FlashSystem/SVCのコピー機能について新たに実装された機能について解説します。
・コピー機能の全体像(今回)
・Snapshotとレプリケーションの連携による災害対策・バックアップ機能(次回以降)
・従来のコピー機能(V8.7以前のFlashCopy/MM/GM)(次々回以降)
ストレージ装置に実装されているコピー機能はバックアップ、災害対策、可用性の向上など様々な目的で使用できます。ストレージ装置の持つ機能でコピーしますので、サーバー側のOS・ハイパーバイザー・アプリケーションの種類とか、プラットホームの違いとかを気にせずに使えるという利点があり、多くのお客様で活用されています。また、データのコピーがストレージ装置内部で完結しますので、コピーにかかる時間、コピーそのものの管理(例:毎日バックアップしたいとか)の手間を減らすなどの利点もあります(図)。

今回はFlashSystem/SVCの持つ最新のコピー機能の全体像を見ていきたいと思います。機能面ではザックリですが、
・Snapshot(スナップショット)
・Replication(レプリケーション)
・HA機能(High Availability、高可用性)
の3つの機能があります。従来からほぼ同等の機能がありますが使い勝手や性能を改善した新しい実装として提供が始まっています。
Snapshot
Snapshotは名前の通り、ある時点のデータのイメージを瞬間的に取得するものです。ポイント・イン・タイム・コピーなどと言われることもあります。この機能を使うと、バックアップがボタン一発で取得できますので非常に簡単にバックアップが実行できます。
FlashSystem/SVCのSnapshotはSnapshotを取得した時点からの変更分のみの容量が使用されるため最低限の容量しか消費しないのも良いところです(図)。

Snapshotの周辺機能として、Snapshotをランサムウェアや悪意のある侵入者などから守るSafeguraded Snapshot機能(ブログ記事1、ブログ記事2)、Snapshotを定期的に実行するスケジューリング機能、複数ボリュームで同時にSnapshotを取得する機能などがありそれぞれ必要に応じて活用できます。
Replication
Replication(複製)機能は別々のFlashSystem/SVC間でデータをコピーする機能です。別の筐体にコピーするので、災害対策や、筐体全体が壊れた時の対策として使えます。最新のFlashSystem/SVCでは、Policy Based Replication(PBR)という名称で機能が実装されています。
非同期の複製機能で、遠隔地にあるFlashSystemへの複製も可能です。WANの回線容量が比較的細い場合でも複製の実行ができるのが特徴です。(図)

HA機能
HA機能(正式名称はPolicy-based high availability、PBHA)は複数のFlashSystem/SVCを使って、高い可用性を実現するものです。筐体間でデータを同期で複製し、片方の筐体が壊れた場合でも、もう片方の筐体でサービスを提供できるというものです。絶対に止められないシステムなどで活用されています。(図)
筐体間には同期複製のための帯域が必要になりますので、近距離の別拠点、別のラック、別のフロア、などに配置することが多いです。

次回はSnapshotとレプリケーションの連携による災害対策・バックアップ機能について紹介します。