IBM TechXchange Data Science Japan

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【開催レポート】SPSS Modele秋のユーザーイベント2023〜4年ぶりのオンサイト開催!〜

By YOICHIRO NISHIMAKI posted Mon January 22, 2024 10:52 PM

  

みなさまこんにちは。スマート・アナリティクス株式会社の牧野です。

2023年10月31日にSPSS秋のユーザーイベントがベルサール東京日本橋にて4年ぶりのオンサイトで開催されました!

今回はIBM TechXchangeと称する1000名規模の技術コミュニティーイベントのひとつとして初日午後ブレイクアウトルームを利用し実現いたしました。

そして、21あるIBMコミュニティの中でSPSSセッションが最も参加者が多く、SPSSメンバーの仮装?もあって盛り上がっていました。

2020年以降のコロナ禍で6度開催したSPSSオンラインイベントは、日本各地から大勢に参加いただける良さがありました。

ですが現地開催の熱量はやはり想像以上で、その雰囲気をできるだけお届けできるようにレポートいたします。

 

 

基調講演

小川 努

本田技研工業株式会社
Honda Innovation Tokyo Akasaka
電動事業開発本部 BEV開発センター
ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部
データドリブンソリューション開発部
顧客理解基盤開発課

 

 

SPSSイベントの基調講演をしてくださったのはHONDAの小川様です。司会の京田さんと握手をして登壇するお姿と、

会場に語りかけるような口調に和みと居心地の良さを感じました。

京田さんからSPSS Modelerの良さを問われると、書籍内(私も共著です笑)でも語られた車両の走行データを例に取り、

地図、天候や運転者の発言などを同じ作業台で重ね合わせてアイデアが途切れることなく試行錯誤できる点だと強調されました。

抜粋資料はこちらから

https://speakerdeck.com/jpspss/2023spssqiu-01-hondaxiao-chuan-yang-zi-liao

そして生成AIの業務への浸透度について「ないと仕事にならない」とした上でSPSS Modelerのスクリプトを

自動生成させるテクニックを教えてくださいました。

京田さんからGUIが魅力のSPSSであえてコードを利用する是非について聞かれると、同じ処理を365日分繰り返す、

自動化処理の分岐条件に使うなどの活用領域を挙げてくださいました。なるほど私も時々スクリプトを書くか悩む局面が

あるのですがwatsonx.aiで自動作成できるのはとても得した気分になりました。

 

小川様は生成AIの登場によってPythonでコードを書くスキルはかつての意味を失いヒトは業務課題をデータ駆動で解く能力が

ますます求められると、ご自身の経験を踏まえて結論づけられたのも印象的でした。

 

ものづくり事例講演1 

 

津田 和呂

JFEテクノリサーチ株式会社

計測・プロセスソリューション本部

データサイエンスセンター長

 

  

ものづくり領域セッションお一人目の登壇者はヒモトクブログで

「因果を軽視した機械的な予測モデルはたちまち劣化する」をインタビューさせていただいたJFEテクノリサーチの津田様です。

冒頭津田様がJFEグループでこの数年でSPSS Modelerがかなり浸透していると紹介。

司会のIBM西牧さんからもひとつの組織として国内有数の利用者数だと紹介されそこまで普及した理由を問われると

SPSS Modelerの設備の不具合原因究明のための因果の説明能力の高さだと返答されました。

抜粋資料はこちらから

https://speakerdeck.com/jpspss/2023spssqiu-02-jfe-tecjin-tian-yang-zi-liao

 

今後はQiita SPSS逆引き3-24のような現場に予測結果を提供する際に因果を示せるような取り組みをしていきたいとのことでした。

個人的にはPython連携でデモンストレーション(IBM河田さん作)をしていた因果推論を試したいと思いました。

ものづくり事例講演2

 

齊藤 隆雄

日本ガイシ株式会社

DX推進統括部

データ活用推進部長

  

