「世界はフラット化するとともに、相互に結ばれ、小さくなってきているが、現実にはそれ以上のことが起きている。それは、過去のいかなる時期と比べても、世界がますます『スマート化』されてきていることだ」(出典:フォーリン・アフェアーズ日本語版。2008年11月6日CFR@NYで実施されたMTG ProgramからのSamuel J. Palmisanoのスピーチ抜粋・要約)すべてのモノがセンサーやRFID(無線IDタグ)搭載によって「機能化」された世界では、車、電子機器、鉄道、医薬品など、システムや機器間で相互に会話ができるようになります。そしてそれらが結び付くことで「情報システム」の領域以外で発生した莫大な量の情報を、ITインフラによってどう分析し、どう活用していくかが、これからの世界、企業成長にとっての重要な鍵となります。しかし、この情報量に対応するには、従来のITインフラでは限界があることも、また事実です。ITインフラの在り方について大きく視点を変え、データセンターの中だけではなく、私たちを取り巻くすべてのモノを、ITシステムと結び付けて考えることが重要なのです。IBMは、Smarter Planet™のテーマの1つとして、「ダイナミック・インフラストラクチャー(Dynamic Infrastructure®)」を提唱しています。ダイナミック・インフラストラクチャーは、「仮想化」などのテクノロジーにより、サーバーの利用率向上、エネルギー効率の向上、リソースの最適配置などを実現し、敏活さとスピードを持ったビジネスとITサービスを提供する基盤です。そして、ITサービスの提供基盤としてクラウド・コンピューティングを活用することにより、IT管理を容易にし、ビジネス・ニーズへの即応性を実現することも可能です。クラウド・コンピューティングは、ITを「所有」から「使用」へと変える新しいソーシングの形で、「コストを削減しながらサービスの向上、リスクの管理」を実現するダイナミック・インフラストラクチャーの中で重要な位置付けとなります。IBMは、世界中で培ったテクノロジー、ノウハウ、経験を駆使することで、お客様の課題を解決するために現状のインフラのアセスメントから、個別計画の作成、設計、構築までを一貫してサポートします。今号では、スマート化する世界の動き、IBMのクラウド・コンピューティングを中心としたインフラへの取り組み、IBMのソリューションをご紹介します。
2009年7月 PROVISION 62号 コンテンツ・リーダー 髙橋 志津