社会が大きく変化し、変化のスピードが増す中で、将来への見通しを立てることが次第に難しくなっています。「不確実な時代」の到来です。既存の制度や仕組みで成功を収めた企業にとっては、構築した最善の業務プロセスにリスクが潜んでくることになります。その一方で、既存の制度や仕組みが崩壊・変化し、経営環境が変わる中で、新たなビジネスチャンスが生まれるとも考えられます。「不確実な時代」が持つ二つの側面に柔軟に対応していかなければなりません。社会変化に迅速に対応するには、経営課題解決のためにプロジェクトを立ち上げ、マネジメントしていくことが必要です。また、複数のプロジェクトをマネジメントしやすいプログラムの単位にまとめ、企業戦略の観点からプロジェクトポートフォリオを分析することが必要です。すなわちエンタープライズ・プロジェクトマネジメントの実施です。プロジェクトの中にも不確実な要素は多く、内在するリスクを徹底的に洗い出し、そのコスト/日程的な影響を定量化して科学的に対応していくことは、プロジェクトの成功に欠かせないマネジメントです。偶然や個人的な頑張り・経験ではなく、再現性のあるモダンPMを導入し、最初から成算のあるプロジェクト計画を立案することが重要です。また、大規模プロジェクトでは情報伝達での歪曲を排除する縦横無尽のコミュニケーション機能が必要です。今回の特集では、リスクとは何か、リスクへどのように取り組んでいけばよいかを、さまざまな視点から取り上げています。
2005年2月 PROVISION 44号 コンテンツ・リーダー 猿谷 清吾