21世紀のグローバルにフラット化した世界。そこで活動する企業や人はどのように自らの変革と進化を続けていくのでしょうか?今、それは悠然と応えるべき課題ではなく、すでに多くの変革への実践が現実のものとして行われています。米国のサブプライム・ローン問題に端を発した金融危機とそれに続く世界レベルの実体経済への影響--その甚大さと波及の驚くべき速さは想像をはるかに超えるものでした。わたしたちの社会と経済が地球規模で深く連動し影響し合っていることをまざまざと実感させられました。このような環境の激変にも耐え、さらにはそれをビジネス機会へと変えて、自らのイノベーション能力を持続し進化していく企業の姿として「Globally Integrated Enterprise(GIE)」が位置付けられます。そこではどのような製品やサービスを提供するか(What)に負けず劣らず、どのようにそれらを提供するのか(How)が極めて重要なこととなります。その「How」を成功させる最も大きな要因の1つとして、高度な専門性を持ちグローバルに業務を遂行できる人材の育成があります。IBMが全世界の優れた企業や公共機関のトップと経営層への直接のインタビューを通して実施している「The Global CEO Study」。2008年に実施されたそのテーマは「未来企業のあるべき姿」でした。調査結果から未来企業のあるべき姿が5つのパターンに抽出され、その1つが「世界中の能力を活用する」となっています。そしてグローバル・インテグレーションの障害への回答で、実に57%(日本では76%)のCEOがタレント(人材)およびマネジメントの不足を挙げています。PROVISION誌の60号という節目の本特集では、21世紀型の企業の新しいビジネス・モデルであるGIEとグローバル・コラボレーションを担う人材の育成という視点から、さまざまの事例と解説を盛り込んで集大成をしています。本号が、グローバルな時代における変革へと立ち向かう皆さまのお役に立てれば幸いです。
2009年2月 PROVISION 60号 コンテンツ・リーダー 宇賀神 修