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女性技術者&リーダー対談 〜倉島フェロー就任記念インタビュー〜

By Natsumi Kitajima posted Mon January 29, 2024 11:35 PM

  

女性技術者&リーダー 対談

〜倉島フェロー就任記念インタビュー with cosmosコアメンバー〜

cosmosリーダーの倉島 菜つ美さんは、業界をリードするイノベーションや世界中のお客様、ビジネスパートナーとの共創を通じて技術分野で優れた功績をあげた社員に与えられるIBM技術者の最高職位「IBMフェロー」に新たに任命されました。これを記念して、IBMフェローになった経緯や今後の活動などについて、さっそくお話を伺いました。

倉島 菜つ美さん(以下、倉島)

日本アイ・ビー・エム株式会社  IBMフェロー

IBMコンサルティング事業本部 ビジネス・トランスフォーメーション・サービス CTO

IBMフェローは、最初から目指していたわけではない
【cosmos】倉島さん、IBMフェローご就任、おめでとうございます!cosmosコアメンバーとしてとても誇らしく思っています。IBMフェローになられた経緯をお聞かせてください。
 
【倉島】昨年、浅川フェローをインタビューしたときに、浅川さんが「ディスティングイッシュト・エンジニア(以下、DEと記載)と名乗るとその説明が大変だけど、フェローなら "私はフェロー" と一言言えばいいだけ、だから私はフェローになろうと思った。」とおっしゃっていて、さすがだなと思いました(笑)。
 
私は最初から「目指した」というわけではなく、DEになるためのノミネーション・プロセスをずっとサポートしてくれていたメンターたちが、IBMフェローになることを勧めてくれました。それも急にではなく、少しずつレールが引かれていて、気がついたら目指していた、という感じです。確かに、DEとして、アーキテクトとして、他の人にテクニカルプロフェッショナルとしての資格取得へのチャレンジをお勧めするのに、自分はチャレンジしないというのは説明がつかないなと思い、IBMフェローを目指すようになりました。おかげで、「私もがんばったからできた。あなたもがんばろう。」と胸を張って言えるようになりました。自分のためだけにキャリアアップをがんばることは難しいですが、背中を押してくれる人、ついてきてくれる人がいるのなら、その人たちのためにがんばろう・・・という気持ちに自然となれました。

Authentic Self(本当の自分)の理解を深める
【cosmos】フェローになるにあたって、具体的にどのような苦労があったのでしょうか。
 
【倉島】IBMフェローになるためには、IBMフェローとして相応しいことをフェロー申請パッケージで示す必要があります。これは、プロフェッションのバッジ取得やDEへのノミネーション申請と同じです。IBMフェローはテクニカルな業績に対して与えられる称号ですから、日々の仕事の中から、マネジメント業務などを取り除き、ひたすら技術的な成果を切り出す必要があり、さらにそのビジネス・インパクトを示すことが求められるので、その辺がとても難しかったです。また、通常業務における技術的な成果だけでなく、技術コミュニティーや技術者育成などへの貢献や、社内外への情報発信力なども問われます。その観点では、cosmosでの活動は非常に高く評価されました。
 
【cosmos】そういう意味では、フェロー申請は自分のキャリアを見直す機会でもありましたね。
 
【倉島】そうですね。フェロー申請パッケージの作成にあたっては、これまでの技術者としての活動を振り返り、自分のことをじっくり考えることが求められました。このタイミングで自分の技術者としての強みや思いを確認できたので、皆さんがご覧になったインタビュー映像を撮影したときは、とても緊張しましたが、迷いなく、自然に答えることができました。こうした経験から、「Authentic Self」を正しく理解し表現することの重要性を実感しました。その結果がIBMフェローとして相応しいと認められたことは、本当に嬉しく思います。 

コミュニティー活動で花が咲く

【cosmos】IBMフェロー申請する際、cosmosでの活動が高く評価されたとのことですが、フェロー就任に当たってのコミュニティー活動の役割についてもう少し詳しく教えてください。
 
【倉島】私のフェロー任命にあたり、TEC-J(*) Presidentを務めたことや、女性技術者のコミュニティーであるcosmosをリードしていることなど、技術者コミュニティーへの貢献が高く評価されました。IBMフェローは技術を活用し、IBMやお客様、そして社会に大きなインパクトを与えることが期待されるロールです。もちろん、ビジネス上のインパクトも重要ですが、技術者コミュニティー活動などもイノベーションの創出に繋がる活動として重視されています。こうしたコミュニティー活動などの貢献活動を重視し、評価するというのはIBMの素晴らしい点の一つだと思います。
 
もちろん、ただコミュニティー活動に参加すればいいというものではありません。どのような活動であれ、やはりリーダーシップを発揮することが求められます。これはフェローに限らず、プロフェッション・バッジの取得やDEのノミネーションにおいても同様です。皆さんもコミュニティー活動を楽しむとともに、ぜひ、主導的な立場で活動をリードすることを心がけていただければと思います。
 
(*)TEC-J: Technical Experts Community of Japanの略。日本IBMのテクニカル・コミュニティーであり、IBMのグローバルなテクニカル・コミュニティーOIC (Open Innovation Community)の日本支部の位置付けでもある。

学びと出会いを大事に、まずはメタバースのビジネスから
【cosmos】IBMフェローになって何か変わりましたか。フェローになってよかったことや、大変だろうと思うことがあれば教えてください。
 
