いま、商取引のかたちが劇的に変化しつつあります。スマートフォンをはじめとする新しいモバイル・デバイスやソーシャル・メディアの普及によって、企業と消費者との接点が飛躍的に拡大するとともに、消費者のクチコミが、企業の商品やサービスの評判に重大な影響を与えるようになりました。それは、売り手である企業主導の商取引から、買い手である一人ひとりの“個客”主導の商取引への変化だと言えます。このパラダイム・シフトは、B to Cの領域だけにとどまるものではありません。B to Bの領域においては、ウェブサイトの世界同時展開によって顧客へスピーディーな情報提供を行ったり、グローバルに統合されたサプライチェーンによって顧客の需要に応じた商品供給や調達が可能になっています。こうした顧客中心の体制作りが売り上げ拡大やコスト削減に大きな影響を与えます。顧客中心の商取引を実現するためにIBMが提唱しているのが「スマーター・コマース」です。購買(Buy)~マーケティング(Market)~販売(Sell)~サービス(Service)という商取引のサイクルを隙間なくつなぐバリュー・チェーンを構築することで、一人ひとりの“個客“にふさわしい顧客体験を与え、顧客ロイヤルティーを高めていくことが可能になり、企業の競争力や業績の向上を実現します。今号は、「個客中心時代の幕開け|新しい商取引を実現するスマーター・コマース」と題し、ユーザー様の先進事例をはじめ、スマーター・コマース実現のためのIBM製品やソリューション、テクノロジーなどをご紹介します。今号が、“個客中心”時代における企業競争力向上の一助になれば幸いです。
2013年11月 PROVISION 79号 コンテンツ・リーダー 鈴木 洋史