企業のデータ活用が加速する中、ストレージに求められる要件は「容量」や「速度」だけではありません。セキュリティ、効率性、耐久性、そしてAI対応力が重要な差別化要素となっています。
IBMが提供するFlashCore Module 4(FCM4)はこうしたニーズに応えるために設計された独自のコンピュテーショナル・ストレージ・デバイスです。IBM Storage FlashSystemやIBM DS8000などで装備できます。標準的なNVMe SSDとは一線を画す、IBMならではの技術が詰め込まれています。以下にその特徴をご紹介します。

🔍 FCM4の5つの革新的な特徴
1. インライン・ハードウェア圧縮で最大115TBの有効容量を実現
FCM4はFPGAベースの圧縮エンジンにより、最大3:1のリアルタイム圧縮を実現。これにより、パフォーマンスを犠牲にすることなく、1モジュールあたり最大115.2TBの有効容量を提供します。標準SSDではソフトウェア圧縮が主流で、処理遅延が発生しがちです。
2. 耐久性を2倍に高める高度なフラッシュ管理技術
- 動的電圧シフトにより、NANDセルの劣化を抑制
- ヘルス・ビニングと熱分離で書き込みの偏りを防止
- ハードディシジョンECCでエラー率を低減 これらの技術により、QLC NANDでも2DWPD(1日あたり2回の全書き込み)という高い耐久性を実現しています。
3. ストレージが“考える”時代へ:コンピュテーショナル・ストレージ
FCM4は、FPGAとARMプロセッサを搭載し、データパス全体をハードウェアで処理。これにより、ドライブ・レベルでの分析や処理が可能となり、ホスト側の負荷を軽減します。
さらに、STT-MRAM(スピン注入型磁気抵抗メモリー)を採用した書き込みキャッシュにより、電源喪失時のデータ保護も万全。従来のDRAM+スーパーキャパシタ構成よりも高い信頼性と長寿命を提供します。
4. AIによるランサムウェア脅威検知と量子耐性暗号
FCM4はAIを活用したリアルタイムのランサムウェア脅威検知機能を搭載。I/Oパターンやデータのエントロピーを分析することでランサムウェアからの攻撃を認識、1分以内に異常を検知・通知します。さらに、量子耐性の暗号技術を採用しており、将来的な量子コンピュータによる攻撃にも備えています。
5. 圧倒的なパフォーマンスと電力効率
- 50μs以下の低レイテンシ
- 最大100GB/sの帯域幅、2.4M IOPS
- 電力効率30%向上 これらの特性により、AIや分析、サイバー・レジリエンス環境など、高速なアクセスが求められるTier-0の要求にも応える性能を発揮します。
📈 FCM4がもたらすビジネス価値
FCM4は単なるストレージではなく、データ処理・保護・効率化を統合したプラットフォームです。高い有効容量と耐久性により、TBあたりのTCO(総所有コスト)を大幅に削減。AIやセキュリティを重視する企業にとって、次世代ストレージの選択肢となるでしょう。

📝 まとめ
IBM FlashCore Module 4は、ストレージの常識を覆す革新技術の集合体です。もし、AIやデータ分析、セキュリティ強化を重視するなら、FCM4はその基盤として最適な選択肢です。