【講演レポート】2024年11月27日開催 IBM TechXchange Japan ブレイクアウト・セッション「iPaaS」
進化するIBM Hybrid iPaaSで生成AIのメリットを引き出す
日本アイ・ビー・エム株式会社 テクノロジー事業本部 Automation事業部
プリンシパル・ブランド・セールス・スペシャリスト 早川 ゆき
生成AIの急速な広がりは、システム環境にも大きな影響を与えています。背景には市場規模が拡大する一方で、多くの企業は生成AIを活用するためのシステム面での準備ができていないことがあります。オンプレミス、クラウドを問わずに多様な環境に散在するデータを柔軟に連携し、ビジネスに価値をもたらすためにIBMが提唱しているシステム環境「Hybrid iPaaS」について、日本IBMのプリンシパル・ブランド・セールス・スペシャリストの早川ゆきが解説しました。
------------------------------
複雑化するインテグレーションのさまざまな課題を解決するHybrid iPaaS
生成AIは驚異的なスピードで普及しています。ChatGPTはわずか5日で100万ユーザーを獲得し、2カ月で1億ユーザーを獲得しました。生成AIの市場規模も急拡大し、2023年で約1兆6,000億円となり、2030年には約32兆円になると予想されています。(*)
しかし、課題もあります。早川は「8割の企業が生成AIを使用するとしている一方で、6割の企業は生成AIに対する一貫したアプローチをまだ開発していません」と話します。経営者の多くは自社組織がモダナイゼーションを実行できておらず、システムがバラバラだと回答しています。(*)
「1番の課題はデータのサイロ化です。社内データが連携できていないために、もっとも価値ある業務データをリアルタイムで生成AIに利用できません。APIの無秩序な急増により管理できていない野良APIが増えたことで、セキュリティー・リスクが増大していることも課題です。さらにシステム連携に時間がかかり過ぎてユーザー部門のニーズに対応できません」(早川)
これまでもインテグレーションは常に課題とされ、システム連携のためのさまざまな解決策が生み出されてきました。その結果、インテグレーションの方法は増え、それに対応してさまざまなツールが導入されています。
「多くのツールが導入されたことで、インテグレーション全体はますます複雑になっています。しかもハイブリッドクラウド、マルチクラウドとオンプレミスから各種クラウドまでデータが分散し、複数のベンダーの製品が導入され、複数の国をまたいでいる状況です」と早川は複雑な現状を指摘します。
[図]急速な環境の変化がiPaaSを必要としている
そこでIBMが提唱しているのが、Hybrid iPaaSです。乱立するインテグレーション・ツールを統合して、共通のユーザー・インターフェースで利用できるようにする仕組みであり、インテグレーションのプラットフォームに必要な機能をクラウドで提供するものです。
------------------------------
webMethodsを仲間に迎え、インテグレーション・ツールを統合、強化
「Hybrid iPaaSとは、SaaSベース、クラウドベース、オンプレミスのアプリケーションの各種データやB2Bデータ、デバイスのデータなど、多様なデータの統合を容易にするクラウドベースのプラットフォームです」と早川はHybrid iPaaSの定義を紹介します。
統合されたインテグレーションの仕組みであるHybrid iPaaSによって多くのメリットがもたらされます。断片化されたシステムでもシームレスに統合でき、手作業で時間がかかっていたプロセスをユーザーが理解できるワークフローとして提供でき、ベンダーロックインを回避しつつシステムをオープンかつ相互に運用できるようになります。
これらのメリットを実現するために、IBMではSoftware AG社からwebMethodsを買収しました。早川は「webMethodsはHybrid iPaaSを実現するためのすべての機能をカバーしています」と話します。
webMethodsが提供する機能はさまざまです。API管理、Javaベースのノーコード・ツール、600以上のコネクター、代表的なAPI、ハイブリッドクラウド管理、ファイル連携、EDIデータ交換など企業間連携、そしてIoTなどとのデバイス連携です。IBMが提供しているツールの機能と重複する部分もありますが統合が進められています。まずアプリケーション統合ソリューションであるIBM App ConnectとAPIライフサイクル管理のソリューションであるIBM API Connectの2つをwebMethodsに統合します。