IBM FlashSystemのファームウエアであるIBM Storage Virtualizeをアップデートする際に以下のエラーになる場合があります。
(以下はv8.6.0.xから、v8.6.2.1にする際のテストを実施した際の結果の表示です)
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******************** Error found ********************
Running without target port mode in 8.6.2.1 is not supported
Please enable FCTARGETPORTMODE feature on iogroups: io_grp0
Results of running svcupgradetest:
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The tool has found 1 errors and 1 warnings.
One issue will prevent the system being
updated to 8.6.2.1 until it has been resolved
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FlashSystemのioグループのFCTARGETPORTMODEをEnableにすると、FlashSystemのNPIV(N-Port ID Virtualizationの略)の機能を使うことになります。
これは、FlashSystemのFCポートが持つ物理WWPNを使用せず、仮想WWPNだけを使用することを意味します。
この設定後、もし物理WWPNを使用してI/Oした場合、FlashSystem側がそのI/Oを受け付けないという動きになります。
FlashSystemでNPIV機能を有効にする理由は、コントローラー障害時のノード切替動作を早くしてI/Oが途切れる時間を最少にするためと聞いています。
IBM FlashSystemのファームウエアを、Storage Virtualize V8.6.1.x/V8.7.x.x以上にファームアップする前には、Iogrp -fctargetportmode設定をEnable(=NPIV化)に設定されている必要があります。
既にサーバ側でNPIVを使用されている場合、ストレージ側もNPIVになることで、SANスイッチのゾーニングを仮想WWPNだけで作成するよう作業が必要です。
IBM iをネーティブで使用されている場合、SANスイッチを使っていても、ポートゾーニングであれば、FlashSystemも物理WWPNを使用していることがあります。
理由はIBMiは最初に見つけたWWPNにI/Oをするという特性があり、それが物理WWPNか、仮想WWPNかは判断しません。
FlashSystemのNPIV化を有効化した時に、IBM i が最初に見つけるFlashSystemのWWPNが仮想WWPNであれば大丈夫なのですが、
もし物理WWPNであった場合、FlashSystem側がそのI/Oをブロックしてしまう動作をします。
この回避策として簡単な方法は、SANスイッチを用い、IBMiのFCポートの物理WWPNとFlashSystemの仮想WWPNをWWPNゾーニングしてしまうことです。ポートゾーニングは使用できなくなります。ポートゾーニング前提の障害対応を規定されている場合は残念ながら運用設計の変更をお願い致します。
IBM iをネーティブで直結でのご使用をされている場合は、物理WPN/仮想WWPNのどちらで接続している経路上では特定も設定もできません。
その為、以下の手順でIBM i を直結するFlashSystemのFCポートに最初に仮想WWPNを提示するようにFlashSystem側を設定します。
もし既にNPIV化の終わったFlashSystemの場合もIBMiに提示しているWWPNが仮想WWPNであることは確認されることをお勧めします。
FlashSystemのioグループのFCTARGETPORTMODEをEnableにするまでの手順は以下の通りです。
まずブラウザにて管理IPを用い、FlashSytemの管理Webに接続します。続いてsshでも管理IPに接続します。
次にコントローラーAのサービスIPにssh接続します。
(コントローラーAの作業が終わったら、コントローラーBでも同様に以下の操作をしてください)
管理IPのssh端末から、コマンド ”lsiogrp” で、使用しているIOグループを確認します。
(DRPプール用の設定などで特別な設定をしてない限り、通常は”0”のみ使用。以下は0と仮定して説明します)
コマンド ”lsiogrp 0”で-fctargetportmodeの設定が、disableならば、
コマンド ”chiogrp -fctargetportmode transitional 0” でトランジショナルモード(=移行モード)に変更します。
既にtransitionalならそのままにします。
(このコマンドを打ってから確認に再び”lsiogrp 0”を打つには2分待ってください)
続いて、IBM i のFCケーブルをFlashSystemのどこのFCポートにつないでいるか確認します。
両方(もしくは複数)のコントローラにする直結する場合、必ず同じ番号のポートに接続してください。
FlashSystemを背面から見た際、(7300/C200のコントローラの片側を除き)FCポートは左から順に1,2,3,4の順に並んでいます。
コントローラーA側のssh端末から、
コマンド”sainfo lsfcportfeature“でns_discovery_auto_mode がDisableならば、
コマンド ”satask chfcportfeature -feature ns_discovery_auto_mode -enable yes”でEnabledにします。
IBMi端末の資源明細表示を見て、IBM i 側の物理WWPNを記憶し、
FlashSystemの管理Webの「ネットワーク」「ファイバー・チャネル・ポート」で、FlashSystem側の物理WWPNと仮想WWPNを記憶し、
「ファイバー・チャネル接続」で、リモートWWPNのIBM iの物理WWPNの左のローカルWWPNに
FlashSystemの仮想WWPNが表示されるまで以下コマンドを打ちます。(以下使用FCポートは4番と仮定しています)
コマンド1 “satask chfcportfeature -feature port_state -enable no -fcioportid 4” (左記は4と仮定)
コマンド2 “satask chfcportfeature -feature port_state -enable yes -fcioportid 4” (左記は4の仮定)
同様にコントローラーB側でも上記実施。(もしコントローラーC以降あれば同様に実施してください)
ローカルWWPNに表示されるFlashSystemのWWPNが全て仮想WWPNのみになれば完了です。
FlashSystemのNPIV化を実施するには、
管理IPのssh端末でコマンド “chiogrp –fctargetportmode enabled 0”を実行します。
コマンド ”lsiogrp 0”で-fctargetportmodeの設定が、Enableならば、NPIVに変更されています。
上記を図でご説明すると以下のようになります。







出展:以下のリンクに上記の基になる情報、追加の情報も記載されています。上記と併せてご覧いただけるとわかりやすいと思ってもらえると幸いです。
FlashSystem または SVC に接続された IBM i システムは、8.7 以降にアップグレードする前に、FlashSystem NPIV を使用するように変換する必要があります
既存のシステムでの NPIV の使用可能化 - IBM Documentation
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