製品・サービスのコモディティー化(低価格化・普及品化)、顧客ニーズの多様化、規制環境の変化、経済のグローバル化。このようなダイナミックな経営環境の中で、新たな顧客価値を創造し、企業価値を最大にするためのイノベーションが求められています。そして、企業のビジネスの設計図ともいえるビジネス・モデルのイノベーションを実現するに当たっては、組織構造の変革や戦略的提携の活用を施策として挙げる企業が多くなってきました。ビジネス・サービスの分野においても、BRICs(Brazil, Russia, India and China)をはじめとする新たな経済圏の出現やオープン・スタンダードの進展、コミュニケーションやIT(情報技術)の発展、ビジネスのコンポーネント化の試みなどにより、他企業との新たなコラボレーションのモデルが整備されつつあります。企業は、自社を自社たらしめているものは何かをあらためて自問自答し、企業として何を社内で有し、どの部分で他社あるいは市場を活用するかを再設計する必要が出てきているのです。自社の強みとともに他社の強みも活用し、最適なバリュー・チェーンを再形成してお客様に対する新しい価値創造のプロセスをつくり上げていく必要があるのではないでしょうか。ビジネス・トランスフォーメーション・アウトソーシングは、IBMがこれまで蓄積してきたビジネス・モデルや、ビジネス・プロセス変革の経験やノウハウを基にしています。これまでのITのコンサルティングから開発/運用支援だけではなく、ビジネス・モデルの設計から業務の運営に至るまで、お客様企業との新たな協業モデルを構築し、お客様のビジネスに対してより直接的に貢献することを目指したサービスです。今号では、ビジネス・トランスフォーメーション・アウトソーシングという新しい協業モデルが、日本のお客様のビジネスにどのように受け入れられてきたか、さらには、これからどのように発展していくのかについて説明します。本誌が、日本企業の皆様の今後のビジネス変革のお役に立てれば幸いです。なお、表記の都合上、Business Transformation Outsourcing、Business Process Outsourcing、Business Processing Serviceは、以降の記事タイトル・本文中ではそれぞれBTO、BPO、BPSと表記します。
2007年5月 PROVISION 53号 コンテンツ・リーダー 山根 篤