ソフトウェアは企業のビジネスならびに社会基盤を支える情報システムの重要な要素として進化を遂げてきました。そして、大規模かつ複雑化した情報システムをビジネスや市場の変化に機敏に対応させていくためには、SOA(Service Oriented Architecture)に代表される柔軟かつ拡張性のあるソフトウェアのアーキテクチャーやテクノロジーを導入していくことが大切です。柔軟なシステムを実現する選択肢としてオープン・スタンダード、オープン・ソース、そしてオープン・アーキテクチャーなどの活用があります。IBMはこれらオープン戦略に積極的に投資をしています。例えば、オープンソースにEclipseを提供してJava統合開発環境ならびにリッチ・クライアント基盤としての大きな成功を収めました。その成果はIBMソフトウェア製品にも利用されていますが、オープンソース・ソフトウェアをアプリケーション開発サービスにおいて有効に活用する事例として実績を重ねてきています。オープンソース・ソフトウェア開発の成功体験から、コミュニティーの力を生かしたオープンソース型開発やコミュニティー駆動型開発という新しいソフトウェア開発手法が生まれました。世界中から専門家がコミュニティーに集まり、Web2.0などのツールを活用して議論やフィードバックを集中的に繰り返し、新しいテクノロジーが効率よく生み出されたのです。Jazz™とProjectZeroはコミュニティー駆動型開発を導入し、製品開発の初期段階から社外ユーザーのフィードバックを取り入れて機能や品質の向上が図られました。本特集では、新しいソフトウェア・テクノロジーとともに、テクノロジーを生み出すツールや開発手法に関してご紹介します。IBMは最新のテクノロジーに関する情報をいろいろな形で積極的に発信していますが、この記事が変貌を遂げつつあるソフトウェア・テクノロジーへの理解を深めるきっかけとなれば幸いです。
2008年10月 PROVISION 59号 コンテンツ・リーダー 野田 晴義