ProVISION36号では、「コンピューター資源の共有」を実現するインターネット上の異機種混合・分散技術としてグリッド・コンピューティングを特集しました。そのグリッド・コンピューティングが新しいビジネス・モデルとして想定しているのがe-ビジネス・オンデマンドです。オンデマンドは「必要なときに必要なだけ」という意味。電気・ガス・水道のように、ITインフラストラクチャーやアプリケーションなどのビジネス・プロセスを必要に応じて利用し、使用した分だけ支払えばよくなります。情報リソースは、これまで企業の資産として持たれ、各企業でプログラムをつくり、管理するのが”常識”でした。しかし、e-ビジネス・オンデマンドの登場により、アウトソーシングを含め、コンピューター利用の選択肢が大きく広がることになります。e-ビジネスは今後、企業内のみならず外部の企業や機関ともプロセスを連携するダイナミックな統合の段階に入っていきますが、IBMでは「e-ビジネス・オンデマンド」を、そうしたe-ビジネスの新次元におけるビジネスとコンピューティングの新しい動きを総括するキーワードとしてもとらえています。本号の[マネージメント最前線]では、e-ビジネス・オンデマンドへのIBMの取り組みのほか、その実現に不可欠なテクノロジーとしてオートノミック・コンピューティングを取り上げています。論文には、先進的なIT研究の成果、現場でのシステム構築の実践を踏まえての考察など、多彩なテーマを収載しています。
2003年4月 PROVISION 37号