IBM 701という最初のメインフレームを発表したのが1952年、今から62年前のことです。当時は互換性や汎用機といった概念がなく、コンピューターが乱立していく状況の中で、System/360は登場しました。このときの状況は、UNIXやPCサーバーが乱立してしまった現在と似ていると言われ、クラウドに収れんするトレンドをSystem/360に例える知識人もいます。トレンドには周期性があり、歴史は繰り返されます。50周年という節目を機に、改めて半世紀の過去を振り返り歴史から学ぶことで、今後の将来を見えたい――そうした思いから、PROVISION「IBMメインフレーム50」を企画しました。今回の特集号では、2003年に発表された「メインフレーム憲章」を軸として”Value” “Innovation””Community”の3つ、時間軸から”過去” “現在” “未来”の3つの視点で整理をして記事をまとめました。座談会も企画し、過去を語るOB座談会、現在を語る現役SE座談会、そして将来を考える研究者の座談会を通じて、技術者の「生の声」を聞くことができました。お客様事例は、できればすべてのSystem zのお客様を掲載したかったのですが、誌面の関係から、3件のお客様を取材させていただきました。世界トップクラスの銀行であり、日本最大のメインフレーム・ユーザーであるお客様。常に最新製品をご採用いただきメインフレームの新機能を積極活用しているお客様。50年前にSystem/360で偉大な挑戦をし、今もその精神を受け継ぐパートナー様。3件のお客様に共通して言えることは、飽くなきチャレンジ精神とメインフレームへの信頼でした。今回のPROVISIONは、一冊まるごとSystem zです。そしてこれからの50年、ここが出発点になります。お客様の夢を実現するために、System zが今後も信頼できるプラットフォームであり続けること――それを、この特集号の全編を通じて確信いただけるはずです。
2014年5月 PROVISION 81号 コンテンツ・リーダー 北沢 強