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浅川さんご卒業講演を振り返って

By Yasuyo Onodera posted 04/16/26 05:19 AM

  

2026年3月25日、IBMフェローであり日本科学未来館館長、そしてcosmosの2代目リーダーとして長年コミュニティを支えてくださった浅川智恵子さんのご卒業講演が開催されました。

当日の講演会場には、山口さんをはじめ、米国に移られる前に浅川さんが所属していたR&D部門の方々、cosmosのOG、DEのみなさまなど、多くの関係者が集まっていました。いずれの方々も、浅川さんと部門やプロジェクト、コミュニティなどで何らかの接点を持っていた方ばかりで、そのご縁の広さを感じました。会場は満席で、浅川さんの歩みや言葉に触れたいという思いが、あふれるように伝わってくる雰囲気でした。

浅川さんは入社直後からアクセシビリティ研究に携わり、点字情報システムやHome Page Readerの開発に従事した後、博士課程へと進まれました。ワークライフバランスが大変だったであろう中、わずか3年で博士課程を修了し、その後DE、フェローへとキャリアを駆け上がってこられました。その背景には、「こうありたい」という強い信念を持ち続けてきたことがうかがえるお話でした。明るくユーモアを交えて語られていましたが、その道のりは決して容易なものではなく、課題を解決するために研究力を高めたいという思いで日々努力を続けてこられたことが伝わってきました。

フェローになられてからは「取り巻く環境に対してドライブする力が変わった」「世の中にインパクトのあるプロジェクトができるようになった」とおっしゃっていました。キャリアアップに悩む方も多い中、実現したいこと、成し遂げたいことがあるなら前に進むことが大切なのだと、力強いメッセージをいただいたように感じました。

その代表的なプロジェクトとして、多くの方がご存じの「AIスーツケース」があります。先日、私も科学未来館で体験させていただきました。想像以上のスピードで障害物を避け、滑らかに誘導してくれる様子に驚きました。万博で体験した皆さんが、早くスムーズに歩けることを心から喜んでいた姿がとても印象的でした。テクノロジーによって「一人で自由に歩ける」ことで日常が変わる――その楽しさ、快適さ、喜びがあふれていました。

「科学やテクノロジーは世の中を変え、人々に幸せをもたらすことができる」。講演を聞いたすべての人が、その思いを共有し誇らしく感じたのではないかと思います。

一方で、社会を本当に変えるためには社会実装が不可欠であり、法律やルールなど、まだ多くの課題が残っているとのことでした。浅川さんは2026年3月末をもってIBMをご卒業されましたが、事業化に向けた道をさらに進んでいかれます。今後の研究テーマはActive Mapping(半自動的な地図生成)、Shared Control(マシンと人の協働制御)、Social Navigation(混雑環境への対応)とのこと。AIスーツケースの今後の発展がますます楽しみです。

「諦めなければ道は開ける。不可能は可能になる。」

浅川さんのこの言葉を心に刻み、私たちも社会をより良くする仕事に少しでも貢献していきたいと思います。

女性技術者のキャリア形成や挑戦する力、日本が抱えるジェンダー課題について浅川さんに伺った、倉島さんのインタビュー記事もぜひご覧ください。

レポート:田端、cosmosメンバー

視覚に障害のある方の歩行を支える「AIスーツケース(写真左)」は、浅川さんらが開発した、AIとセンサーで周囲を捉え目的地まで案内する技術です。

誰かの未来に寄り添うその技術は、新たな一歩を踏み出す卒業の節目にも重なり、希望に満ちた門出を静かに照らしているようです。

参加したcosmosメンバーの感想コメント

  • 「テクノロジーの力をもっと世の中に知ってもらいたい」「テクノロジーは私たちの人生を変えることができる」、この思いはまさに私のIBMにいるモチベーションになっていて、深く共感しました。
  • 自身の「やりたい」「なりたい」という思いが原動力となり、それが結果を引き寄せる大きな吸引力になるのだと、改めて実感しました。
  • 浅川さんの足跡が、IBMの、いや社会のアクセシビリティの歴史だと実感した。明るく軽やかにお話を進めていらしたところ、最後は涙ぐんでおられて、ついもらい泣きしてしまいました。
  • もし自分が同じ状況だったら、浅川さんのように生きることができるだろうかと考えさせられました。明るく前向きに、できると信じて取り組んでこられた姿勢にとても感動しました。
  • COSMOSスポンサーとしてIBMフェローとして、皆さんのロールモデルとしてこれまでリードして頂き、心より感謝しておりますし、同じIBM社員でいられたことをとても誇りに思います。
  • 以前よりもイキイキされています。数年後には、街中でAIスーツケースで歩く方を見かけるようになることを確信しています!
  • 浅川さんの、技術者としてストーリーテラーとしての素晴らしさを改めて知ることができました。
  • これまで示していただいた数々の選択と姿勢を胸に、私自身も挑戦を続けていきたいと思います。

浅川さんProfile

日本アイ・ビー・エムにて IT スペシャリストとして歩みを始めて以来、幅広い業界のアプリケーション開発プロジェクトに携わり、アーキテクトとして多くの大規模案件をリードしてこられました。

2023 年 3 月に IBM フェローに任命されて以降は、成長戦略統括事業部の技術責任者として AI を活用したデジタル変革を推進。

2021 年から 4 年間 cosmos リーダーも務められ、組織やコミュニティへの大きな貢献を残されました。

2026 年 3 月末に IBM を卒業され、新たな挑戦の場へ進まれています。

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