2021年秋のオンラインユーザーイベントで一躍SPSSコミュニティでは有名になられた

日本ガイシ齊藤様の2年ぶり2度目の登壇です。

ここ数年多くの組織が、「どうやって自社でデータ活用人材を育成するか」について悩んでいますが、

そのヒントになるのが日本ガイシ様の「社内留学制度」だと思います。

齊藤様の率いるデータ活用推進部に各部門に各部門から人と業務課題を受け入れ、

OJT教育を通じて相応のスキルとベネフィットを部門に還元するプログラムなのだそうです。

抜粋資料はこちらから

https://speakerdeck.com/jpspss/2023spssqiu-03-ri-ben-gaisiqi-teng-yang-zi-liao

 

また、前回のイベントで紹介いただいた異常検知のお取り組みはSPSS CADSによって自動化をされている点や予測のみならず、

IBM CPLEXによって発電と蓄電池を組み合わせた電力の最適化にチャレンジされているのだとか。2年間のアップデートを伺い、

データ活用に注力される日本ガイシ様の取り組みのスピードに驚かされました。

デモンストレーションではこちらの充放電最適化を使って説明されていました。

  

マーケティング事例講演1 

真弓 裕貴

株式会社ファンケル

通販営業本部

CRM部

 

  

後半3つ目のセッションはマーケティング領域です。最初のスピーカーは7月に

SPSSヒモトクブログ「運用に耐える予測モデルを開発段階で現場と合意する」に登場した

ファンケルの真弓様です。

真弓様ご自身はデータ分析コンペに参加するバリバリのデータサイエンティストで主にPythonを利用されるそう。

ただチームでデジタルマーケティングを推進するにはSPSS Modelerが手放せないのだそうです。

その理由として、以下のような顧客取引から簡単に最終購入日や期中の購入金額を求められ、

ダイレクトメールの反応を検証するためにも抽出条件がわかりやすく記録できるからだとか。

ちなみに最終購入日(=リーセンシ)を計算するのは休眠しているかどうかを判定する

とても重要な手がかりだと触れておられました。

 

また顧客の行動変容を促すために、どの商材を集中的に購入するかをクラスタモデルで判定しているそうです。

デモンストレーションでは顧客を行動の類似するグループ(クラスタ)に分類し、それぞれのクラスタが良く購入する

商品ランキング表と結合させてレコメンデーションするシナリオを紹介して下さいました。

併売を利用するものが知られるレコメンデーションですが、行動類似性に合わせて商品を提案するのは合理的だと思いました。

抜粋資料はこちらから

https://speakerdeck.com/jpspss/2023spssqiu-04-huankeruzhen-gong-yang-zi-liao

 

マーケティング事例講演2

山本 卓也

イオンマーケティング株式会社

価値創造統括部

統括部長

  

マーケティング領域お2人目の講演者はイオンマーケティングの山本様。以前からSPSSイベントで登壇いただくなど、

古株のSPSSユーザーにはお馴染みの方も多いはず。

そんな山本様が真っ先に挙げられたSPSSのメリットは「SQLプッシュバック」でした。

SQLプッシュバックはSPSS Modelerがデータベースに接続している場合自動で発行するSQL最適化機能で、

これによりSQL言語を使わずにアイコンの羅列(ストリーム)で高速にデータ加工や抽出が可能になります。

過去のイベントでもほぼ毎回取り上げられていると思いますが、やはりWAON ポイントのような大規模なデータを、

現場の分析者が扱うにはこの機能は極めて重要なのだそうです。

そして先のファンケル真弓様がクラスタ分析を紹介されたことに対して、山本様は顧客の日々の購入パターンから

得られる特性について教えてくださいました。例えば以下の顧客がどの程度値引きを重視しているかは、

定価マスタがなくても過去の取引履歴の最高値を定価と捉えて簡単に計算できるそう(こちらで詳しく説明)。

これによって顧客が値引きをどれだけ重視しているかが判定でき、施策の対象かどうかを検討する際の有力な情報になるのだそうです。

同じ要領で、その商品が最初に記録された日を発売日と考えると、顧客が「新しい商品を好んで買うか(=新規性)」を

捉えられれば、値引きと合わせて適切な行動変容の材料になることも教えてくださいました。

抜粋資料はこちらから

https://speakerdeck.com/jpspss/2023spssqiu-05-amkshan-ben-yang-zi-liao

 

