IBM TechXchange Japan WebSphere User Group (日本WebSphereユーザーグループ)

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お客様事例Discover:Libertyランタイムによるアプリケーション・モダナイゼーション:モダナイゼーションの必要性 (Part1)

By KAORI ASADA posted Thu December 01, 2022 02:57 AM

  
(こちらのブログの翻訳記事です。)

アプリケーション・モダナイズ戦略を資産全体に適用することで、投資収益率(ROI)を最大化します
この記事は、Discoverのアプリケーション・モダナイズに関する記事のPart1です。Part2およびPart3もぜひご覧ください。

アプリケーション・モダナイズには、イノベーションを推進する俊敏性、生産性の向上、顧客体験の改善、技術的負債の軽減、より安全なアプリケーションなど、多くの利点があります。そしてもちろん、コスト削減のチャンスもあります。

これらのメリットをどれだけ享受できるかは、モダナイズの程度によって異なります。モダナイズされているかどうかという二者択一の状態ではありません。 これは、先に進むほど得られるスライディング・スケールです。 ただし、先に進むほど時間がかかり、費用もかかります。 つまり、古典的な 80:20 のルールです。

80:20のルール
どのような選択をすれば、20%のコストで80%の利益が得られるのでしょうか。そして、最も重要なことは、モダナイズを始める前にこれを把握することです。

大きく分けて、3つの領域でモダナイゼーションが行われます。

  • ランタイム:多数のアプリケーションをホストする汎用的な重いアプリケーション・サーバーから、単一のアプリケーションをホストする軽量で最適化されたアプリケーション・サーバーへの移行
  • アーキテクチャー: アプリケーションをクラウドネイティブのマイクロサービスに書き換え

Discover のモダナイゼーションの歩み
Discoverでは、運用のモダナイズに対する決定はすでになされていました。コンテナには明確な利点があり、コンテナ・オーケストレーション・プラットフォームとしてOpenShiftはすでに選択されていました。

次の決定ポイントは、どのランタイムを使うかでした。選択肢としては、既存の WebSphere Application Server (コンテナで実行)を使い続けるか、より軽量なランタイムに移行するかということでした。WebSphere Application Server を使用し続けることは、アプリケーションにコード変更を加える必要がないため魅力的に思われますが、それほどのメリットは得られません。ライセンスやハードウェアの要件を必要な分だけ拡張する機会もなく、軽量ランタイムが提供する迅速なスタートアップも、迅速なインナーループ開発技術も利用できず、80%のメリットを実現するチャンスもありません。

軽量なランタイム
Discoverは、この決断にどれだけのコストがかかり、将来的にどれだけのコスト削減につながるかを知る必要がありました。その結果、WebSphere Application Server のクラウド対応している後継製品である Liberty Runtime が選ばれました。アプリケーションを新しいランタイム用に更新する必要があり、設定やコードに影響を与える可能性があります。このアプローチだと、モダナイズのメリットのほとんど(すべてではありません)を得ることができます。

もう1つの選択肢は、完全にアーキテクチャーを再構築し、可能な限りモダナイズのメリットを追求することでした。Discoverは、このアプローチにJava Spring Bootを選択しました。

では、この2つの選択肢をどう比較すれば良いでしょうか。Liberty を選択すると既存のアプリケーションを修正することになり、Spring Boot を選択するとアプリケーションを書き換えることになります。Discoverには、モダナイズすべきアプリケーションが数百もあったため、資産全体に対して適切なオプションを選択することが重要でした。Discoverは、資産全体を修正するか、アプリケーションを 1 つずつ書き換えるか、両方のオプションに関わるワークロードを評価する必要がありました。

資産全体のモダナイゼーション
書き換えは素晴らしい選択肢のように思われます。最初のすべての間違いを帳消しにし、悩みの種を取り除く機会を与えてくれるからです。しかし、それが現実となることは稀です。既存のアプリケーションの複雑さの多くは、時間の経過とともに変化する要件の結果であることを忘れてしまいがちです。当初は見落とされていた、あるいは存在しなかった特別なルールや特殊なケース。これらをすべて書き換えるのであれば、アプリケーションごとに、すべてを見直す必要があります。特に何百ものアプリケーションの場合、それは小さな仕事ではありません。しかも、コードがおかしな動きをする可能性が高く、その理由を教えてくれるコメントもありません。また、見落としがあったり、新しい欠陥が発生したり、新しい課題に直面することもあります。このような課題は、最初に問題をもたらしたのと同じ種類のものです。

リプラットフォームは、ワクワクする感じはしませんが、非常に現実的です。重要なのは、将来的な書き換えの道を閉ざさないということです。モダナイゼーションのメリットのほとんどを今すぐ手に入れ、どのアプリケーションがマイクロサービスの全書き換えに値するかのを判断する時間を与えてくれます。また、すでに「賞味期限切れ」のアプリケーションをリタイアさせる一方で、全エリアにわたって一貫したオペレーションを維持することができます。現実には、大半のアプリケーションは、リプラットフォームを越えてモダナイズされることはないでしょう。書き換えられることはなく、別のものに置き換えられていくのです。

正確な評価
このような背景をすべて確立した上で、Discoverはどのようにして選択肢の正確な評価を得たのでしょうか。Spring Bootへのモダナイゼーションはすでに承認されており、各アプリケーションに対する評価はケースバイケースで行われました。典型的なアプリケーションをSpring Bootでモダナイズするためのワークロードは、数ヶ月から数年単位で計測されました。さらに、メインフレーム・サービスへの接続を含む統合にも課題が存在しました。

WebSphere Application Server から Liberty へのモダナイズは、アプリケーション単位でモダナイズするのではなく、資産全体にフォーカスを当てる機会を提供しました。IBM Transformation Advisorと呼ばれるツールは、アプリケーションごとのモダナイズ開発のワークロードと課題を評価する自動化された手段を提供します。さらに、アプリケーション群に共通するコードと共通の問題を特定し、モダナイズ時のワークロードを大幅に削減することができます。各アプリケーションを個別に対応させるのではなく、資産全体に対応させた場合の典型的な工数削減率は約70%です。Discoverはこの点を特に重視し、モダナイズの取り組みを加速させるために活用したいと考えていました。

わずか数日でアプリケーションをモダナイズ
Discoverのアプリケーションを Liberty IBM Transformation Advisor にモダナイズすることは、非常に有望な結果を残しました。 各アプリケーションの平均的なモダナイゼーション作業は、月単位や年単位ではなく、日単位で測定されました。 Discoverのアプリケーションで使用されるテクノロジーはすべて、Liberty 上で同じまたは同等のテクノロジーを使用していたため、アプリケーションを完全に書き直す必要はありませんでした。 Liberty へのリプラットフォーム化は、既存の WebSphere Application Server と比較して、ライセンスとフットプリントの要件を削減しながら、軽量でコンテナに最適化されたランタイムを提供し、さらなるモダナイゼーションへの扉を開きました。 Discover はモダナイゼーションの価値の 80% を得ることができ、主要なアプリケーションについては将来的に完全なクラウド・ネイティブ・エクスペリエンスを追求することができます。

このブログシリーズのPart2では、Libertyをモダナイズ対象として評価するためにDiscoverが実施した技術検証について見ていきます。お客様事例Discover:Transformation Advisorによるアプリケーション・モダナイゼーション:PoC (Part2)

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Paul Barry
Senior Software Engineer - Transformation Advisor , IBM
Elena Naos
Enterprise Architect, Discover Financial Services, Discover Financial Services

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