はじめに
通常、プロセス・マイニングで業務分析を実施する場合、最低限以下の3つの要素が必要です。
- 注文番号やチケット番号などのID(IPMではプロセスID)
- そのIDに関連するアクティビティ
- アクティビティが開始あるいは完了した時間などのアクティビティに関する時間情報
IBM Process Mining(IPM)では、時間情報について開始時刻に加えてオプションで終了時刻を設定できます。終了時刻を使用することにより、アクティビティに要した時間や、アクティビティが開始するまでの待ち時間などの分析ができます。さらに、アクティビティが並列で処理されている場合にそのことを可視化することができます。
開始時間のみで分析する場合
下表に示すシンプルなログを例として可視化をしてみます。時間情報としては開始時刻しかありませんので、アクティビティ「A1」> 「A2」> 「A3」> 「A4」> 「A5」と順番に発生しているようにみえます。
No. |
プロセスID |
アクティビティ |
開始時刻 (hh:mm) |
1 |
1 |
A1 |
10:00 |
2 |
1 |
A2 |
10:10 |
3 |
1 |
A3 |
10:20 |
4 |
1 |
A4 |
10:30 |
5 |
1 |
A5 |
10:40 |
実際に、プロセスID、アクティビティ、開始時刻を使ってIPMで可視化すると、下図のような直列のプロセスが描かれます。
開始時刻と終了時刻で分析する場合
さきほどのログに終了時刻の列を追加したログを対象に可視化をしてみます。さきほどと異なる点は終了時刻が与えられた点のみですが、「A2」が「A3」及び「A4」の開始時刻より後に終了しています。
No. |
プロセスID |
アクティビティ |
開始時刻 (hh:mm) |
終了時刻 (hh:mm) |
1 |
1 |
A1 |
10:00 |
10:05 |
2 |
1 |
A2 |
10:10 |
10:35 |
3 |
1 |
A3 |
10:20 |
10:25 |
4 |
1 |
A4 |
10:30 |
10:35 |
5 |
1 |
A5 |
10:40 |
10:45 |
プロセスID、アクティビティ、開始時刻に加えて終了時刻を使ってIPMで可視化すると、さきほどの直列のプロセスとは違って、下図のように並列のプロセスが描かれます。トランジション(矢印)上にある数字はそこを通った件数を示していますが、括弧内の数字はそのうち並列で処理された件数を示しています。
まとめ
IPMでは、開始時刻と終了時刻を使用することで並行処理も可視化することができます。実態に即したプロセスを可視化できることでプロセス・マイニングの分析品質を高く維持することができます。
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