチそのものを故障で交換するケース
と大きく二つに分かれると思います。
上にあるように、2.ライセンス情報は前者の場合はリストアされますが、後者の交換作業の場合はリストアできません。
(理由)
ライセンス・キーはWWNに紐づいており、障害による筺体交換でSANスイッチのWWNが変わる場合は、Feature activation keysでライセンス・キーを再発行し、licenseadd で適用する必要があります。構成情報ファイルに含まれた異なるWWNに紐づくライセンス・キーは、リストア時に無視されます。
よって、SANスイッチを交換した場合は、IPアドレス設定、スイッチ名設定、アカウント設定に加えて、ライセンスの設定作業も必要になります。
最後に、リストア(configDownload)を実行する前に、下の手順でゾーン構成情報をクリアする事を推奨します。
ゾーン構成情報をクリアせずにリストアすると、現行ゾーン構成情報と構成情報ファイル内のゾーン構成情報をマージしようとしますが、ゾーン構成に食い違い(重複名で異なるメンバー)があるとマージできず、configDownloadがエラーになります。
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switchDisable でSANスイッチをオフライン
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cfgDisable でゾーン構成情報を無効化
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cfgClear でゾーン構成情報をクリア
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cfgSave でゾーン構成情報を保存
またconfigDowloadコマンドを実行時にrebootを要求される場合がありますので、SANスイッチの再起動を行ってください。