かつて経験したことがない環境変化に対応するために、エンタープライズ・システムの戦略的な利活用が要求されています。企業は、企業内に存在する膨大なデータを分析して、より賢い、的確で迅速な経営判断と行動を求められています。賢く判断するための手段として、従来からBI(ビジネス・インテリジェンス)と呼ばれるソリューション分野がありましたが、対象データ量や解析できる専門家が限られることや、迅速さの点であまり賢いとはいえなくなってきました。本号で特集するBAOでは、より的確な判断を可能にするために、長年企業が構築してきたERP、CRM、SCMなどの大量データをリアルタイムに活用し、爆発的に増加するWebデータや、センサーから直接流入する大量のリアルタイム・イベントなど、急速に広がるデータ源を経営判断のために利活用します。これらのデータをビジネスのタイミングを逃さないスピードで解析・判断し、的確に企業行動に移せるよう、かつてない処理性能の新世代コンピューティング・パラダイムを提供します。BAOは、従来のBIの主体であったデータ分析から一歩進めて、企業のシステム/リソース/ビジネス・フローなどの全体最適化を目指しています。そのためにBAOの対象分野は、データ統合、マスター・データ管理、データ・ウェアハウス、データ・マイニングなどの従来の範囲にとどまらず、ビジネス・パフォーマンス管理、データ・ガバナンス、シミュレーション、予測、最適化など、高度なアルゴリズムと最先端テクノロジー、最新のソフトウェア製品を利活用します。本号が新しいデータ分析手法と、それに基づいたビジネスの最適化を目指す皆さまのお役に立てれば幸いです。
2010年5月 PROVISION 65号 コンテンツ・リーダー 菅原 香代子