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【私の履歴書#12】戸倉 彩さん

By MICHIKO MARUKO posted 19 days ago

  

戸倉 彩

日本アイ・ビー・エム株式会社

テクノロジー事業本部 第二カスタマーサクセス部 部長

2011年 日本マイクロソフト テクニカルエバンジェリストを経て、2018年にIBM入社。入社後はDeveloper Advocateとして、開発者向けにIBM Cloudやコンテナ技術を軸に最新情報の提供や、ハンズオンなどを通じて技術支援を実施。現在はテクノロジー事業本部カスタマーサクセス事業部 Program Managerを担当しIBMテクノロジーを利用されるお客様に向けたさらなるビジネス価値提供や活用促進を行っている。


Interview #12

日々IBM内外で技術者向けに様々な発信を行い、精力的なご活躍をされている戸倉さん。その力の源となる、ご経験、技術者としてのマインドやプロとしての意識、大事にしていることを伺いました。

「なぜコンピューターが動くのだろう」が全ての始まりだった

- 現在のお仕事に辿り着くまでのきっかけや経緯を教えてください

 元々コンピューターに興味を持ったきっかけは、小学生のころに出会ったテレビゲームや携帯型ゲーム機でした。なぜ動いているんだろうというところから、どうしたらゲームシナリオや画像を変えられるんだろう、という強い疑問を持つようになり、コンピューター(MS-DOS)やプログラミング(BASIC)を自己学習始めたのです。

 ゲーム機に触れるきっかけやプログラミングというものの存在を教えてくれたのは父でした。なぜ動いているのか興味を持った私に、プログラミングでゲームの仕組みが成り立っていることを教えてくれたのです。まずBASICを使ったゲームプログラミングから始めました。しかし、コンピューターがないので、アナログで、ただフリをするだけのエアープログラミングでした(笑)見かねた父が中古のコンピューターを使わせてくれ、秋葉原でMS-DOSの本を立ち読みしコマンドを打ちまくる、設定をいじりまくる・・・など、そこからはどんどんはまっていきました。設定ファイルをいじりすぎてOSが立ち上がらなくなることもありましたが・・・(笑)、父はそっと見守ってくれていました。

単身渡米した高校時代、デジタル・コンピューター教育に思う存分触れることができた

- 学生時代のエピソードや転機となった出来事を教えてください

小中学校のころは、「女の子らしい」という考え方に縛られる環境にいました。ゲーム機を同時に与えられた妹は全く興味を持たず、私は妹のゲーム機も使って2台で通信対戦をするなどして遊んでいました。そんな私は、周りからはとても変わった子だと思われて苦労しました。そもそも、当時のゲーム機は女の子が楽しめるように作られていません。もっと色がオレンジだったり、音が可愛かったらいいのに・・など、思うこともありました。

転機となったのは、高校からIBMの研究所などもあるアメリカのテキサス州オースティンに単独留学したことです。当時の日本はまだ一般家庭にコンピューターが浸透しておらず、コンピューターに触れられる機会は限られていました。一方、アメリカではコンピューターは浸透してきており、コンピューターに詳しい人がいるところに行き、環境や文化について学びたいと思いました。15歳でスーツケース2つを抱えて一人で渡航した経験を今思い返すと、好奇心が強く、挑戦することを恐れなかった自分がいたように思います。留学について家族の理解とサポートを受けられた環境に恵まれていたのも、とても幸運だったと感じます。

 なお、留学は初日からびっくりすることの連続でした。まず、コンピュータールームがあり、IBM OS/2のコンピューターがあったのです。先生がIBM出身だったり、ボランティアで教えいらっしゃる方もいました。そもそも、オースティンがデジタル・コンピューター教育に力を入れおり高校の先生もそういうスキルが必要になるというという理解がありました。高校の生徒はもちろん全員がコンピューターができるわけではないですが、生活とか、授業にも浸透していてカジュアルな印象を受けました。だからこそ、興味があったらやってみようと言うことができる環境であり、理解が得づらかった日本とのギャップを感じました。

「技術者目線」のイベントとして成功した IBM TechXchange Conference 2023

- 印象に残っている仕事についてぜひ伺わせてください

IBM TechXchange Conference 2023リーダーを務め、初開催となる日本IBMの最大級の技術者向けイベントを日本で実現できたことです。通常業務をこなしつつ、前例のないカンファレンスのリーダーを務めることは難しい挑戦でしたが、もう一人のリーダー蜂谷さん(cosmosで出会いました)やコアメンバー全員で協力し合いながら、参加者により良い体験をお届けするという共有の目標に、最後までやり遂げることができました。

