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新生メインフレームクラブ始動 ー 次世代人材とAIが切り拓く、日本の基幹ITの未来 ー

By IBM ProVision posted 17 days ago

  
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日本の社会・産業を支えてきたメインフレームは、今、企業のIT変革や人材課題と向き合いながら、次の進化の局面を迎えています。日本IBMは、2023年に発足したメインフレーム技術者コミュニティ「メインフレームクラブ」を刷新し、AI活用やアプリケーション領域、人材育成を含む新たな価値創出に踏み出しました。本記事では、新生メインフレームクラブの狙いと取り組みを紹介します。
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柿沼 健
Kakinuma Ken
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクニカル・コミュニティ統括  
メインフレームクラブ代表
1995年に日本アイ・ビー・エム(株)入社。メインフレームのテクニカル・セールスとしてIBM Zの提案活動に長年従事。2016年から10年間テクニカル・セールス部長を務め、2023年にメインフレームクラブを発足。2026年より同クラブ代表に専念。

日本の基幹ITを支え続けるメインフレームと、新たな課題

メインフレームは、極めて高い信頼性・可用性・堅牢性を備え、日本の金融、製造、流通、公共分野など、社会インフラの中核を担い続けてきました。現在も、多くの企業にとって基幹業務を支える不可欠な存在であることに変わりはありません。一方で、長年メインフレームを支えてきた熟練技術者の高齢化や、若手人材の不足といった課題が顕在化しています。加えて、生成AIの急速な進展により、アプリケーション開発や保守のあり方そのものが大きく変わろうとしています。こうした環境変化の中で、メインフレームを「過去の技術」として捉えるのではなく、「未来のIT変革を担うプラットフォーム」として進化させていく視点が、今強く求められています。

メインフレームは近年、クラウドネイティブ技術やAIとの統合により、その役割をさらに高度化しています。Linux on Z、コンテナ技術、API連携、データ仮想化といった新しいアーキテクチャーの採用が進み、従来の基幹系処理だけでなく、リアルタイム分析やAI推論基盤としての活用も拡大しています。こうした進化に対応するためには、従来型の運用・開発スキルに加え、モダンアーキテクチャーを横断的に理解する複合スキルが求められています。

メインフレームクラブとは何か

メインフレームクラブは、メインフレームをご利用いただいているお客様やビジネス・パートナー、IBM技術者を中心に、世代や企業の垣根を越えて学び合うことを目的とした技術者コミュニティとして、2023年4月に発足しました。本コミュニティでは、技術スキルの向上にとどまらず、技術者同士の横のつながりづくりやキャリア形成の支援、次世代技術者の育成を重視し、さまざまな活動を継続してきました。発足以来、メインフレームクラブでは、単なる情報共有にとどまらず、実践的な技術ナレッジの共有基盤として独自の取り組みを展開してきました。イベント資料や技術検証結果、現場で得られた知見を体系的に整理・蓄積し、コミュニティ内で再利用可能な形で提供する仕組みを作り、属人化しがちな技術を「共有可能な資産」へと昇華させています。

さらに、ハンズオン形式のワークショップや少人数ディスカッションなど、実務に直結した深い技術交流の場を継続的に提供してきました。これにより、参加者は単なる情報の受け手ではなく、知見を共有する主体として関与し、コミュニティ全体で学びを加速させる文化が形成されています。

そして2026年、メインフレームクラブは4年目を迎えるにあたり、活動の幅と深さを大きく広げ、「新生メインフレームクラブ」として再スタートしました。図1は2026年2月20日に開催されたメインフレームクラブのキックオフ2026の様子です。

 
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図1:メインフレームクラブ キックオフ2026の模様

新生メインフレームクラブの3つの進化ポイント

1. アプリケーション領域とAI活用への本格展開

従来はインフラ基盤領域が中心であった活動に加え、AIを活用したアプリケーション開発・高度化を重要テーマとして位置付けました。生成AIを活用したコード生成や保守支援、IBM Bob[1]などの最新技術を題材に、実践的な知見を共有する場を提供しています。特に「AI+メインフレーム コンソーシアム」では、ユーザー企業同士が実例や課題認識を共有し、企業単独では得にくい実践知の蓄積と人材ネットワークの形成を目指しています。

これまでの活動では、COBOL資産の可視化や依存関係分析、パフォーマンス・チューニングといった基礎的領域から、API化やマイクロサービス連携、イベント駆動型アーキテクチャーへの適用など、モダナイゼーションに向けた実践的テーマを幅広く取り扱ってきました。特に、実際の業務システムを想定したケース・スタディーやツール検証を伴うセッションは、参加者が自社環境へ適用するための具体的なヒントを得られる場として高い評価を受けています。

新生メインフレームクラブでは、これらの取り組みをさらに発展させ、生成AIを活用した開発・保守の高度化に本格的に取り組みます。コード理解、テスト生成、障害分析といった領域へのAI適用は、単なる効率化にとどまらず、エンタープライズ・システムにおける開発プロセスそのものの変革を促進するものと期待されています。

