IBM TechXchange Data Science Japan

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【開催レポート】SPSS Modeler春のオンラインユーザーイベント2025〜生成AIの利用価値を高める定量/定性データ分析について考える〜

By YOICHIRO NISHIMAKI posted 2 days ago

  

こんにちは。スマート・アナリティクス株式会社の武田です。

202564日にオンライン+IBM虎ノ門本社でハイブリッド開催したSPSS Modeler 2025春のユーザーイベント。 今回はテーマを「生成AIの利用価値を高める定量/定性データ分析について考える」としてユーザー4社に登壇いただきました。

昨年初めてのハイブリッド開催は参加者を若干名としましたが、今回はなんと現地100名規模!!その熱気を配信にのせられるのか、運営メンバーはドキドキでしたが、アンケートの反響からも結果は大成功でした。イベントサポートメンバーではなく、ひとりの参加者の視点で当日の雰囲気をできるだけ届けられるようにこのブログでレポートいたします。

プレセミナー

オンライン開催の時にはすっかりお馴染みになっている弊社代表の畠による「前説」です。イベントの見どころや背景などの説明をした後に、SPSS豆知識を1968年から振り返ることで、参加者の緊張をほぐす時間帯のはず!?だったのですが、講演者本人が戸惑うほど会場の皆さんは熱心に聞き入っいました。本編に繋がるテキストマイニングについて説明や、SPSSコミュニティの変遷を解説していました。古くからのユーザーには思い出深かったのではないでしょうか。

オープニングアドレス

中島

日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部 バイスプレジデント 
テクニカル・セールス事業部長担当

日本IBMでテクニカルセールスチームをリードしている中島さんのオープニングアドレスでイベントがスタートしました。満席の会場とリモートの先の参加者に向けて、イベントのテーマである定量データと定性データの組み合わせの価値について触れられました。そしてデータ分析では実際の現場での具体的事例がとても重要であり、SPSSコミュニティ/イベントを通じて多くの人に届けていきたいと述べられました。

講演①「JALカードにおけるデータ分析の深化」

伊藤 淳也 様

株式会社ジャルカード
データ戦略部 統括マネジャー

最初に登壇したのはJALカードの伊藤さんでした。司会とユーザーが対話し、それを受けてデモ担当者が実機で解説する形式もこのイベントではすっかり定着し、楽しい雰囲気で進行しました。

お話の核でもある実際のJALカードで取り組み例としてはDMターゲットリストの抽出方法と、定型データ集計業務の自動化が示され、日頃はものづくり領域に活用されている参加者も熱心にメモされていたのが印象的でした。

マーケティングでは王道とも言えるターゲットリスト作成では、複数のデータソースを結合し、試行錯誤しながら整え、予測に有効な「特徴量」を求められる点と、有限な予算から効果を最大化できるターゲットを予測モデルから選抜できる点でSPSSを評価されていると理解しました。

また意外だったのは予測モデルではなくCADSCollaboration and Deployment Services)を月初のデータ集計に割り切って使われているようで、このことが多くの生産性向上につながったとのことでした。

JALカード様の資料はこちらから

講演②「ベネッセ BtoBマーケティングにおけるSPSS Modeler 実践例」

中島 悠太 様

株式会社ベネッセコーポレーション
マーケティング統括部 データ戦略推進課 グループマネージャー

おふたり目の登壇はベネッセの中島さん。企業や組織に展開するオンライン学習プラットフォーム「Udemy Business」のB2Bマーケティング事例と、特定企業の学習ログを利用した分析結果事例を共有いただきました。

B2Bの領域でも多くの顧客を持つ業種ではデジタルマーケティングに始まり、カスタマーサクセス/エンゲージメントまでIT基盤で支える活動が必須です。そこでB2C同様、限られた顧客接点から適切な行動変容を促すために、今回はコールドリストから見込みの高い顧客を選択するプロセスがロジスティック回帰モデルで紹介されました。

そしてUdemyの強みである学習ログの活用例として、特定企業のクラスタリングモデルで解説してくださいました。DX人材育成を進めるために多くの組織がデジタル学習コンテンツを導入する中、個々の学習者の特徴を理解して組織全体としてどのようにそれを進めるべきかのヒントが分析結果から導かれたのはベネッセさんが長年「進研ゼミ」などの事業をしてこられた賜物なのだろうと納得しました。

ベネッセ様の資料はこちらから

講演③「SPSSを活用した生産設備の不具合解析手法」

稲垣 隆雄  

株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
DX
推進部 工場DX室 先行開発G 主幹

ものづくり領域のユーザー講演の最初の登壇者は、トヨタプロダクションエンジニアリングの稲垣様でした。

稲垣様が取り組まれていた業務課題は、製品の加工ラインにおいて、不良品が検査設備で検知されるまで発生し続けてしまうというものでした。これに対し、検査前の段階でセンサー情報から設備の不具合を検知し、不良品の製造を最小限に抑えることを目指されたとのことです。

