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AI時代のセキュリティー最前線:IBM Guardium AI Securityとは?

By SOTA SHIMIZU posted 19 hours ago

  

みなさま、こんにちは。

今回は2025年6月にリリースされました「IBM Guardium AI Security」についてご紹介させていただきます。

新しい分野のセキュリティー製品ではありますが、AIの活用を進めていく上では検討必須です!ぜひ最後までご覧ください。

    はじめに:生成AIの進化とともに高まるリスク

    ChatGPTやCopilotなど、生成AIの活用が急速に広がる一方で、セキュリティーリスクも深刻化しています。

    OWASPは「OWASP Top 10 for LLM Applications」としてプロンプト・インジェクションをはじめとしたLLMに関連する脆弱性を発信しています。また、MITREはMITRE ATT&CK®をベースに、AIシステムに固有の攻撃や脆弱性、攻撃手法に特化した「MITRE ATTLASTM」を公開しました。

    実例としては、サムスン電子では従業員がChatGPTに社内ソースコードを入力し、機密情報が外部に漏洩しました。

    日本においても、生成AIを悪用してマルウェアを作成したとして初の有罪判決が下されるなど、事例自体も増え始めています。もし自社の社員が、社内で利用しているLLMサービスでそのようなことをしていたら…考えるだけでもぞっととしますね。

    こうした背景の中、企業がAIを安全に活用するためには、従来のセキュリティー対策だけでは不十分です。

    そこで注目されているのが、AIセキュリティーという新しいテクノロジー分野です。

    AI活用の新常識「AI TRiSM」とは?

    Gartnerが提唱する「AI TRiSM(AI Trust, Risk and Security Management)」は、AIの信頼性・リスク・セキュリティーを包括的に管理するためのフレームワークです。

    以下の4つの柱で構成されます:

    1. AI資産の可視化と体系化

    2. データの整備と利用実態の把握

    3. 継続的な管理と評価

    4. AIランタイムの監視とセキュリティポリシーの適用

    IBMはこのAI TRiSM領域を「AIガバナンス」及び「AIセキュリティー」という2方向からカバーするようなソリューション展開を行っています。

    IBM Guardium AI Securityは、このAI TRiSMの考え方を実装したAIセキュリティーのソリューションです。

    このAI TRiSMについては別記事にて詳しく取り上げる予定です。

    IBM Guardium AI Securityとは?

    さて、それでは製品のご紹介に入っていきたいと思います。

    IBM Guardium AI Securityは、生成AIを含むAI環境全体のセキュリティーを可視化・管理するための包括的なセキュリティープラットフォームです。

    SaaSとしてご提供しています。

    主なご提供価値:

    1. AI資産の可視化とインベントリー管理

    IBM Guardium AI Securityは、組織内で使用されているAIモデル、アプリケーション、データを自動的に検出し、AIインベントリーとして一元管理します。

    • シャドーAI(未承認AI)含むAIリソースの自動検出

    • AIモデルの利用状況の把握

    • クラウドアカウント/APIキーで簡単に接続

    これにより、企業は「どこで、どのようなAIが使われているか」を把握し、リスクの所在を明確にできます。

    2. 脆弱性の診断と管理 (AI SPM)

    AI環境全体に渡るセキュリティーリスクを多角的に診断します。

    • ペネトレーションテスト(ペンテスト)
      LLMに対して多様なテストケースを実行し、脆弱性を評価。

    • 設定ミスの検知やCVEとの関連付け
      既知の脆弱性情報と照合し、リスクを可視化。

    • カスタムテスト対応
      業種・業務に応じた柔軟な診断が可能。

    3. AI Gatewayによるプロンプト制御(ガードレール機能)

    AI Gatewayは、AIモデルへの入力(プロンプト)と出力(応答)をリアルタイムで監視・制御します。

    • 不適切な出力のブロックやリダクション

    • ポリシーに基づくフィルタリングとアクション設定

    • 監査ログの取得とレポーティング

    4. コンプライアンス対応と規制準拠

    IBM Guardium AI Securityは、主要なAI関連規制に対応したコンプライアンスチェック機能を搭載しています。

    • EU AI Act

    • NIST AI RMF

    • ISO/IEC 42001

    これにより、企業は法令遵守と説明責任を果たしながらAIを活用できます。

    IBM Guardium AI Securityの強みはここ!

    • マルチクラウド/マルチベンダー環境に対応

    • IBM watsonx.governanceとの連携でAIガバナンスも強化

    • SaaSとして提供され、迅速な導入が可能

    • 高度なカスタマイズ性と拡張性

    このように、IBM Guardium AI Securityは、AIの信頼性・透明性・安全性を担保するための包括的なセキュリティー基盤です。

    生成AIの導入を検討している企業、すでに活用しているがリスク管理に課題を感じている企業にとって、非常に有効なソリューションといえるのでは無いでしょうか!

    IBM Guardiumファミリーによるデータセキュリティーの強化

    さらに、IBM Guardium AI Securityは、以下の製品群と連携することで、AIとデータの両面からセキュリティーを強化します。

    • IBM Guardium Data Protection:オンプレミスやクラウド上のデータベースをリアルタイムで監視・監査

    • IBM Guardium DSPM(Data Security Posture Management):クラウド上のシャドーデータを発見・分類し、リスクを可視化

    これにより、AIの「生成元」となるデータの保護も万全に行えます。

    watsonx.governanceとの連携で実現するAIガバナンス

    IBM Guardium AI Securityは、IBMのAIガバナンス製品「watsonx.governance」と連携することで、AIライフサイクル全体のリスク管理を実現します。

    • AIモデルのリスク評価

    • AIインベントリーの充実

    • コンプライアンス対応の自動化

    • セキュリティポリシーの適用と監視

    ※別記事で詳しく解説予定です。

    まとめ:AI活用の未来を支えるセキュリティー基盤

    AIの活用が進む今、セキュリティーとガバナンスは必ず取り組まなければいけない重要なテーマです。
    IBM Guardium AI Securityは、AIの信頼性と安全性を担保するための次世代セキュリティー基盤として、企業のAI活用を強力に支援します。

    AIを安心・安全に活用するために、今こそセキュリティーの見直しを始めてみませんか?


    #Guardium
    #GenerativeAI
    #watsonx.governance

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