従来の課題である複雑なコード構造、長期化する開発サイクル、スキル不足、影響分析の困難さに対し、IBM Bob Premium Package for Zでは、SDLC全体を対象としたAIエージェント型支援を提供する点が特徴です。特に、エンタープライズ規模のメタデータ・リポジトリーとデータ辞書を活用することで、アプリケーション全体の構造や依存関係、ビジネス文脈を理解した上での高度な分析・コード生成・変換を実現し、従来の「部分的理解」によるリスクを低減することが可能になります。また、Z Architect/Z Codeモードにより、影響分析からコード変換(COBOLからJava)・テストまでを一貫して自動化・高度化できます。これにより、開発者の生産性向上、品質改善、デリバリー加速を同時に実現し、メインフレーム資産を活かした安全かつ大規模なモダナイゼーションを推進する基盤として、今後の中核的役割を担うことが期待されます。今後メインフレームクラブでは、メインフレーム・アプリケーションのモダナイゼーションを実現する新しい手法を広く共有していきます。

2. 若手・次世代人材の育成コミュニティ

将来のメインフレームを担う人材育成は、新生メインフレームクラブの中核テーマです。「若手技術者 Casual Meet-up !」では、若手ならではの悩みや関心事を共有しながら、z/OSやJCLといった基礎から、クラウド連携やAI活用といった応用領域までを段階的に学べる場を提供しています。同世代の横のつながりに加え、実践的な技術理解とキャリア形成の両面を支援しています。

また、経験豊富な技術者との直接的な対話を通じて、設計思想やトラブルシューティングの考え方など、形式知化が難しい暗黙知を学べることも、本コミュニティの大きな特徴です。こうした知識継承の仕組みは、次世代人材の育成という観点において重要な役割を果たしています (図2)。

 
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図2:メインフレームクラブ若手技術者 Casual Meet-up ! の模様

3. 地域・業種・役割に応じた多様な活動

全国各地で開催される地域スピンオフ会や、業種別のインダストリー分科会など、参加者のニーズに応じた取り組みも強化しています。地域スピンオフ会では、各地域の会員のニーズに沿った技術的課題をテーマに、またインダストリー分科会では、金融、製造、流通など各業種の業務特性に応じた技術的課題をテーマに議論を行っています。例えば、金融分野における高可用性設計やトランザクション最適化、製造業における基幹システムとIoTデータの連携といったテーマが扱われてきました。

また、会員の皆様のご要望を受けて、ニューヨーク州ポキプシーにあるIBM Zの製造開発拠点を見学いただくツアーも毎年開催しています。アーキテクチャー設計や最新技術動向について現地エンジニアと直接対話する機会を提供しています。これにより、グローバルな視点での技術理解を深めることが可能となっています (図3)。

さらに、今後はCxO層向けのフォーラムや学生向けイベントなど、より幅広い層との接点づくりにも注力していきます。

 
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図3:メインフレームクラブ米国ツアーの模様

ポータルサイトを中心とした「つながる」仕組み

メインフレームクラブの活動は、専用ポータルサイトを中心に展開されています。

会員登録を行うことで、

  • 最新イベント情報の確認・申込
  • 過去イベント資料の閲覧
  • 最新技術情報の共有
  • 会員同士のディスカッション

などが可能になります。コミュニティへの参加ハードルを下げ、誰もが継続的に学び、つながれる環境を整えています。

ポータルサイトは単なる情報共有の場にとどまらず、コミュニティ内で生まれた知識を継続的に活用するための基盤として機能しています。イベント資料やディスカッション内容、Q&Aなどを体系的に蓄積することで、参加者は過去の知見を参照しながら新たな学びを深めることができます。これにより、単発のイベント参加にとどまらず、継続的にスキルを向上させることができる環境が実現されています。

未来を共に創るコミュニティへ

メインフレームの価値は、単なる「止まらない基幹システム」から、AI時代のIT変革を支える中核基盤へと進化しつつあります。その進化を実現するのは、テクノロジーそのものではなく、それを使いこなし、次の世代へつないでいく「人」です。新生メインフレームクラブは、技術者一人ひとりが主役となり、学び、語り、共創する場です。このコミュニティを通じて、日本の基幹ITの未来を、皆さまと共に創っていきたいと考えています。本コミュニティは、最新技術を学びたい技術者、モダナイゼーションに挑戦したいエンジニア、同じ課題を持つ仲間とつながりたい方々にとって、実践的な成長機会を提供する場です。メインフレームの進化を担う一員として、ぜひご参加ください。

 

[参考文献]

[1] 日本アイ・ビー・エム (株) : AIエージェント駆動のエンタープライズ向け開発支援パートナー ,https://www.ibm.com/jp-ja/new/announcements/ibm-project-bob

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