z/OS V2R1 SDSF以降では、仮想記憶域の制限緩和を図るため、TSO/E配下、ISPF配下によらず、「64ビット・ストレージ」が活用されています。
※「タブラー・パネル」で表示されるジョブやアウトプット関連の行情報を保管
※「ULOG」パネルで使用されるバッファーを保管
【「MEMLIMIT」指定値による影響】
■TSO/Eユーザーの「64ビット・ストレージ」(私用域)が「MEMLIMIT」パラメータ指定により制限されている環境で、SDSFからのストレージ確保要求が満たされない場合は、パネル上に新規メッセージ ISF121Iを出力し、「31ビット・ストレージ」に切り替えて再試行されます。
※TSO/Eユーザーに対して「MEMLIMIT=0M」指定が有効な場合: z/OS V2R1「DA」パネルでのメッセージ出力例(ISPF配下)
■z/OS V2R3以降では、ISPF配下でSDSFを稼働する際、「64ビット・ストレージ」(私用域)の代わりに「31ビット・ストレージ」を確保する挙動(前述)が実際に発生した場合でも、従来のメッセージ ISF121Iは出力されません。
【z/OS V2R5 SDSFの変更点】
■z/OS V2R5では、SDSFを利用するTSO/ISPFユーザー、バッチ・ジョブの「64ビット・ストレージ」(私用域)が「MEMLIMIT」パラメータ指定により制限されている場合、「SDSF MENU」パネルの出力時、あるいは、SDSFパネル・オペレーション中、ABENDDC4 (IARCP64/IARST64処理中のエラー)発生に至る可能性があります。
■事例① (z/OS V2R5環境)
PARMLIB(SMFPRMxx)メンバーで「MEMLIMIT(0M)」パラメータを指定、あるいは「ログオン・プロシージャー」で「MEMLIMIT=0M」パラメータを指定した場合 ・・・ TSO/Eユーザーの「MEMLIMIT=0M」指定が有効
※ISPF配下で「SD」コマンド実行時にABENDDC4 (Reg15: 00000000_90040320)を伴い、「SDSF MENU」パネルが表示不可
※TSO/E配下でも全く同様のABENDDC4事象が発生 (Reg15: 00000000_90040320)
※z/OS V2R3、V2R4環境で同様なオペレーションを行った場合、ABENDDC4が未発生
■事例② (z/OS V2R5環境)
「ログオン・プロシージャー」で「MEMLIMIT=1M」パラメータを指定した場合 ・・・ TSO/Eユーザーの「MEMLIMIT=1M」指定が有効
※ISPF配下の第一セッションでは、「SDSF MENU」パネルが表示可能
※ISPF配下の第二セッションでは、「SD」コマンド実行時にABENDDC4 (Reg15: 00000000_90040120)を伴い、「SDSF MENU」パネルが表示不可
■事例③ (z/OS V2R5環境)
SDSFバッチ・ジョブ稼働時に「MEMLIMIT=0M」パラメータを指定した場合 ・・・ バッチ・ジョブステップの「MEMLIMIT=0M」指定が有効
※PGM=SDSF、PGM=ISFAFDとも同様(2023/12/25 追記)
※ABENDDC4 (Reg15: 00000000_90040320)を伴い、ISFOUT DDにて「SDSF MENU」パネルが表示不可
※z/OS V2R3、V2R4環境で同様なオペレーションを行った場合、正常終了(RC00)
【対応策】
■z/OS V2R5 SDSFでは、ISPF配下、TSO/E配下の利用形態によらず、また、SDSFバッチ・ジョブの稼働時も、「64ビット・ストレージ」(私用域)を利用可能にする必要があります。
※PARMLIB(SMFPRMxx)メンバーの省略時解釈(MEMLIMIT(2G)パラメータ指定)が有効な場合は対応不要
※「MEMLIMIT」パラメータ値として「512MB」を下回る値が有効な場合は、指定値の増加を検討する必要あり
※SMF Exit IEFUSI、PARMLIB(SMFLIMxx)メンバーによる「MEMLIMIT」パラメータ値のオーバーライドに要注意
■参照情報:
z/OS 2.5 SDSF Operation and Customization (SA23-2274-50)
Chapter 9. Installation and configuration considerations
SDSF considerations
【追加情報: 2023/12/25】
#117【z/OS V2R5/3.1変更点】 SDSF使用時に必要な 「64ビット私用域」(ユーザー、バッチ・ジョブ)
※z/OS 3.1ではABENDDC4の代わりにエラー・メッセージ出力
以上