 このイベントは、数々のイベントをやってきた私にとっても人生TOP3に入る印象を受けました。コミュニティ立ち上げや運用をたくさんしてきましたが、IBMは一つのベンダーでたくさんのコミュニティを運用しており、IBMチャンピオンなど貢献している方々と一緒になって作りあげる体験がありました。とてもIBMらしいイベントができたと思います。

 また、コロナ明けのリアルイベントでもあり、参加された方の反響も大きいものでした。IBMへの見方が変わったなど、SNSでもいくつかの反響がありましたが、とある著名人のSNSでも「技術者目線の素晴らしいイベント」と大絶賛を受けました。

cosmosとの出会いは人生を変えた

- これまで仕事をしてきて印象に残っている出会いがはありますか

 まさにcosmosとの出会いです。元々、IBMに入社した一つのキーポイントとして、女性活躍やダイバーシティーといった観点がありました。cosmosを通じて得られたものは、人との繋がりだけでなく、さまざまなチャンスや自分に自信を持つ勇気、女性技術者のキャリアの考え方なども含まれていました。1st Lineになった時もcosmosで出会った先輩マネージャーの方々がいつも親身になって相談にのってくださったり、声がけしてくださるなど温かくサポートしてくださいました。

 cosmosとの出会いは人生を変えたと言っても過言ではありません。女性ならではのネットワーク力や共感力だけでなく、アクションを起こす力をインスパイアされています。

ソーシャル活動でのシナジーや信頼関係が大切

- 戸倉さんが日々興味をお持ちのトピックについて教えてください

ソーシャル活動です。セルフブランディングの一環であると同時に、私にとって大切な趣味でもあります。先日、お客様訪問した際にソーシャルで繋がっていただいていることをきっかけに、共通の話題が増え、信頼関係がより深まったと感じました。仕事とプライベートの趣味のシナジー効果が生まれています。

技術者が情報収集に使っているのはXが多く、私もXの利用が多いです。思った言葉で、タイムリーに、24時間、時差があり夜中につぶやいても気にならない媒体で、情報発信で貢献して信頼関係がつながっていくことで仲間が増えていくと感じます。

最近はソーシャルで繋がりはじめ、リアルでお会いすることが初めて!といったことも多くなってきて嬉しいですね。お客様もとてもよくソーシャルでの発信を見てくださっているようです。

プロとして仕事を続けるために、うまくいかない場合や優先順位を想定しておくことが大事

- お忙しい戸倉さんですが、最近のお気に入りやワークライフバランスについて教えてください。

季節の花を見にいくことが好きです。ローズガーデンやフラワーフェスティバルなどに行き、美しい花に癒されたり、初めて見る植物や花に出会える瞬間がお気に入りです。自然の力を感じることでパワーをもらっていると思います。ちなみに、ローズの品種「ピース」がお気に入りです。平和の願いが込められており、勇気づけられます。

ワークライフバランスについては、特に中学生の娘の子育てとのバランスで工夫しています。大事にしているのは、①時間の管理と優先順位づけ、②自分の時間の確保、③周りからのサポートを得られる体制づくり (社内外)、3つです。

これまで試行錯誤しながら、うまくいかないことも多々ありました。その結果、そもそも予測できないことも多くきっちりとやろうとしてもできないことが多いため、①ではプランBも用意しておき、②のように自分の時間もとってバランスをとっていくことが大事だと意識してきました。

 このようにバランスをとっていても、時に仕事とプライベートで重要なタイミングが重なってしまうこともあります。その時は覚悟を決め、プロとして仕事を優先すると判断することもあります。それができるために、③が重要だと思っています。コロナ禍に自分自身が何らかの理由で対応できないことを想定してどうするかを家族ととても話し合いました。

自分を信じることが、どんな時も乗り越えられる力になる

- 最後に、戸倉さんが大切にしている考え方とメッセージをお願いします

 自分ルールNo.1ということです。「人生が終わる日まで職業自分」をモットーに、現実社会でオンリーワンを目指し、自分らしさを追求しながら、常に新しい挑戦を続けていきたいと思っています。

 自分を信じることが最強の武器です。どんな困難も、自分を信じることで乗り越える力が生まれます。


インタビュアー:cosmos コアメンバー 北島夏実

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