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#024【z/OS V2R1/V2R2/V2R3/V2R4変更点】テープ・マルチボリューム・データセットの「ボリューム・カウント」変更点(SMS管理テープは特に要注意)

  

z/OS V2R1では、ボリューム・カウント制限によるテープ・マルチボリューム・データセットの拡張不可(ABEND837 RC08)を排除するため、ボリューム・カウントの指定有無によらず、最大ボリューム数(255)まで拡張できるような新機能が標準提供されました。
※「256」ボリューム目には拡張できず「ABEND637 RC04」が発生
一方、テープ・データセットへの書き出し処理が何らかの理由でループすると、新機能の弊害として従来よりも遅いタイミングで初めて異常終了(ABEND637 RC04)する可能性があり、不具合発生の検知が遅れてしまうという課題提起が行われました。

【z/OS V2R3の変更点】(z/OS V2R1新機能の見直し)

  • 冒頭のz/OS V2R1新機能に関する見直しが行われ、テープ・データセットのボリューム・カウントは次のような扱いに変更されました。
※ボリューム・カウントを指定しない場合の省略時値(255)は、z/OS V2R1新機能を踏襲
※JCL DDステートメントの「VOLUME」パラメータで指定するボリューム・カウント、あるいはデータ・クラスで指定するボリューム・カウント(SMS管理テープの場合)の制限を有効化(今回の機能変更)
  • 同様な機能変更は、「DFSMS APAR OA46493/OA49623/OA54541」(PTF対象: z/OS V2R1、V2R2)でも行われました。
※DFSMS APAR OA46493/OA49623/OA54541のPTF未適用の「z/OS V2R1、V2R2」から、「z/OS V2R3、V2R4 (変更点を標準機能として含む)」への移行時に影響を受ける可能性あり
  • テープ・データセットに対して適用されるボリューム・カウント (データ・クラスのボリューム・カウントは、SMS管理の場合のみ有効)


(2023/07/13 情報追記)

JCL DDステートメントのボリューム・カウント指定としては、VOLUMEパラメータの明示的なボリューム・カウント以外に、VOLUMEパラメータのvolser数、UNITパラメータのユニット・カウントが有効です。注意点としては、ボリューム・カウントの明示指定がない場合でも、VOLUMEパラメータで指定されたvolser数が暗黙的にボリューム・カウントとして扱われます。➡ ボリューム・カウント指定あり(YES)

【機能変更に伴う考慮点①】

  • テープ・データセットのボリューム・カウントを、JCL DDステートメントの「VOLUME」パラメータに依存している場合は、指定された値の妥当性を再確認する必要があります。
※例えば、ボリューム・カウントとして「1」が有効な場合、「6」ボリューム目には拡張不可


【機能変更に伴う考慮点②】

  • 従来、テープ・データセットのボリューム・カウントは、SMS管理の場合に限り、データ・クラスの「Volume Count」パラメータでも制御可能です。
※データ・クラスを新規作成する際、「Volume Count」パラメータの省略時解釈として「1」が設定されます
  • SMS管理テープ・データセットについて、JCL DDステートメントの「VOLUME」パラメータでボリューム・カウントを明示しない場合、データ・クラスの「Volume Count」パラメータで無意識のうちに設定された「1」(省略時値)をそのまま利用していると、最大「5」ボリュームまでしか拡張できなくなります。
※例えば、仮想テープへのDASDボリューム・バックアップ処理などで「IEC028I 837-08」(ABEND837 RC08)発生の可能性あり
※回避策(例)として、JCL DDステートメントの「VOL=(,,,99)」パラメータを明示指定することで、データ・クラスのボリューム・カウント「1」をオーバーライド可能


【考慮点②への対応策】

  • SMS管理テープ・データセットで利用されるデータ・クラスの「Volume Count」パラメータに何らかの値が指定されている場合は、その妥当性を再確認する必要があります。
※特に、省略時解釈の「1」が有効になっている場合は要注意 ⇒「6」ボリューム目には拡張不可
  • 変更前の機能(最大「255」ボリューム)を踏襲するには、対象データ・クラスの「Volume Count」パラメータを「ブランク」指定、あるいは「255」(最大値)指定に変えるなどの対策が必要です。
※指定可能な「Volume Count」パラメータ値の範囲: 「1~255」または「ブランク」

(2023/07/13 情報追記)

ボリューム拡張を最大値「255」まで可能とし、かつ、アロケーションによる仮想記憶域への影響を最小化するには、Data Classの「Volume Count」を「ブランク」指定(省略時値「1」を上書き)することが推奨 ➡ 【関連情報: 2023/07/13を参照ください


【参考情報】(DFSMS APAR OA46493/OA49623/OA54541の関連性)

  • 「DFSMS APAR OA46493、OA49623」のPTFで提供された「HOLD(DOC)」(マニュアル更新)情報とは別に、後続の「DFSMS APAR OA54541」を通じて「HOLD(ACTION)」情報も提供されました。(後者のPTFは、前者のPTFを「SUPERSEDE」しています)

【関連情報: 2023/07/13

#102z/OS V2R1以降変更点】 Data Classによる「ボリューム・カウント」指定の考慮事項(SMSテープ・マルチボリューム・データセット)

以上