テープ装置の小ネタを紹介します。
TS4300の論理分割の単位
TS4300ではテープライブラリーを論理的に分割して使用可能です。複数のアプリケーションやユーザーで1台のライブラリーを分けて使う便利な機能です。
この分割の単位がマニュアル等で細かく書かれていないのでこちらで紹介します。
この例で使っているTS4300は下記の構成になっています。拡張筐体(Module 2と表示)がついています。テープを格納するマガジンは縦5列x横4列の棚みたいな構成になっていて、左右に1個ずつあります。

Expert Modeで論理ライブラリーを編集すると、スロットはこのような分割単位になっています。マガジンの縦列(5段)単位での分割になっているのが分かります。

I/Oスロットはこのような単位で、1スロットずつ分割できるようになっています。

LTO-9の最適化を自動で実行(TS4300のウィザード使用)
LTO-9は圧縮前の容量がテープメディア1本あたり18TBと非常に大容量になりました。テープメディア上のデータが記録されるトラックも高密度になり高精度な制御が求められることから新品のテープメディア使用前に最適化という作業が必要になっています。(参考リンク)
バックアップソフトの最初のメディア操作時に自動で最適化が行われますが最適化には時間がかかるためバックアップソフトの使用前にまとめて最適化しておくとバックアップがスムーズに開始できるかと思います。まとめて最適化する機能がTS4300に実装されたので紹介します。(TS4300 Ver 1.6.2以降で使用可能)
GUIのメニューから実行できます。

最適化するメディアを選択します。

最適化に使用するドライブを選択します。複数ドライブを使用可能です。ただし最適化で使用するドライブはアプリケーションから使用できなくなりますのでアプリケーション使用前や、ドライブに余裕があるときにこの機能を使用するとよいでしょう。

LTO-9の最適化を自動で実行(ITDTツールを使用)
ITDTというツールを使ってLTO-9の最適化を自動で実行する方法を紹介します。
ITDTの詳細はマニュアルをご覧ください。ITDTのマニュアルはTS4300のマニュアルに含まれていますが、TS4300以外のテープ装置でも使用可能です。
https://www.ibm.com/docs/ja/ts4300-tape-library?topic=guide-tape-diagnostic-tool-itdt
日本語翻訳が少しおかしいところがありますので英語マニュアルも参考にしてください。
https://www.ibm.com/docs/en/ts4300-tape-library?topic=guide-tape-diagnostic-tool-itdt
ITDTはダウンロードサイト Fixcentral から入手できます。
https://www.ibm.com/support/fixcentral/
ITDTの詳細は今回は省略して、最適化について紹介します。
最適化はコマンドラインベースの機能として提供されています。起動オプションなどはマニュアルに記載されています。
https://www.ibm.com/docs/en/ts4300-tape-library?topic=commands-librarymediaoptimization
Examples: を見ると、おおまかな使い方がつかめると思います。
./itdt -f /dev/IBMChanger0 librarymediaoptimization
この例はすべてのドライブを使用し、すべてのスロットのメディアを最適化開始します。
./itdt -f /dev/IBMChanger0 librarymediaoptimization -slots 10 -drives 2
この例はスロット10個分のメディア、ドライブは2台使用。
./itdt -f /dev/IBMChanger0 librarymediaoptimization -start 4096 -slots 10
この例はスロットのスタートアドレス(エレメントアドレスといいます)から、10スロット分のメディアを最適化します。
./itdt -f /dev/IBMChanger0 librarymediaoptimization –drivelist 01234567890,0123456789A
この例は最適化に使用するドライブをドライブのシリアルナンバーで指定しています。
./itdt -f /dev/IBMChanger0 librarymediaoptimization –drivelist 256,257 -volserlist 187AAHL9,187AAKL9,187AALL9
この例は最適化に使用するドライブをアドレスで指定(256、257)、最適化するメディアをボリュームラベル(バーコードラベルの番号)で指定しています。
実際によく使用されるかなという使い方は以下のようなものが想定されます。
メディア指定について:
- メディア本数が少ない場合はバーコードラベルで指定
- メディア本数が多い場合はスタートアドレス、本数の指定
ドライブ指定について:
- バックアップソフトなどの使用開始前はドライブは全部指定
- バックアップソフトなどの使用開始後はバックアップソフト側で未使用ドライブを設定して、最適化用に割り当てて使う
最適化が必要かどうかの確認もできます。
https://www.ibm.com/docs/en/ts4300-tape-library?topic=commands-qrymon-qrymediaoptimizationneeded