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#102【z/OS V2R1以降変更点】 Data Classによる「ボリューム・カウント」指定の考慮事項(SMSテープ・マルチボリューム・データセット)

  

z/OS V2R1では、ボリューム・カウント制限によるテープ・マルチボリューム・データセットの拡張不可(ABEND837 RC08)を排除するため、ボリューム・カウントの指定有無によらず、最大ボリューム数(255)まで拡張できるような新機能が標準提供されました。

※「256」ボリューム目には拡張できず「ABEND637 RC04」発生

この新機能は、「DFSMS APAR OA46493/OA49623/OA54541」(PTF対象: z/OS V2R1V2R2)による見直しが行われ、z/OS V1R13までと同様、指定されたボリューム・カウントに応じて最大ボリューム数が設定されるように変わりました。

※テープ・データセットへの書き出し処理が何らかの理由でループしたような場合、明示指定されたボリューム・カウントによる歯止めが利かず、従来よりも遅いタイミングで異常終了(ABEND637 RC04)する課題への対応

※ボリューム・カウント指定なしの場合は、z/OS V2R1当初と変わらず、最大ボリューム数(255)まで拡張可能

【テープ・マルチボリューム・データセットの最大ボリューム数】

■ボリューム・カウント指定有無による最大ボリューム数

ボリューム・カウント

指定

z/OS V2R1

標準機能

DFSMS APAR OA46493/OA49623/OA54541以降(z/OS V2R1V2R2

z/OS V2R3以降

あり ※注意点①

255

ボリューム・カウント

※指定値が5以下の場合: 5

※指定値が6以上の場合: 5 + 15の倍数

(例: 指定値が10の場合は、5+15=20

なし ※注意点②

255

255

※注意点①

JCL DDステートメントのボリューム・カウント指定としては、VOLUMEパラメータの明示的なボリューム・カウント以外に、VOLUMEパラメータのvolser数、UNITパラメータのユニット・カウントが有効です。注意点としては、ボリューム・カウントの明示指定がない場合でも、VOLUMEパラメータで指定されたvolser数が暗黙的にボリューム・カウントとして扱われます。

※注意点②

・「指定なし」は、JCL DDステートメント、動的アロケーション、Data Classのいずれでもボリューム・カウントが指定なしの状況を示します。

■最大ボリューム数の制御(JCL DDステートメント、Data Classの組み合わせ)

JCL DDステートメントのボリューム・カウント指定はあるか?

Data Class

アサインされたか?

そのData Class

ボリューム・カウント

指定はあるか?

z/OS V2R1V2R2

z/OS V2R3以降

DFSMS APAR OA46493/OA49623/OA54541

PTF未適用(標準機能)

PTF適用済

Yes ※注意点①

Yes/No

Yes/No

255

ボリューム・カウント(JCL DD

No

Yes

Yes

255

ボリューム・カウント(Data Class

No

Yes

No

255

No

No

N/A

255

Data Classで最大ボリューム数を制御する際の考慮事項】

JCL DDステートメントのボリューム・カウント指定を行わず、Data Classで最大ボリューム数を制御する場合は、次の点に注意が必要です。

Data Classの「Volume Count」パラメータ指定は、SMS管理テープ・データセットに対してのみ有効

z/OS V2R3以降、あるいは、DFSMS APAR OA46493/OA49623/OA54541PTF適用後(z/OS V2R1V2R2)、Data Classの「Volume Count」パラメータ省略時値(1)を利用している場合、テープ・マルチボリューム・データセットは最大「5」ボリュームまで拡張可能です。

※仮想テープへのDASDボリューム・バックアップ処理などで「6」ボリューム以上を必要とする場合、「IEC028I 837-08」(ABEND837 RC08)発生

※指定可能な「Volume Count」パラメータ値の範囲: 「1255」または「ブランク」(省略時値: 1

■例えばz/OS V2R3以降、「ABEND837 RC08」発生を回避する(できるだけ多くのボリューム数を使用可能とする)目的で、Data Classの「Volume Count」パラメータにて「255」、または、「ブランク」指定を行う場合、共に最大ボリューム数が「255」という点は変わりませんが、仮想記憶域への影響が大きく異なります。

Data Classで指定する

Volume Count

最大

ボリューム数

仮想記憶域への影響

255

255

初期アロケーション時に、255ボリューム分をサポートするための制御ブロックを一括確保

ブランク

255

最大5ボリュームをサポートする制御ブロックのみを初期アロケーション時に確保し、ボリュームの拡張状況に応じて追加の制御ブロックを確保

■「Volume Count」として「255」明示指定のData Classがアサインされたテープ・データセットを多数のジョブ・ステップでアロケーションする場合、多量の制御ブロックがSP237に蓄積され続けた結果、後続ステップ開始時のREGIONサイズが確保できなくなり、ABEND822 RC14発生に至る可能性があります。

※これらの制御ブロックはSP237SWAブロック)に確保され、ジョブ終了時まで解放されません

■このような事象発生を回避するため、ボリューム拡張を最大値「255」まで可能とし、かつ、アロケーションによる仮想記憶域への影響を最小化するには、Data Classの「Volume Count」を「ブランク」指定(省略時値「1」を上書き)することが推奨です。

z/OS V2R1標準機能(DFSMS APAR OA46493/OA49623/OA54541PTF未適用)では、最大ボリューム数がData Classの「Volume Count」指定値によらず「255」のため、z/OS V2R3以降への移行時にその最大ボリューム数を踏襲する場合も、同様な考慮が必要

以上