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#048【z/OS V2R5変更点】 ANTMAINアドレス空間の開始時に出力される新規メッセージ

  
z/OS V1R10で新規提供された「VCC (Virtual-Concurrent-Copy)」の「FlashCopy」サポートでは、DFSMSdssのCOPY、DUMP処理を「CONCURRENT」キーワード指定で行う際、「VCC」用の中間データセット(WSDS: Working-Space Data Set)への「FlashCopy」が行われた後、「WSDS」からターゲットへのコピー処理が実施されます。

従来、「VCC」では、ANTMAINアドレス空間が利用するパラメータ設定情報として、論理PARMLIB連結中の「ANTMIN00」メンバーを常に利用するため、PARMLIB共用の環境で特定システムのパラメータ設定を変更したい場合は、論理PARMLIBの上位連結にて「ANTMIN00」メンバーを丸ごと置換する必要があります。
※「00」以外のメンバー・サフィックス(ANTMINxx)は利用不可

【z/OS V2R5の変更点】
■z/OS V2R5では「VCC」における「代替PARMLIBサポート」が提供され、PARMLIB共用の環境で、システム毎にパラメータ設定を一部変更(オーバーライド)できるようになりました。
※①で指定された「HLQ」パラメータに基づき、②の「HLQ.ANTMAIN.PARMLIB」データセットが「代替PARMLIB」となり、該当システムの「SYSNAME」値に一致するメンバー名を参照
※「SYSNAME=SYSTEM1」の場合、該当システムでの「HLQ」指定は「TSTSPLEX」となり、WSDSデータセットのプレフィックスとして「TSTSPLEX.ANTMAIN」を使用

■「代替PARMLIBサポート」に伴い、z/OS V2R5では「VCC」の利用有無によらず、また論理PARMLIB連結内の「ANTMIN00」メンバー存在有無によらず、システム初期設定時に行われるANTMAINアドレス空間の開始時に「HLQ.ANTMAIN.PARMLIB」、あるいは「SYS1.ANTMAIN.PARMLIB」データセットを探索します。

【考慮事項①】 ※論理PARMLIB連結内に「ANTMIN00」メンバーが存在する場合
■ANTMAINアドレス空間の開始時には、「ANTMIN00」メンバーで指定された「HLQ」パラメータ指定値、あるいは省略時値の「SYS1」を利用して、「HLQ.ANTMAIN.PARMLIB」、「SYS1.ANTMAIN.PARMLIB」データセットいずれかを探索します。
■それらのデータセットが存在しない場合、次のようなIKJ56228Iメッセージ(宛先コード=11)を新規出力しますが、「VCCの代替PARMLIBサポート」を利用しない環境では正常な挙動であり、メッセージ出力は無視可能です。
IKJ56228I DATA SET HLQ.ANTMAIN.PARMLIB NOT IN CATALOG OR CATALOG CAN NOT BE ACCESSED
IKJ56228I DATA SET SYS1.ANTMAIN.PARMLIB NOT IN CATALOG OR CATALOG CAN NOT BE ACCESSED

【考慮事項②】 ※論理PARMLIB連結内に「ANTMIN00」メンバーが存在しない場合
■ANTMAINアドレス空間の開始時には、省略時値の「SYS1」を利用して、「SYS1.ANTMAIN.PARMLIB」データセットを探索します。
■「SYS1.ANTMAIN.PARMLIB」データセットが存在しない場合、次のようなIKJ56228Iメッセージ(宛先コード=11)を新規出力しますが、「VCCの代替PARMLIBサポート」を利用しない環境では正常な挙動であり、メッセージ出力は無視可能です。
ANTI1003E MEMBER ANTMIN00 NOT FOUND IN DATA SET SYS1.PARMLIB+
IKJ56228I DATA SET SYS1.ANTMAIN.PARMLIB NOT IN CATALOG OR CATALOG CAN NOT BE ACCESSED

【追加情報: 2022/10/21】
■z/OS V2R5(上記)と同様な新機能が、z/OS V2R3、V2R4に対しても、DFSMS APAR OA63390にて提供されました。(2022年10月)

以上