従来、TSOユーザーがログオン操作を行う際、ログオン・プロシージャー指定のデータセットが他のTSOユーザーやジョブにて使用中の場合(DISP=OLD)、データセットのコンテンションが原因でログオン処理は失敗します。
この場合、コンテンション発生のデータセット名は、IEF861I、IEF863Iメッセージ(下記参照)を通じてSYSLOG、TSUジョブログ(JESMSGLG)に出力される一方、TSOスクリーン上では、「ログオン・プロシージャー指定のデータセットが既に使用中のためログオン失敗」という状況しかわかりません。
【z/OS 3.1の挙動例】 ※以前のリリースも同様
■CPAC.CMDPROCデータセットが既に使用中(DISP=OLDでアロケーション中)の場合、対象データセット指定のログオン・プロシージャーでは、コンテンションが発生してログオンすることができません。
■SYSDSN ENQ(省略時解釈: SCOPE=SYSTEM)が、GRS RNL処理を通じて「SCOPE=SYSTEMS」に変換されている場合、同一システムのみならず、他システムを含めたデータセット・コンテンションが原因でログオン失敗する可能性があります。
【新機能】
■z/OS V2R5、3.1 APAR OA66654(2024年10月PTF使用可能)
※NEW FUNCTION - TSO LOGON ENHANCEMENT https://www.ibm.com/support/pages/apar/OA66654
■ログオン・プロシージャー指定のデータセットにてコンテンションが発生し、ログオン処理に失敗した場合、TSOスクリーンにて新規メッセージIEF864Iが表示され、コンテンション対象のデータセット名がわかるようになりました。
※APAR OA66654による機能変更後の挙動例
■IEF864Iメッセージは、ログオン中のTSOスクリーン上にのみ表示され、SYSLOG、TSUジョブログには出力されません。
※ログオン失敗を示すIKJ56457Iメッセージも、従来通りに表示
※コンテンション原因でアロケーション不可のデータセットが複数ある場合、各々のデータセット向けにIEF864Iメッセージを表示
※SYSDSN ENQが「SCOPE=SYSTEMS」に変換されている場合、同一システムに限らず、他システムを含めたデータセット・コンテンションが検知可能
■該当データセットの使用状況を確認するには、別途、D GRS,RES=(SYSDSN,dsname)コマンドを使用する必要があります。
【考慮事項】
■新規メッセージIEF864Iは、ログオン・プロシージャー指定のデータセットにてコンテンション発生時に表示され、初期CLIST実行時の動的アロケーション中に発生したコンテンションは対象外です。
■ALIASデータセットが関係している場合のコンテンション発生時は、新規メッセージIEF864Iにて、実際にコンテンションが発生したデータセット(REAL、あるいは、ALIAS)を表示します。
※(Case-1)に限り、IEF864IメッセージではALIASデータセット名を表示し、(Case-2)~(Case-4)ではREALデータセット名を表示
以上