SOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャー)が市場に紹介されてから、既に数年がたとうとしています。SOA導入のイメージは、原子力発電所建設のような従来型の一品受注生産型から、自動車や携帯電話に代表される一般工業製品生産型への転換に例えることができます。すなわち、当該システム構築のために要件定義、設計、作成、以下後続の全工程を専用に実施するのに比べて、SOAでのIT(情報技術)システム構築は、当該製品に特化した部品(自動車のスタイル、携帯電話の差別化機能など)と、ほかから流用したり調達する部品(自動車のタイヤ、携帯電話の液晶パネルなど)の組み合わせで製品を構成・生産するというものです。このようなSOAスタイルが進展すると、業務を支える情報システムを新たに一から開発するのではなく、これまで作ってきたものを部品として再利用したり、最適な部品をインターネットを使って調達し、それらを組み合わせてシステムを構築することができるようになります。そのためには、複数のミドルウェアとサービスやコンサルテーションを組み合わせた、お客様企業にとって「より価値のあるソリューション」が提供されるかどうかが重要になります。今回の特集「実用期を迎えたSOA」では、日本アイ・ビー・エム株式会社がSOAを国内に初めて紹介した2004年5月18日から現時点までに発信した「ビジネスの視点」「テクノロジーの視点」「アーキテクチャーの視点」「CEO(最高経営責任者)の視点」「CIO(最高情報責任者)の視点」など、さまざまな視点を盛り込んで集大成いたしました。本誌が、日本企業の皆様の今後のビジネス変革にお役に立てれば幸いです。
2006年10月 PROVISION 51号 コンテンツ・リーダー 長島 哲也