SPSSからの挑戦状:Modeler詰将棋1

林 啓一郎

株式会社AIT

開発事業本部 ソリューション戦略第2部

次長

 

 

オンラインセミナーでSPSSメンバーによる寸劇の題材にもなったModeler詰将棋。ノード何手でお題を解けるかを扱いつつ、

業務への応用領域の言及や適用の留意点などが期待され、面白くて役に立つと評判です。

ひとつ目のお題は「0から1万までに素数がいくつあるかをカウントする」というもの。AITの林様が@SCINEとmodという

関数で自分より何レコード上に約数があるかを探すことで2手詰めができると解説されました。

私は事前に自力でこっそり解いたのですが最小手数でも5つノードを利用したので、解答例が示された際そのアイデアに軽くのけぞりました。

解答例はこちらで紹介されています。

抜粋資料はこちらから 

https://speakerdeck.com/jpspss/2023spssqiu-06-aitlin-yang

@関数はレコードを上方や下方に参照できるSPSS modelerの強力な武器である反面、SQLにその関数がないため

大規模データを扱うときには山本様が紹介されたSQLプッシュバックが効かないという弱点を持っています。

今回林様はその点に触れた上で、もっと大きなデータを対象にする場合の別案についても触れられ、

さまざま業務領域での利用アイデアなども合わせて説明をしてくださいました。

SPSSからの挑戦状:Modeler詰将棋2 

森山 隼

日本情報通信株式会社

データサイエンス部

 

 

「このイベントの大トリに男女のマッチングという軽薄なテーマを扱って申し訳ない」と切り出され、

いきなり会場から笑いをとったのは日本情報通信の森山様。お題は以下のように男女8名を最適なペアにするというもの。

「これをあえてSPSSで解かせることの是非」について考えさせるテーマだとは思いましたが、

まずはかなりのノードを繋げる力技で解答例を示されました。

抜粋資料はこちらから

 https://speakerdeck.com/jpspss/2023spssqiu-07-ri-ben-qing-bao-tong-xin-sen-shan-yang

実際に利用されたストリームはこちらをご覧ください。

この地道な方法を示すことで例えば、予測モデルの構築後に最適な素材配合を探索させるために総当たりの

データを用意することはSPSS Modelerでも可能だと解説されました。

ただし今回男性8名に女性8名を割り当てると30万通りのパターンができるため、業務で想定される配置シフトなどに置き換えると

IBM CPLEXのような最適化ソルバーの力を借りる必要があるのだとか。

Modelerに搭載されているCPLEXノードを利用すると同じ問題を高速に解けることをデモンストレーションを通じて教えてくださいました。

 

CPLEXノードを利用した解答例とストリームのダウンロードはこちら

 

SPSSユーザーコミュニティに自分ができること 

4年ぶりにユーザーの皆さんが集まるイベントにワクワクしながら出かけて行きましたが、対話的に進行するセッションや

参加者のリアクションが想像以上で、楽しく過ごすことができました。また持ち帰るものも多く、

充実したイベントだったと振り返っています(集中力を使いすぎてクタクタになりました)。

Happy HourでのSPSSコミュニティ

 

懇親会では講演者のみならず、ユーザー同士が互いに熱心に質問する姿があちこちで見受けられ、

時々はこういった場で刺激を受けるのは必要なのだと思いました。

次はどんなユーザーイベントになるのかと思いを馳せながら、

私もコミュニティに貢献できる発信材料を考えていきたいです。

牧野 泰江

スマート・アナリティクス株式会社

カスタマーサクセス部

https://smart-analytics.jp/

 

共著書に「実践! 異常検知と故障予測―IBM SPSS ModelerによるIoT時系列データ活用」


#SPSSModeler

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