z/OSの有償フィーチャーである「RMF」(Resource Measurement Facility)は、下記のような段階を経て、従来の「Reporter」機能、「Data Gatherer」機能の分割(構成変更)が行われました。
【RMF関連の機能分割】
(第1段階)青字の変更
■RMF APAR OA58281/OA58759 (対象: z/OS V2R2~V2R4)では、「FMID」を維持したまま、「コンポーネント」の分割が行われました。
※「コンポーネント名: RMF」、「コンポーネント番号: 566527404」 ・・・ 従来は「RMF Data Gatherer」も含む
※「コンポーネント名: RMF Data Gatherer」、「コンポーネント番号: 566527401」
(第2段階)緑字の変更
■z/OS V2R5では、「RMF Data Gatherer」が独立し、「z/OS Data Gatherer」(z/OSベース・エレメント)として、新しい「FMID」(同一コンポーネント番号)にて提供されます。
(z/OS RMF製品の変遷サマリー)
【z/OS V2R5における関連ライブラリーの再構成】
■z/OS V2R5では、ライブラリーの再構成が行われ、「RMF」(Reporter)、「z/OS Data Gatherer」は、それぞれ専用のデータセットを利用します。
※RMF関連ターゲット・ライブラリーの比較(z/OS V2R4 vs. V2R5)
■z/OS V2R5では、「z/OS ISPF Workstation Agent (WSA)」(別名: z/OS ISPF Client/Serverコンポーネント)の機能廃止に伴い、それを稼働前提としてパフォーマンス管理を行う「RMF Client/Server (RMFCS)」)機能も併せて廃止されました。(PROCLIBから、RMFCSCメンバー削除)
※この結果、CLISTライブラリーから、REXX (ERBCSGUI、ERBCSINI)メンバーが削除
【関連ターゲット・ライブラリー変更に伴う対応】
■LINKライブラリーの分割、改名に伴い、LNKLST連結、APF登録すべきデータセット名が変わりました。
※z/OS V2R4までの「SYS1.SERBLINK」データセットに含まれた「AC(01)」属性のモジュールは、z/OS V2R5時点で、「SYS1.SGRBLINK」データセットへ全て移動
※このため、z/OS V2R5の「SYS1.SERBLNKE」データセットに「AC(01)」のモジュールは存在しないが、APF登録は必要
■LPAライブラリーの改名に伴い、LPALST連結すべきデータセット名が変わりました。
■CLISTライブラリーの分割に伴い、「z/OS Data Gatherer」で利用するCLISTライブラリーのデータセット名が変わりました。
※REXX (ERBSCAN、ERBSHOW、ERBVSDEF)メンバー、CLIST (ERBS2V、ERBV2S)メンバーが、従来の「SYS1.SERBCLS」データセットから、「z/OS Data Gatherer」専用の「SYS1.SGRBCLS」データセット(新規)へ移動したため、TSO/E ログオン・プロシージャー、初期CLIST等の見直しが必要
※「ERBSCAN」実行時におけるヘッダー出力情報の比較:
(z/OS V2R5) z/OS V2R5 Data Gatherer ERBMFSCN Version 9 (30 Apr 2012) - SCAN SMF dataset
(z/OS V2R4) z/OS V2R4 RMF ERBMFSCN Version 9 (30 Apr 2012) - SCAN SMF dataset
■LINKライブラリーの分割、改名に伴い、「DDS (Distributed Data Server)」の稼働時、RACF PROGRAMクラスに登録すべきデータセット名が変わりました。
※RACF 「SETROPTS WHEN(PROGRAM)」指定による「プログラム制御」が有効な環境では、「GPM*」、「ERB*」モジュールを含むデータセット名の変更が必要
RALT PROGRAM ERB* ADDMEM('SYS1.SERBLNKE'//NOPADCHK)
RALT PROGRAM GPM* ADDMEM('SYS1.SERBLNKE'//NOPADCHK)
RALT PROGRAM ERB* ADDMEM('SYS1.SGRBLINK'//NOPADCHK)
RALT PROGRAM ERB* DELMEM('SYS1.SERBLINK'//NOPADCHK)
RALT PROGRAM GPM* DELMEM('SYS1.SERBLINK'//NOPADCHK)
■「RMF」、「RMFGAT」プロシージャーの「EXEC」ステートメントでは、従来と変わらず、「PGM=ERBMFMFC」(モジュール「GRBMFMFC」のALIAS)、「PGM=ERB3GMFC」(モジュール「GRB3GMFC」のALIAS)をそれぞれ指定します。
【新しいライセンス方式と利用可能な機能】
■z/OS V2R5における「ライセンス」(Gatherer/Reporter)として、①「z/OS Data Gatherer」(z/OSベース・エレメント)の他、有償フィーチャーとして、②「z/OS Advanced Data Gatherer (ADG)」、③「RMF」がそれぞれ発注可能です。
■発注した有償フィーチャーの有無(種類)に応じて、次のような代表的な機能(API関連の機能は割愛)が利用可能となり、③「RMF」を発注することで、z/OS V2R4までの「RMF」有償フィーチャーと同等な機能が提供されます。
※有償フィーチャーなしの場合、SMFデータセット、あるいは、ログストリームに記録される情報は、「SMFタイプ70、サブタイプ1」(70.1)レコードのみ
※「Monitor-I」、「Monitor-III」で取得された全てのSMFレコード(タイプ70~78)を、SMFデータセット、あるいは、ログストリームに記録するには、②「z/OS Advanced Data Gatherer (ADG)」有償フィーチャーが必要
※「Post-Processor」、「Monitor-II ISPFレポート」、「Monitor-III ISPFレポート」、「DDS」、「Monitor-II バックグラウンド・セッション」を稼働するには、③「RMF」有償フィーチャーが必要
■発注した有償フィーチャーの有無(種類)に応じて、PARMLIB(IFAPRDxx)メンバーでの活動化方法は次の通りです。
※必要な有償フィーチャーが発注、活動化されていない場合は、エラー・メッセージ出力
ERB117I ADVANCED DATA GATHERER IS NOT ENABLED TO RUN ON THIS SYSTEM.
ERB148I DISTRIBUTED DATA SERVER CANNOT BE STARTED.
■③「RMF」有償フィーチャーを発注した場合、②「z/OS Advanced Data Gatherer (ADG)」有償フィーチャーも利用許諾されるため、PARMLIB(IFAPRDxx)メンバーでは、「FEATURENAME('ADV DG')」、「FEATURENAME(RMF)」の両方に対して、「STATE(ENABLED)」指定が必要です。
【追加情報: 2023/02/03】
#091【z/OS V2R5変更点】 RMF/ADG有償フィーチャーに関する考慮事項
以上