【倉島】IBMフェローになってまず驚いたことはその影響力の大きさです。とても多くの方にお祝いのメッセージをいただきましたし、日々IBMフェローという肩書きに対するリスペクトを非常に感じています。
 
ミーティングは確実に増えましたね。今まではIBMコンサルティング事業本部の中のIBM iXというサービスラインのCTOでしたが、IBMフェローになると同時に、IBM iXを含むビジネス・トランスフォーメーション・サービス(BTS)という一つ上の組織のCTOという役割に変わりました。担当領域が広がったとしても、私の専門領域であるシステムズ・エンジニアリングの観点でCTOとしての役割を果たしていきたいと考えていますが、iX以外の領域について、新しく学ぶべきことも多くあると感じます。
 
【cosmos】これからも勉強していくのですね!倉島さんでも学ぶ必要があるのですか?
 

【倉島】私は、自分をそれほど勤勉な方だとは思っていません。ディープなテクノロジーの話は苦手感すらありますし、技術系の知識は、かなりの部分はプロジェクトなどで実践しながら習得してきたものです。一方で、本を読むことは好きなので、自分の興味があることについて学ぶことはそれほど苦になりません。iXに異動してきた当初は、モバイルのことやUXのことなどかなり勉強しました。この分野は自分の興味ともよく合っていたので、実践での習得も含めて楽しく学びました。
 
昨今の技術の進歩には目を見張るものがありますが、そのように技術は進歩し続けるものなので、学び続けることはエンジニアの宿命だと思います。

【cosmos】この変化にわくわくですか?プレッシャーは感じますか?
 
【倉島】プレッシャーはあまり感じません。できないことはできないですから(笑)。
 
新しい分野なので、わくわくしています。先ほども言ったとおり、iXに異動して、モバイルやUXのプロジェクトに初めて関わった時は、初めてのことばかりでしたが、とても楽しかったです。今度の新しい役割では、より幅広い分野をカバーすることが期待されていると思うので、楽しみです。
 
【cosmos】DEやフェローは会社を背負っているというイメージを持っていました。
 
【倉島】どんな立場であっても、一人ではありません。周りに適切に相談すれば、物事は解決に向かいます。
 
【cosmos】 新しい出会いも楽しみなところですね。
 
【倉島】本当に、人との出会いは大切だと思います。これまで指導してくれたメンターの方々にもしも出会っていなかったら、私は今、IBMフェローにはなっていなかったと思います。
 
ちょうどメンターの話になったので少しお話しすると、メンターとメンティーの出会いは本当に貴重ですから、もし、この人の話はいつも参考になるな、とか、また相談したいな、と思える人が周りにいたら、ぜひメンターと決めて積極的に会話の機会を持つことをお勧めします。相手の方に「あなたは私のメンターです」と言う必要はありません。もちろん、言っても全然構いませんが。メンターとメンティーのコミュニケーションは双方向ですから、少なくともどちらかがこの関係を維持する努力をする必要があります。一般的にはメンティーがメンターに依頼して時間を取ってもらうのですが、私の場合、しばしばメンター側からインビテーションをいただいていました。「Natsumiは最近どうしているの(フェローの準備は進んでいる)?」というわけです。本当にありがたいことだと思いましたし、私もそのようなメンターでありたいと思います。
 
【cosmos】IBMフェローとして、これからやりたいことを教えてください。
 
【倉島】まずは、「企業によるメタバース活用」をビジネスとして成立させたいです。ここ半年ほどかけて開発してきた企業向けメタバース・プラットフォーム・アセットをベースにお客様のメタバース活用を現実のものにしたいと考えています。それからやはり、生成AIの動向からは目が離せませんね。
 
また、IBMフェローとしてお客様の信頼を得られるようになりたいです。お客様に「IBMフェローが言うなら間違いない」と言っていただけるようになれば、メタバースやAI活用もますます推進できそうです。(笑)

チャレンジ精神と還元を忘れず、上を目指す

【cosmos】これからDEやフェローになる人たちにメッセージをお願いします。
 
【倉島】最初からIBMフェローを目指す人は少ないと思いますが、ステップアップする機会があれば、ぜひチャレンジしてほしいです。例えばプロフェッション・バッジの取得など、技術者としての資格の次のステップを目指してみるのはどうでしょうか。次のステップに行きたいから仕事をするのではなく、仕事をしていくうちに、気がついたら次のステップに進んでいて、周りの人たちが背中を押してくれるということもあるでしょう。キャリアアップすることでもちろん昇給もありますし、任される仕事の内容も変わってくるので、「そろそろReady」と思ったら、あるいは周囲から「大丈夫だよ」と言われたら、ぜひチャレンジしてください。その際、これまでやってきたことを振り返り、それがどのようなインパクトをもたらしたのかを考えることも大切です。
 
私のIBMフェロー・ノミネーション・プロセスにあたっては一人で考えたのではなく、複数のメンターの皆さんが、自身の経験を踏まえて様々なアドバイスをしてくれたり、一緒に悩んだり、他の人を紹介してくれたりしました。まずは自分に合ったメンターと出会い、アドバイスを受けながら進んでいきましょう。私がメンターたちに助けられたように、私も皆さんのお役に立ちたいと思います。

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