データ解析にあたっては、以下のような課題があったそうです。

①発生頻度の極めて低い不具合(不均衡データ)を検知するためのノウハウが必要

②データだけでは解析の可否を判断できないケースがあり、設備担当者や現場担当者へのヒアリングが重要

③実業務で役立つのは、シンプルかつ高速な判定条件である

具体的には、SPSSを用いて時系列のIoTデータから不具合を可視化し、良否を分ける閾値の設定、さらに決定木による未知のロジックの発見などを行っているとのことです。講演では、模擬データを用いた実機デモも共有いただきました。

特に印象的だったのは、「ブラックボックス化を避けるために、データを可視化しながら現場と密にコミュニケーションを取り、丁寧にモデルを構築している」というコメントでした。

トヨタプロダクションエンジニアリング様の資料はこちらから

講演④「三井化学の製造現場におけるSPSSを活用した課題解決事例 /  SPSSPIデータの連携 CADSを使った異常検知モデルの現場利用」

松下 颯太 様

三井化学株式会社

生産・技術本部 生産技術高度化推進室 プロセスシステム技術技術スタッフ

新村 智子 様

三井化学株式会社

生産・技術本部 生産技術高度化推進室 プロセスシステム技術主席部員

最後のセッションでは、三井化学の松下様と新村様のお二人がスピーカーとして登壇されました。

松下様からは、実際に発生した生産設備の不具合に対する要因解析についてご紹介いただきました。具体的には、ランダムフォレストを用いて要因を絞り込み、その後、CHAIDのインタラクティブセッションを活用して手動で分岐を設定し、運転条件をきめていくというアプローチが紹介され、多くの参加者にとって新鮮な驚きがあったのではないでしょうか。機械学習の結果を参考にしつつも、現場のエンジニアが、メカニズムの観点や、現場で調整しやすい閾値設定の観点から手動で調整を行うという、実践的な手法に対しては、「自分も試してみたい」といった声が寄せられました。

この運転条件の見直しにより、問題現象の再発は防止され、コスト削減や生産停止リスクの低減といった成果が得られたとのことです。

新村様からは、プロセスのセンサーデータを活用した設備異常の検知事例をご紹介いただきました。従来、バッチプロセスと呼ばれる生産工程では、装置運転員が総合的な判断により異常を検知し、製造スタッフが都度抽出したデータをもとに異常判定を行っていたとのことです。しかし、先述の講演でも紹介されたCADSの導入により、センサーデータを格納する PI System™SPSSからは直接アクセスできないデータソース)からのデータ収集が自動化され、異常のタイムリーな検知と対応が可能となりました。その結果、生産の安定維持やコスト削減が実現されたとのことです。

実機デモでは、ランダムフォレストを用いたストリーム処理による自動化の仕組みや、異常検知時に業務で実際に行われるCADSのオペレーションが紹介され、参加者にとって非常に実践的かつ有益な内容となっていました。

三井化学 新村様の資料はこちらから

三井化学 松下様の資料はこちらから

クロージング

京田 雅弘

日本アイ・ビー・エム株式会社

テクノロジー事業本部 watsonx事業部 

データ・プラットフォーム テクニカル・セールス部 部長

ピンクのつなぎをきた(かわいいです)SPSSテックのリーダー京田さんが、イベントのセッションをひとつずつ振り返ってくださいました。

今回は全てのセッションでかなりリアルに近いストリームが披露され、それについて

「よその人が作った分析ストリーム(プロセス)を見ることはそれだけで意味がある」と主張。このコメントに多く人が共感されたのではないでしょうか。

最後に秋のイベントが12/3に東京国際フォーラムのIBM TechXchange内で実施されると予告がありました。

バトンを受けとるのは誰?

せっかく現地にユーザーが集まったので記念にと撮影されたのが以下の写真です。

SPSSのテックメンバーはいつもの衣装?で、とても楽しい雰囲気が伝わってきますよね。

この後現地では懇親会が催されました。立食パーティーにみなさん最初は遠慮がちですがアルコールが入ると(IBMの謎のルールで1736分にオフィスでお酒が解禁)、あっという間に打ち解けられ、熱気に包まれます。そして決まって「次は誰が登壇するか」が話題で盛り上がります(笑)。

今回もある登壇者が、その機会を持ちかけられた時「とても名誉なこと」といって引き受けてくださったそうです。ぜひ多くの方にこれからもSPSSコミュニティに関わり、時代が変わっても変わることのないSPSSの価値を繋いでいってくださると幸いです。

武田 千夏

スマート・アナリティクス株式会社

ソリューション営業部 部長

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